これができないと死ぬまで他人を羨んだまま終わる…88歳医師が嫉妬に苦しむ人に授ける"たった1つの考え方"

2024年2月8日(木)14時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sanjagrujic

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嫉妬の苦しみからはどうすれば解放されるか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「私たちは誰も何も言っていないのに、勝手に自分の基準で他人を羨み、自分を貶めている。他人が羨ましい人は、『自分もまた他人から羨ましがられているのだ』と思い直して、『自分はすごいんだな!』と、喜んでしまえばいい」という——。

※本稿は、高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。


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■年をとってなお、若いとき以上に活躍する人の共通点


長年親しんできた俳優や歌手が引退したり、かつて国民を沸かせたスポーツ選手が亡くなったりすると、私たちは年をとることの悲しさを感じます。


あの加山雄三さんや、シンガーソングライターの小椋佳さんが引退を宣言されたときは、私も寂しさを覚えたものです。


しかし、引退する人々がいる一方で、「年をとってなお、むしろ若いとき以上に活躍している人」も多くいます。


たとえば、ノーベル平和賞受賞者であり、かつてはアメリカ合衆国国務長官としても活躍した国際政治学者のヘンリー・キッシンジャーは、本書の校了間際、2023年11月に100歳でこの世を去りましたが、100歳を超えてなお、中国の習近平国家主席に会うなどして国際秩序の回復に努めていました。


メディア王として知られるルパート・マードックは、92歳でついに、フォックス・コーポレーションとニューズ・コーポレーションの会長を退任することを発表しました。


それでも彼はまだ“名誉会長”として会社に残り、「アイデアに関する議論には毎日参加する」としています。マードックは4人の妻との間に3人の子どもがおり、そのうちの一人にメディア帝国を承継させるつもりで、その育成に自分の新たな役目を見出しているのではないでしょうか。


こうした驚異的な活躍をしている人の例を挙げると、多くの人は、きっとこんなため息をつくでしょう。


「私は、人生を通じてたくさんの失敗や辛い経験をしただけで、そうしたすごい人たちのように、他人に誇れる実績は何もない」


大丈夫です、そんなことを気にしなくていいのです。


現在、立派に生きている——その事実にこそ、「今から先を輝かせる宝」が埋もれているからです。


■ちょっと辛くっても頑張っている姿を見せる


どういうことかというと、私にしても、健康だなんてとんでもないことで、体は言うことを聞かなくなっているし、耳は聞こえにくい。


男性特有の前立腺肥大もあれば、前歯は1本抜けて差し歯をしている身です。加えて、少し前にはHSP(感覚が鋭く、感受性が強い気質)からくる精神的な疾患も経験しました。


それなのに、自分よりずっと若い人たちからの、「あちこち痛みだした」「心が苦しい」といった相談を受けて、カウンセリングや健康指導をしています。


相談者の中にはストレスの多い重職に就いている方もいますが、私と話し終えると「心が晴れた」と、サッパリとした明るい顔で仕事に戻る人が大半です。


そうやって相談に乗って人を元気にしてあげられるのは、自分の「老い」や「辛さ」「至らなさ」を認めたうえで、医師として心身を明るく若く保つために最適な生活習慣を試行錯誤し、自分にできることを実践してきたからだと思うのです。


こうして本を書けているのも、そんな地道なことをやってきた副産物のようなものでしょう。


今を明るく生きている人を見ると、総じて、大きな功績があったとかなかったとかは、あまり関係がないようです。


失敗も、辛いことも経験してきた。けれど、元気に生きている! その事実だけで十分だと思えます。その事実があれば、必ず誰かのために何かをしたり、生きているだけで、誰かの手本となったりすることがあるのです。


「遠い親戚よりも、近くの他人」なんて言葉もありますね。遠い国の偉人より、近くにいるあなたが、ちょっと辛くっても頑張っている姿を見せること、それが後輩や周りの人たちにとっては恰好の教え、宝となるのです。


「ああ、あのときの先輩は立派だったなぁ、すごい人だったのだなぁ」と。


写真=iStock.com/Wavebreakmedia
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■勝手に自分の基準で他人を羨み、自分を貶めている


人間なら誰でも、嫉妬することがあるものです。自分より幸福そうな人を見れば、「私は不幸だ」と思ったり、自分より不幸そうな人を見れば、「私は幸福だ」と思ったりするでしょう。


70年間生きてきた人は70年分の人生経験があるし、80年間生きてきた人は、やはり他人とは違う80年分の蓄積があります。


それは他人と比較して、どちらが優れている、劣っている、などと他人が勝手な基準で評価できるものではありません。


ところが、私たちは「あの人は会社で重役にまでなった人だから、今も重きをなしていて引く手あまただ」とか、「娘も孫もいて、たくさんの人々から慕われている」なんて、誰も何も言っていないのに(本当は違うかもしれないのに!)、勝手に自分の基準で他人を羨み、自分を貶めているのです。


これでは、みじめな気持ちになり、心を病んでしまうことにもなりかねません。


とくに最近はSNS全盛ですから、他人の「こんなに楽しい経験をした」「家族にこんな素敵なものをもらった」「皆に祝ってもらった」などといった賑やかで幸せそうな投稿が、嫌でも目に入ってきます。


それを見るたびに、「あいつはいいな」「自分は孤独だな」と落ち込んでしまう。でも、本当のところはどうだかわかりませんよ。


内心は大して嬉しくもないけれども、祝ってくれた相手に失礼にならないように気を遣って、しぶしぶ大袈裟に喜んで見せているだけかもしれません。


他人や自分を評価するのは、自分自身です。相手や自分のことを間違って評価してしまっていることがある——それを忘れないでほしいのです。


■他人が羨ましい人に、ぜひ気づいてほしいこと


そしてもう一つ。あなたは「嫉妬する側」だけではないことを、忘れないでほしいのです。


つまり、「嫉妬される側」でもあることを知っておくと、むやみに周囲の声に振り回されて疲れることもなくなります。


たとえば私は、東大を出たわけでも、大病院の院長だったわけでもありません。


医学者としての実績なんて、たかが知れています。


ところがあるとき、偉い大先生から謂れのない非難をされ、「何か悪いことでもしたかな?」と、後輩にぼやいたのです。


「ああ、きっとあの人は、高田先生に嫉妬しているんですよ」
「どうして僕が、あの大先生から嫉妬されるんだ?」
「だって高田先生は、たくさん本を書いて、ずっと活躍されてますから」



高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)

本当のところは、どっちが“活躍している”のかわかりません。でも、人は勝手に自分の基準で人を判定し、自己を卑下していることが多いのです。


今、私は、やりたい仕事をして活躍しているわけでもないし、やさしい家族と同じ家に住んでいるわけでもない。それでも、「あなたは健康でいいわね」とか、「いいお子さんがいて、幸せですね」なんて、勝手に羨ましがる人がいます。


足腰が弱くなった80代の女性が、自分よりずっと若い人から、「あなたはいつも明るくて、人生楽しそうでいいですね」と、会うたびに言われるなんていう話もあります。


このように、他人が羨ましい人は、「自分もまた他人から羨ましがられているのだ」と思い直して、「自分はすごいんだな!」と、喜んでしまえばいい。


他人を嫉妬して、あるいは他人にコンプレックスを抱いてふさぎ込んで生きるよりは、ずっと気持ちは軽くラクになること請け合いです。


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高田 明和(たかだ・あきかず)
浜松医科大学名誉教授 医学博士
1935年、静岡県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。米国ロズウェルパーク記念研究所、ニューヨーク州立大学助教授、浜松医科大学教授を経て、同大学名誉教授。専門は生理学、血液学、脳科学。また、禅の分野にも造詣が深い。主な著書に『HSPと家族関係 「一人にして!」と叫ぶ心、「一人にしないで!」と叫ぶ心』(廣済堂出版)、『魂をゆさぶる禅の名言』(双葉社)、『自己肯定感をとりもどす!』『敏感すぎて苦しい・HSPがたちまち解決』(ともに三笠書房≪知的生きかた文庫≫)など多数ある。
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(浜松医科大学名誉教授 医学博士 高田 明和)

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