「ベネッセアートサイト直島 対話型鑑賞プログラム」の効果検証と成果報告 生徒の「自己理解」の向上が顕著な結果に

2024年3月18日(月)16時46分 PR TIMES

〜2023年11月開催「ベネッセアートサイト直島対話型鑑賞フォーラムVol.1」の動画を公開〜

 株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長CEO:小林 仁、以下:ベネッセ)と公益財団法人 福武財団(所在地:香川県香川郡直島町、理事長:福武 英明)は、福武財団により「ベネッセアートサイト直島対話型鑑賞プログラム」(ベネッセアートサイト直島:以下BASN)を2010 年より開発、実践を積み重ねてまいりました。2023年度には年間100件を超える団体・個人の方々に体験いただいております。2018年からは「エデュケーションプログラム」として、学校や企業向けのプログラム開発に注力し、学びの領域での有効性の可視化を目指して、中学・高校現場での実証研究を2022 年から2年間継続実施してきました。その結果、被検者である生徒に「自己理解」「粘り強さ」「表現力」における変容が明らかになりました。
 2023年11月に直島で開催した過去2か年の「BASN対話型鑑賞プログラム」の効果検証の成果報告会「BASN対話型鑑賞フォーラムVol.1」について、当日実施した生徒向け対話型鑑賞体験会、ご参集いただいた協力校の教師・生徒、有識者を交えてこれからの未来を切り拓いていく資質・能力育成の在り方についての議論の様子を含めた動画の配信を以下にて開始しました。

動画リンク:当日の様子をベネッセアートサイト直島公式YouTubeにて公開しています。
・【ダイジェスト版】ベネッセアートサイト直島 対話型鑑賞フォーラムVol.1(3分40秒)
https://youtu.be/dBZxHTD1g1Q?si=ues0ai4kkk41whsZ
・【フルバージョン】ベネッセアートサイト直島 対話型鑑賞フォーラムVol.1(2時間40分17秒)
https://youtu.be/ZTeFxea1fTQ?si=QDsVwW9UHl9FeB-R

 ベネッセグループならびにBASNでは教育現場での主体的・対話的で深い学びの現場実践の支援になるように、今後も継続的に取り組んでまいります。
[画像1: https://prtimes.jp/i/120/1253/resize/d120-1253-55ccf35d8b28f5d4488e-4.png ]

[画像2: https://prtimes.jp/i/120/1253/resize/d120-1253-12f9b045ba9faf2e4dc1-1.png ]

実施概要
名称:ベネッセアートサイト直島 対話型鑑賞フォーラムVol.1 〜学びと対話型鑑賞の検証〜
日時:2023年11月11日(土)13:00〜16:00(オプション対話型鑑賞体験プログラムあり)
主催:ベネッセアートサイト直島(公益財団法人 福武財団、株式会社ベネッセホールディングス)
登壇者:宮田裕章(慶応義塾大学教授)、森本康彦(東京学芸大学教授)、モデレーター:木村直人(福島国際研究教育機構(F-REI)理事)、福武英明(福武財団理事長)※敬称略
参加者:教育従事者など約20名

■今回の実証研究の内容とその成果(株式会社ベネッセホールディングス 研究主幹者 白川 隆朋)
 今回の実証研究は、「生きる力」とウェルビーイングを育む教育の必要性から始まりました。多くの学校が体験したBASN対話型鑑賞プログラムからの前向きなフィードバックに基づき、自社の教育知見を活かし、この効果をさらに可視化し、検証することを目指しました。2021年度の研究では、参加した生徒の78%が自己評価の向上を報告し、「好奇心」「自己理解」「やり抜く力」や「思考力」「表現力」の向上が確認されました。2022年度には規模を拡大し、特に「自己理解」の向上が顕著でした。アート作品を深く観察し、意見を交わすプロセスから、「粘り強さ」と「表現力」の向上も明らかになりました。対話型鑑賞プログラムを通じて、生徒たちはBASNのアート作品を深く掘り下げ、これらの能力を伸ばす機会を得ています。研究結果は、これらの能力が顕著に向上したことを示し、教育現場における対話型鑑賞の有効性を強く支持しています。

2022年度研究成果
[画像3: https://prtimes.jp/i/120/1253/resize/d120-1253-cbf7386676e8b842027f-3.png ]

[画像4: https://prtimes.jp/i/120/1253/resize/d120-1253-4d85abef6b7d27116c8a-4.png ]

 さらに、生徒とファシリテーターの間のポジティブな関係構築の重要性、生徒の内面に触れる質問、および「思考力」と「想像力」を刺激する質問の組み合わせが、生徒によい影響を与えていることが分析からわかりました。
 2023年度の研究は、特に「他者理解」の効果に焦点を当てつつ、今後はシニア、社会人、低学齢児童を含むより広範な対象に拡大し、対象への効果検証、およびファシリテーターのメソッド確立とデータを活用した育成プログラムの研究を行う予定です。そして、このプログラムから得られたエビデンスにより、対話型鑑賞の効果をより多くの人に伝え、理解してもらうことを目指します。

■BASN対話型鑑賞プログラム開発担当者コメント(福武財団 エデュケーション担当責任者:藤原 綾乃)
 ベネッセアートサイト直島では、理念である「よく生きる」について来訪者や鑑賞者一人ひとりが気づき考える体験ができることを目指し、2018年よりエデュケーションプログラムの開発を行ってきました。ファシリテーターとの対話を介してベネッセアートサイト直島の作品を鑑賞することにより、鑑賞者が自己の価値観に気づき受容する機会に繋がることは分かってきていましたが、対象者や実践機会を更に拡張していくためには具体的な効果を可視化する必要があり、今回の研究に至りました。
 近年、特に学校現場では生徒の主体的な姿勢づくりや探究学習などに重点が置かれていますが、先が見えない将来を自ら切り開く「生きる力」を養っていくためには、今回の研究で変容が見られた思考力や自己理解・自己受容を深めることが必要だと考えています。作品鑑賞を目的とするのではなく、作品鑑賞を通じて様々な非認知能力を伸ばしたり自分の「よく生きる」について考えたりするためのBASN対話型鑑賞が、美術という領域に留まらず様々な場面で活用されていくことを期待しています。

■実証研究参加校からのコメント
先生からの声
・一人ひとりが自分のものの見方を獲得してほしいと考えて導入。生徒が自分の考えが尊重され認められる、他者の考えを正解・不正解なく取り入れられるプログラムだと感じた。(水都国際中学校・高等学校 藤田 勝如教諭)
・対話型鑑賞を経てから生徒たちの表情がガラリと変わり、生徒の探究の振り返りでの文字数もずいぶん跳ね上がり内容も深まった。(修道高等学校 野上 知宏教諭)
生徒からの声 (水都国際高校1年生 生徒2名、修道高校2年生 生徒2名)
・鑑賞には画材・技法・作家の理解が必要と思っていた固定概念を壊してくれた。自分の意見でいいという安心感。
・自分と違う意見に驚き、思考が深まった。作品を通して自身の思考を深めていきたいと思った。
・未知なものとの対峙だった。当たり前に思っていたことも自分の考えに過ぎないことに気づいた。
・答えのないものから答えを見出す取り組み。発想の転換、クラスのみんなと視野を拡げられた。

■宮田 裕章氏との対談セッションおよび教育効果に関する対話型セッションより
 「我々が学ぶこと・生きることの力を磨くとは『問いをたてること』。今まで学びの中で可視化しにくかった問いを立てるということが、アートと向き合うことで高められる可能性が出てきた。アートの鑑賞体験が一人ひとりに何を及ぼすか可視化できるようになったことは大きな進化。経済合理性だけでなく、Well-being(より豊かに生きる)が大事であり、地域や未来への繋がりの中で多様な解釈が許容される対話型アート鑑賞を通じて問いを磨いていくことが重要になってきている。」(宮田 裕章氏)
〜後半の参加者も交えたセッションで出た意見〜
・表情、言葉で伝え合い、前後で変化することが学び。相手の言葉に気づき伝えあうことが対話。
・思ったことを発信し受け入れ想いを反映できる、ということを学校は今まさに取り組み始めている。
・対話から協働性や多様性を手に入れ、多数決でなく、対話による合意形成ができるようになる。
・総学や探究以外の場で、大人たちが子どもたちの気づきを阻害していないか。
・自分の意思で、自分で考え、断言していくことが大事ではないか。
・専門家の言葉や流行でなく、自分がなにものであるかに気づけるかどうかが大事。
・ファシリテーターに唯一の方法はなく、譲れない大きなモデルのようなものがあればいいのでは。
・対話型鑑賞のようなもがく時間が必要。
・当たり前を当たり前に思わない、その中で気づきが得られる。大人ももっと学ばねばならない。

プログラム
[表: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/1253_1_c0007b2ab8170c2aa345091aed2b0026.jpg ]


<ご参考>
「ベネッセアートサイト直島」(https://benesse-artsite.jp/)について
「ベネッセアートサイト直島」は、瀬戸内海の直島、豊島、犬島を舞台に株式会社ベネッセホールディングス(岡山県岡山市)と公益財団法人 福武財団(香川県香川郡直島町)が展開しているアート活動の総称です。アートを媒介とした地域づくりに30数年にわたって取り組んでおり、地域に暮らす人々とともに新しい価値を生み出し、「Benesse=よく生きる」を世界へ発信しています。ベネッセアートサイト直島は、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて策定したベネッセグループの「サステナビリティビジョン」においても、重点活動の1つとして、「地域との価値共創」の中核を担っています。

※参考:2022.9.7:「ベネッセアートサイト直島「オンライン対話型鑑賞プログラム」の中学・高校向け実証研究を開始」
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/education/2022/09/07_5861.html
※参考:ベネッセアートサイト直島:教育プログラム紹介(未来を描くプログラム)
https://benesse-artsite.jp/education-program.html

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