3月11日に「3.11 検索は、チカラになる。」を実施する意義とは 担当役員が語る災害支援・防災の思い

2024年3月8日(金)12時18分 PR TIMES STORY

LINEヤフーでは2024年も、東日本大震災の被災地復興支援、風化防止、防災啓発などを目的とした「3.11 これからも、できること。」を実施しています。そのなかで、3月11日当日にYahoo!検索またはLINE(ニュースタブ上部の検索窓)で「3.11」と検索すると、おひとりにつき10円をLINEヤフーから東日本大震災の被災地支援などに取り組む団体へ寄付する取組み「3.11 検索は、チカラになる。」を行います。なお、今回は令和6年能登半島地震を受け、能登半島の被災地支援に取り組む団体にも寄付を行う予定です。

この取り組みがスタートしたのは2014年。当時、Yahoo!検索の担当で、現在、サステナビリティ推進統括本部長を務める西田が中心となって進めました。どんな思いで立ち上げたのか。合併を踏まえてどのような展望を持っているのか、話を聞きました。

西田修一(にしだ しゅういち)

執行役員・サステナビリティ推進統括本部長

2004年、ヤフー入社。2006年から「Yahoo! JAPAN」トップページの責任者を務める。2013年に検索部門へ異動。東日本大震災の復興支援キャンペーン「Search for 3.11 検索は応援になる。」を立ち上げる。2015年に検索事業本部長およびユニットマネージャーに就任。2017年から執行役員。

社会課題とマーケティングを掛け合わせたシンプルなUX

——「検索は、チカラになる。」の前身「Search for 3.11」を企画した当時の思いを教えてください

2011年の震災時、私はYahoo! JAPANトップページの責任者でした。当時、まだスマートフォンの普及率は低く、インターネットはパソコンで見る時代でした。影響力の大きなメディアを担当していたので、日頃から災害が発生したらどのように対応するか、サービスとして何ができるかなどを考え、準備をしていました。

しかし、いざあれだけ大きな震災が来ると、何をしていいかわからず、結果的に被災地のみなさんの役に立てなかったなという無力感だけが募りました。「もっとうまくできたはず」という後悔が今も胸の奥に強く残っています。

その後、私は2013年に検索部門に異動し、企画やマーケティングを責任者として見ることになったのです。2011年当時の反省を踏まえ、社会課題である震災とマーケティングを絡められないか模索していた時、グローバル企業がユニセフとタイアップで展開していたキャンペーンを目にしました。商品の売上の一部がユニセフを通じてアフリカの子どもたちのために役立てられる仕組みです。こういった手法で、自社事業の大きな柱でもある検索サービスをかけ合わせられないか、そんな流れで企画しました。

検索数を可視化することで被災地のみなさんをこれだけ多くの人々が「応援している」というメッセージにもなりますし、実際に、応援の数をお金に変換することで寄付として復興支援にもつながります。また、検索するたび、被災地に思いをはせることになるので、風化防止にもつながります。

——ここまで長く続いたポイントとは? 周囲での反響も大きかったのでは?

前例のない取り組みだったので、ユーザーに受け入れられるか予測が難しく、スモールスタートで始めましたが、初回から多くの方(約256万人)に参加してもらえました。話題になり、マーケティング領域でもさまざまな評価ももらえて認知が広がり、結果的にこれだけ長く続く施策になりました。

説明が不要で誰もが何をすればいいかわかりやすいシンプルな仕組みが受け入れられたのではないでしょうか。SNSなどで拡散のしやすさも効果的だったと感じています。

私の息子は東日本大震災が発生した頃は2歳でした。当時はまだ検索を活用したこの取り組みを理解できる年齢ではありませんでしたが、彼が中学生になった時に、「Search for 3.11」を知ったようで自分も「やってみたい」と言いだしました。個人の金銭負担がなく、子どもでも参加しやすい特徴もありますから、息子のような若い世代でもこの取り組みが話題になっていたことを知った時は嬉しかったですね。

風化を防ぎ、将来起きるかもしれない災害への備えを

——「3.11 検索は、チカラになる。」で集まった寄付は被災地でどのように役立てられてきたのですか?

寄付は被災者を支援する複数の団体の支援に使われています。

東日本大震災の被災地は宮城県、福島県、岩手県などにまたがり、広範囲です。各地で、NPO団体によるいろんな活動が行われていて、私たちはそうした団体への寄付を通じて復興支援を行ってきました。

たとえば、「3.11メモリアルネットワーク」という団体は、3県の各地で語り部、伝承活動や、その支援などを行っています。

「底上げ」という団体は、宮城県気仙沼市では中高生を相手に、福島県樽葉町では、小学生を相手に、学びの場づくりをサポートしています。

大きく分けると、風化防止につながる取り組み、あるいは、未来につながる支援金として使われることが多いですね。

寄付先の活動レポート

公益社団法人「3.11メモリアルネットワーク」による、風化防止の取り組み(写真提供:3.11メモリアルネットワーク)

認定NPO法人「底上げ」による、福島県楢葉町の子どもたちへの教育支援の取り組み

——3.11から今年で13年が経過し、風化も懸念されています。LINEヤフーとして、どのような取り組みが必要ですか?

まず、風化は悪いことなのかという視点があります。忘れてはいけないことですが、忘れることで前に進める人たちもいるでしょうから、必ずしも風化が悪いものだとは言い切れないと思います。

一方で、日本は4つのプレートがひしめく地震大国で、有史以来、多くの震災が繰り返されてきました。そのたび、多くの犠牲を払い、ここまで歴史を重ねてきています。

ですから、少なくとも、震災の記憶をゼロにせず、未来につなげなければいけないと考えています。過去を見つめるということは未来を見据えることにつながりますから。

かつて、関東大震災が起きた9月1日が、防災の日になっているように、「備蓄品を確認しよう」「防災訓練に参加しよう」と、あの日に何が起きたかを思い出すためだけではなく、将来起きるかもしれない災害に備える場になっています。それと同じような機会をメディアやSNSを提供しているわれわれがしっかり作っていくことも大事な取り組みだと思います。

2024年の「3.11 これからも、できること。」では、能登半島地震被災地支援も

——今回、能登半島地震被災地への支援も加わった経緯とは?

今年、能登で大きな震災が起きましたが、3月11日は東日本大震災が起きた日に変わりありません。引き続き、あの日を忘れないためにメッセージを発信し、必要な復興支援を行わなければならない一方で、「能登の被災地への支援も必要ではないか」「私たちに今できることはなにかないか」という議論がありました。そこで、今回の寄付先として、決定した寄付額の一部を能登の被災地支援に取り組む団体へお渡しすることになりました。

※珠洲市宝立町鵜飼地区の津波被害地域(2024年2月1日)

——被災地の能登を視察して行ったこと、感じたことを教えてください

主に、七尾市と珠洲市を視察してきました。避難所、商工会、老舗旅館などを訪れ、地元の議員、漁業関係者、伝統工芸の担い手、経営者などに将来への不安、復興に対するイメージなど、お話いただきました。また、われわれが支援をしている団体の方に、現状の課題などを聞き、それをもとに、社内で支援にあたっているメンバーなどに被災地の方々の声や思いを伝え、今後私たちができることは何か、話し合っています。

能登は半島という地理的な特性によって支援が届きにくいなどの側面もあり、復旧に時間がかかっている印象です。必要な支援についても、これまでの震災とは違い、タイミング、アプローチも異なる部分が出てくるなと感じました。

※七尾市の一本杉商店街の被災状況(2024年1月31日)

——震災直後からLINEヤフーは情報発信や寄付、物資支援などを積極的に行っていますが、そこにある原動力はなんでしょうか?

一言で言うと「責任感」ではないでしょうか。われわれのサービスは多くのユーザーに使ってもらっていますから、それだけ大きな社会的責任を負っています。

「財を持ち、権力を持つ人たちは社会の役に立たなくてはいけない」という、ノブレス・オブリージュというフランスで生まれた言葉、考え方があり、それが力を持つ企業に転用されたものがCSR(Corporate Social Responsibility)、つまり、企業の社会的責任だと思っています。

今言ったような理屈を理解していなくても、多くのユーザーに使っていただいているメディアやSNSといった社会に大きな影響力を持つサービスを提供する企業としての責任を、あらゆる現場に携わる社員は持っているように感じます。だからこそ震災発生時、なにかしなければと日頃から考えているし、休暇中の正月であろうが、自発的にすぐに動けるのだと思います。

災害大国でユーザーの生活に寄り添うため、さらなるサービスの磨き込みを

——いろんな社会課題があるなかで、防災・減災、災害支援に力を入れる理由とは?

まず、私たちは災害大国である日本で事業を行っています。私たちの生活というのは常に、災害と隣り合わせにあり、そういう国で、われわれはユーザーの生活を支える「ライフプラットフォーム」を提供しています。それゆえに、防災や減災、災害支援は第一にやるべき社会課題と位置付け取り組んでいます。

——合併を経て災害支援、防災にどう向きあっていくか、今後のビジョンを教えてください

能登が置かれた状況は、それ以前に大きな震災に遭った東北や熊本とも違うものでした。過去と同じことをすれば十分というわけではなく、常に想像を働かせながらやっていかなければなりません。LINEとヤフーが合併し、われわれはメディア、コミュニケーションツールなど、さまざまなサービスや技術を持つ企業となりました。そうしたサービス、技術を活用し、防災力を高め、被害を少しでも低減させ、被災地の復旧や復興を早める役割をも果たさなければなりません。

また、より幅広いユーザーにアプローチできるようになったことも大きなメリットです。そのうえで、LINE、ヤフー、それぞれのサービスで得意な側面を生かし、役割分担をしながら取り組んでいくことが大切だと考えています。今回、能登に行って、「LINE」が当たり前のように生活に溶け込み、LINEオープンチャットなども多くの人に使われていることを実感しました。コミュニケーションツールとしての強みをLINEアプリが持っている一方、メディアの役割も担うヤフーは3.11の取り組みもそうですが、「広げる」こと、「伝える」ことが得意です。

防災、減災、被災地の復旧、復興支援といった一連のプロセスの中で、それぞれの強みを掛け合わせシナジーを発揮していきたいと思っています。

取材日:2024年2月6日

※記事中の所属・肩書きなどは取材日時点のものです。

※本記事はLINEヤフーのホームページからもご覧いただけます。

 https://www.lycorp.co.jp/ja/story/20240308/search311.html


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