田中貴金属工業が、真空成膜装置部材に付着した貴金属の新たな回収方法を確立

2024年1月23日(火)13時17分 PR TIMES

〜2025年までに供給体制を整備し、限りある貴金属資源のリサイクル推進とサーキュラーエコノミー(循環経済)への更なる貢献〜

 田中貴金属グループの中核企業として産業用貴金属事業を展開する田中貴金属工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:田中 浩一朗)は、治具洗浄法「TANAKA Green Shield」を確立したことを発表いたします。

 本洗浄法は、半導体の製造工程などで使用される真空成膜装置(※1)部材の防着板(※2)に、ニッケルめっき加工を施すことが特長です。ニッケルめっき加工された防着板は、容易にプラチナやパラジウムなどのPGM(※3)スパッタ膜の剥離を行うことが可能となります。
【製品ページ】https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/detail/tanaka-green-shield/

 田中貴金属工業では、スパッタリング装置・真空蒸着装置など、主にSUS(ステンレス鋼)製の真空成膜装置部材に付着したスパッタ膜を剥離して貴金属を回収精製し、回収した貴金属と精密洗浄した部材を顧客に返却するリサイクルビジネスを展開しています。
 本洗浄法では、田中貴金属工業の独自技術である下地めっきのノウハウを活用しています。防着板にニッケルめっき加工することで、基材を傷つけることなく、化学的処理でPGMスパッタ膜を剥離することが可能です。従来工程よりも容易にPGMスパッタ膜が剥離できるようになったため、装置洗浄時に使用する洗浄剤の使用量減少が期待でき、環境負荷低減に貢献できます。さらに、研磨時の飛散による貴金属の回収ロスも低減されることが見込まれるため、高いPGM回収率と低コスト化も期待できます。
 田中貴金属工業では、「TANAKA Green Shield」について、2025年までに多種多様な形状・サイズの部材に対応可能な体制を整え、PGM膜の剥離回収量を現状の6倍に拡大することを目指します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/31501/55/resize/d31501-55-ab0dfe0eccca55c5b017-0.jpg ]

治具洗浄方法について


 真空成膜装置部材の治具洗浄方法は、物理剥離(ブラスト処理)やアルミニウム溶射下地成膜などの方法があります。物理剥離は、研磨剤(洗浄剤)を吹き付けることで付着膜を削り取る洗浄方法であり、低コストなため、現在主流となっている治具洗浄方法です。この方法では、研磨剤の使用による基材表面へのダメージが基材のライフサイクル低下につながり、加えて、飛散による地金回収ロスの発生がデメリットとなっていました。一方、アルミニウム溶射下地成膜による治具洗浄は、あらかじめ防着板にアルミニウムを溶射法にてコーティングし、薬液でアルミニウムを溶解することで付着膜を剥離する方法です。この方法では、アルミニウムの非成膜面への付着膜の回収が困難であるほか、アルミニウム成膜費用が高価であることがデメリットとなっています。
 「TANAKA Green Shield」では、防着板にあらかじめニッケルめっきによる下地加工を行います。例えば、スパッタリング加工(防着板使用)後、防着板とPGMスパッタ膜との間に施したニッケルめっきコーティングのみ溶解することで、基材を傷つけずにPGMスパッタ膜だけでなく、様々な成分の付着膜を剥離することができます。この下地加工は、防着板やスパッタ膜との密着性が高く、スパッタ膜が剥がれることによるスパッタ加工不良を防ぐことができ、様々な形状の部品にもめっき加工が可能です。本洗浄法では、基材劣化を防ぐことに加え、アルミニウム成膜に比べ低コストを実現します。また、洗浄剤の使用量も減らすことができるため、環境にやさしい次世代の治具洗浄法です。
[画像2: https://prtimes.jp/i/31501/55/resize/d31501-55-7ee1c212f6382c6a360f-0.jpg ]

[画像3: https://prtimes.jp/i/31501/55/resize/d31501-55-308dbfb2f5b753adaeac-0.jpg ]

田中貴金属工業とサーキュラーエコノミー


 田中貴金属工業では、1885年(明治18年)の創業以来継続して貴金属リサイクル事業を行ってきました。長年の貴金属研究開発で培った既存の貴金属リサイクル技術に加え、「TANAKA Green Shield」といった貴金属リサイクルに関する新たな技術開発も進めています。田中貴金属工業の提供する貴金属リサイクル事業は、限りある貴金属資源のリサイクルの推進と、サーキュラーエコノミーの実現に貢献しています。

(※1)真空成膜装置:スパッタリングや蒸着など、半導体の製造工程において薄膜成形のプロセスで用いる装置
(※2)防着板:成膜装置のチャンバー(物理的、化学的反応を起こさせるための密封した反応容器)の内壁への着膜を防止するために設置される板
(※3)PGM:貴金属のうちプラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの6種類を指す

会社情報


■田中貴金属グループについて
田中貴金属グループは1885年(明治18年)の創業以来、貴金属を中心とした事業領域で幅広い活動を展開してきました。国内ではトップクラスの貴金属取扱量を誇り、長年に渡って、産業用貴金属製品の製造・販売ならびに、資産用や宝飾品としての貴金属商品を提供しています。貴金属に携わる専門家集団として、国内外のグループ各社が製造、販売そして技術開発において連携・協力し、製品とサービスを提供しています。
2022年度(2023年3月期)の連結売上高は6,800億円、5,355人の従業員を擁しています。

■産業事業グローバルウェブサイト
https://tanaka-preciousmetals.com

■製品問い合わせフォーム
田中貴金属工業株式会社 
https://tanaka-preciousmetals.com/jp/inquiries-on-industrial-products/

【プレスリリースは下記URLよりダウンロードをお願いいたします。】
https://prtimes.jp/a/?f=d31501-55-548f6de45dbb0a2bcef4820a547e52f5.pdf

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