センバツ高校野球の開幕近づく、「21世紀枠」チームの活躍にも注目

2025年3月12日(水)17時30分 読売新聞

21世紀枠で選出され、喜ぶ壱岐高の野球部員たち(1月24日午後、長崎県壱岐市で)

 第97回選抜高校野球大会が18日から始まります。2001年から導入され、困難を乗り越えたり、他校の手本となる取り組みなどを行ったりした点を評価し選出される「21世紀枠」には、壱岐(長崎)と横浜清陵(神奈川)が選ばれました。いずれも春夏初出場です。読売新聞朝刊の投書欄「気流」には、「21世紀枠」で出場するチームへの期待やエールなど、さまざまなお便りが寄せられています。担当記者の心に刺さった「ササる投書」、今回は選抜高校野球大会の「21世紀枠」をめぐる投書を紹介します。(※投稿者の年齢や職業、投稿内容などは掲載当時。紙面では実名で掲載)

地元高は選ばれなかったが、夢に感謝

 分かっている。分かってはいるのだが、残念で……。選抜高校野球で、今回から新設された「21世紀枠」に推薦されていた地元の高校が選からもれた。境港市は昨年10月、鳥取県西部地震に見舞われた。その地震にもめげず、頑張ったとして候補に挙がっていた。

 街全体が復興に向けて取り組んでいるさなかに届いた明るいニュースだった。出場することで街は盛り上がるし、被災者の元気づけになる。そう思っていた。そして推薦ということを忘れ、出場できるのでは、と一方的に気持ちを先走りさせていた。

 しかし、結果は選ばれなかった。喜びが大きかっただけに、ショックも大きかった。選手たちの落胆の様子を新聞で見て、心が痛んだ。私は破れた夢を繕うのに苦労した。でも、世の中、こんなことが多いのかも知れない。夢を見させてもらったことに感謝しよう。(47歳・主婦=鳥取県、2001年2月9日掲載)

発展に尽力、牧野さんを悼む

 日本高校野球連盟の会長を21年間務め、高校野球の発展に尽力してきた牧野直隆さんが膵臓(すいぞう)がんのため、95歳で亡くなった。

 私は牧野さんが、甲子園であいさつをした時の印象が忘れられない。とにかくソフトな語り口で、選手らに優しく語りかけていた。

 1995年1月、甲子園球場も被災した阪神大震災では、選抜大会を開催するか苦悩したそうだ。しかし、「被災した人たちを勇気づけたい」と開催に踏み切り、選手らの交通手段や宿舎の確保などの難題を解決した。まさに英断だった。

 さらに、01年の選抜大会からは「21世紀枠」を新設し、多くの学校に甲子園出場の機会を与えたことは評価されるべきだろう。

 牧野さんは春夏の甲子園に足を運び、選手たちに温かいまなざしを注いできた。報道によると、6月に体調を崩して入院したが、最後まで、高校野球界のことを心配していたという。

 牧野さんのご冥福(めいふく)を心からお祈りしたい。(45歳・フリーター=福島県、2006年7月22日掲載)

さわやかな旋風に期待

 選抜高校野球大会に出場する36校の顔ぶれが決まった。桜宮高校の体育系2科の募集が中止になるなど、スポーツ教育のあり方が議論されている中での大会だ。とりわけ野球部は、昔は体罰が当然のように行われていたという印象が強い。

 ただし、最近の高校野球改革の基本は、21世紀枠に代表されるように、地域貢献であったり、選手が礼儀を実践し努力を怠ったりしなければ、甲子園への門戸を広げようという、勝利至上主義でないところにあると思う。

 この春もチームワークを前面に押し出し、スタンドと選手が一体となってさわやかな旋風を巻き起こしてくれるチームを応援したい。(49歳・アルバイト=和歌山県、2013年2月9日掲載)

ハンデ乗り越えた3校の戦い楽しみ

 第88回選抜高校野球大会が20日から始まる。出場する32校の中でも「21世紀枠」の3校に注目している。

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手からは釜石。今も仮設住宅から通う部員がいるという。阪神大震災の被災地・神戸の長田も選ばれた。文武両道で防災や地域に貢献できる人材を育成している。香川からは小豆島。少子化で統合が予定される中、部員17人で秋の県大会を初制覇した。様々なハンデを乗り越えた3校が、どんな戦いを見せるか楽しみだ。(75歳・無職=滋賀県、2016年3月16日掲載)

釜石高のプレー、被災者の励ましに

 選抜高校野球大会に釜石高校(岩手)が21世紀枠で出場した。惜しくも2回戦で敗れたが、大きな感動を残してくれた。

 部員24人のうち9人が津波で自宅を流され、3人の親が犠牲になったという。エース岩間(だい)投手の母は行方が分からないままだそうだ。その岩間投手は1回戦の小豆島戦でピンチにも動じず、見事な投球を見せた。釜石の選手たちが全力でプレーする姿は、避難生活を送る東北の被災者たちにとって大きな励ましになったことと思う。困難に負けない姿に私も勇気をもらった。(58歳・団体職員=神奈川県、2016年4月4日掲載)

担当記者より

 「21世紀枠」は甲子園にあと一歩届かないチームも大舞台を経験し、レベルアップを図る狙いがあるそうです。21世紀枠のチームに限らず、全ての出場校の選手がそれぞれの困難を乗り越えて力に変えて、3月にさわやかな戦いを見せてくれることを楽しみにしています。(服部)

 「ササる投書」を随時掲載します。次回もお楽しみに!

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