「並ばない万博」道険し…東ゲートに来場者集中・米仏伊パビリオンには長い列
2025年5月14日(水)6時33分 読売新聞
フランス館(左)とアメリカ館(中央)の前には連日長い行列ができている(13日午後、大阪市此花区で)=原田拓未撮影
大阪・関西万博の開幕から1か月が過ぎた。日本国際博覧会協会(万博協会)は「並ばない万博」を掲げているが、開場時に東ゲートに来場者が集中し、会場内でも一部のパビリオンの前に長蛇の列ができている。スマートフォンの位置情報を基にした「人流データ」から万博の実情と課題を探る。(上万俊弥、野口英彦)
■東ゲートに集中
読売新聞は、位置情報調査会社「クロスロケーションズ」(東京)が収集した位置情報を基に、万博会場や周辺の人流を分析した。
最多の12万4339人が来場した開幕日の4月13日のデータを確認すると、大阪メトロ・
東ゲートの滞留は開幕当初に問題となったが、スタッフの習熟などにより、緩和されつつある。それでもシャトルバスの停留所がある西ゲートに比べると、人流は連日2倍以上で、開場時間前後に集中する傾向は変わっていない。
会場内でも、特定の場所に人流が集中していた。
5月4日のデータを分析すると、開場直後からアメリカ、フランス、イタリアの3パビリオンに来場者が集中していた。いずれも予約なしで入場できることから、開場後すぐに並びに行く人が多いようだ。
午後7時には、水上ショーを見物するため会場南側のウォータープラザに多くの来場者が集まり、その間はパビリオン周辺の人出は減少傾向にあった。目当てのパビリオンがあるならこの時間が狙い目かもしれない。
■来場3位は愛知
開幕から4月末までに東西両ゲート(関係者出入り口を除く)を通過した来場者の居住地も推計した。
大阪府が45・4%と全体の半数近くを占め、兵庫県が14・1%と続いたが、意外にも3位に愛知県(6・5%)が入り、東京都(5・6%)や京都府(4・9%)を上回った。
愛知県観光振興課の担当者は「2005年の愛・地球博の開催地で、万博にポジティブな思いを持っている人が多いことが理由かもしれない」と話している。
データは読売新聞オンラインで見られます。
<分析に使用した人流データ>
クロスロケーションズが、スマホアプリから取得された位置情報を統計処理したデータで、人の動きやエリアごとでの滞在人口などがわかる。位置情報は利用者の同意を得た上で取得され、個人の特定ができないよう匿名化されている。居住地は、普段滞在している場所などから推定。スマホを持っていない子どもらの位置情報は含まれていない。