東京都知事選 政治の難題を映す首都決戦

2024年6月14日(金)5時0分 読売新聞

 東京都の小池百合子知事が、3選を目指して都知事選(20日告示、7月7日投開票)に出馬すると表明した。

 野党陣営からは蓮舫参院議員らが名乗りを上げている。これで主要な候補が出揃でそろった。

 首都が抱えている課題は山積している。人口流入は当面続くが、少子高齢化も同時に進むため、医療費の増大や介護人材の不足が懸念されている。大規模な災害への備えや、老朽化した社会資本の再整備も急がねばならない。

 こうした課題は、日本が直面している難題の縮図とも言える。そのかじ取りを誰に任せるか、重要な選択の機会であり、国政にも影響を与えるだろう。各候補は具体的な政策を明示して論戦を展開してもらいたい。

 とはいえ、政権を担っている与党が都知事選で自前の候補を擁立できないのはふがいない。

 自民党は、党東京都連が小池氏の支持に回る方針だ。都連は政党色を薄めたい小池氏に配慮し、目立たない形で支援するという。

 4月に行われた衆院東京15区、長崎3区の両補欠選挙でも、自民党は公認候補を擁立せず、不戦敗とした。こうした対応を繰り返しているようでは、党勢の低迷から抜け出せまい。

 一方、政治団体「NHKから国民を守る党」が今回、候補者を大量に擁立しようとしているのも疑問だ。立花孝志党首によると、24人を擁立予定だという。

 多様な人材が政治に参画すること自体は否定すべきではないが、同一政党・政治団体が同じ首長選に多数の候補を擁立したら、有権者は戸惑うだろう。候補者の公約や政見を比較し、1票を投じようとしている人を愚弄ぐろうしている。

 NHK党はまた、都内に設置される1万数千か所の選挙ポスター掲示板について、1か所につき1万円でポスターを貼る権利を譲るという。立花氏は「掲示板をジャックし、あなたのビジネスを広げるチャンス」と宣伝している。

 選挙ポスターの内容は、虚偽などでない限り、原則自由だ。それにつけ込み、民主主義の根幹である選挙を金もうけに利用するかのような行為は看過できない。

 先の衆院東京15区補選では、「表現の自由」だと主張し、政治団体「つばさの党」の候補らが他陣営の演説を大声で妨害したり、選挙カーを追い回したりして選挙の自由妨害罪で摘発された。

 公職選挙法が想定していない事態が相次いでいることを踏まえ、与野党は法改正を急ぐべきだ。

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