「仕事が異常に早い人」は何をやっているのか…外資コンサル流「同じ時間で10倍の成果を出す」メソッド

2024年3月20日(水)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

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仕事を早く片付けるにはどうすればいいか。元外資コンサルタントでハイパフォーマンス代表の名郷根修さんは「『仕事は自分一人でやるもの』と考えているうちは、仕事は速くならないし成果も上がらない」という——。

※本稿は、名郷根修『10x 同じ時間で10倍の成果を出す仕組み』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。


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■仕事は「どうやるか」ではなく、「誰とやるか」


「10倍の目標」を達成するスピードを劇的に速める方法があります。その方法とは、「どうやるか」の考え方から「誰とやるか」の考え方にシフトすることです。


多くの人は目標を達成しようとするときや課題を乗り越えようとするときに、まず「どうやるか」を考えます。自分が「好き」ではないこと、「得意」ではないことは、自分で「どうやるか」を考えるよりも、「誰とやるか」を考えたほうが、自分でやるよりも劇的に速く、質の高い仕事ができます。


たとえば、パソコンやIT関連のことが「好き」でも「得意」でもない人が、会社のウェブサイトをつくるときに、まずインターネットを検索して調べたり、本を読んで勉強したり、ウェブサイトを作成する講座に通ったりするかもしれません。


しかし、それらは、「10x」の観点で最適な行動ではありません。もし、このやり方でウェブサイトが完成したとしても、多くの時間や労力がかかり、プロが制作する場合と比較して質が見劣るなど、結果としてコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスが低いアウトプットになってしまいます。


■自分の仕事も、得意な「誰か」に頼んでいい


「10x」で重視する「誰とやるか」では、まず「ウェブサイトをつくることを助けてくれるのは誰か?」を考えます。ウェブサイトをつくることがユニークアビリティである「誰か」を見つけられると、自分でやるよりも比較にならないくらい速く、目的にかなう質の高いウェブサイトをつくることができます。


「ウェブサイトをつくることを助けてくれるのは誰か?」を考えた場合、プロのウェブデザイナーに外注する、社内のデザイナーに依頼する、ウェブサイトをつくるのが好きで得意な同僚や友人に相談するなど、いくつかの選択肢があると思います。それらを踏まえて「誰が自分に代わってこの目標を達成できるか?」を考えてみてください。


この観点で考えると、いくつか選択肢のある中で「誰」が適しているかを絞ることができます。また、ウェブサイトをつくるという目標には予算もあると思いますので、その予算の範囲内で選択肢を検討し、最も効果の高い「誰か」を選んでいきます。


■そうしないと目標未達どころか、自信も失ってしまう


自分が「好き」でも、「得意」でもないことだと、時間がかかるだけではなく、先延ばしにしたまま未達で終わってしまうケースもあります。というのも、じつはさきほどの会社のウェブサイトをつくる例は私の話です。当初はウェブサイトのつくり方を調べたり学んだりして、自分でつくろうとしたものの、先延ばししてしまった結果、未達に終わってしまいました。


また、私は自身で運営するコーチングの事業のYouTubeによる動画の編集についても、最初に「どうやるか」を考えて自分でやろうとしました。動画編集の講座に通ったり、専用のツールを購入したりして、お金をかけましたが、結局、プロの動画編集者に任せるほうが比較にならないくらい短い時間で質の高い動画になるのを痛感しました。


振り返ると、自分で「どうやるか」にこだわらずに、初めから「誰が私に代わってこの目標を達成できるか?」を考えていれば、時間も労力もお金も失うことはなかったと思います。


「どうやるか」に固執した場合、失うことはほかにもあります。それは「自信」です。自信とは、目標を達成できるという自分の能力を信じることです。しかし、自分が「好き」ではなく「得意」ではないことを頑張ってやり続けたけれど、先延ばしにしたり、未達で終わったりすると、目標達成が遠ざかるため、自信を失います。


さらに、先延ばしをしたことで、幸福感が損なわれるだけでなく、罪悪感が生まれ、抑うつなどのメンタルヘルスの症状も増えてしまったりしたという研究結果も出ています。


■好きでも得意でもない仕事ほど消耗するものはない


私はウェブサイトの制作や動画の編集などでの苦い経験からも、今は「10x」による「どうやるか」以上に「誰とやるか」を考えるようになっています。実際、「誰とやるか」を考えることで、より速くより大きな目標を達成できています。


「どうやるか」を「誰とやるか」に転換したら、どれだけの時間を節約できますか?


1日に1人でタスクを行える仕事量には限りがあります。とくに「好き」でも「得意」でもない仕事の場合は、時間とエネルギーを消耗してしまいます。たとえば、あなたが会社のウェブサイトをつくる新しいプロジェクトに取り組むとします。1つの方法は、自分自身ですべてのタスクをこなすことです。


しかし、さきほど私の失敗例としてもお伝えした通り、自分のユニークアビリティではないとしたら、ウェブサイトをつくる方法を学ぶのは「10x」の観点では最適な行動ではありません。時間がかかってしまうだけでなく、質の低いウェブサイトができてしまうからです。


■10分の1の時間ではるかに質の高い成果を出せる


一方、自分自身ですべてのタスクをこなすのではなく、ウェブサイトをつくるのがユニークアビリティである人に依頼する。すると、自分でつくるよりもはるかに速く、質の高いウェブサイトができることでしょう。


そして、そこにかかるコストについては、あなたがユニークアビリティを発揮できる仕事に注力して生み出すのと比べたら、どちらがタイムパフォーマンス的にも、コストパフォーマンス的にも良いでしょうか?


自分がユニークアビリティではないことに注ぐ時間を「どうやるか」を「誰とやるか」に転換すると、どれだけ節約できるかを数値化してみてください。仮にあなたが自分でウェブサイトをつくる場合、調べたり、学んだりする時間も含めて200時間かかるとします。


一方で、ウェブデザイナーに任せる場合、要件定義や内容確認にかかる時間も含めて20時間でつくることができたとします。「どうやるか」を「誰とやるか」に転換した結果、自分がウェブサイトをつくる場合と比べて、仮に10分の1の時間で、さらにはるかに質の高いものを作成できるかもしれません。そして、節約できた180時間を自分のユニークアビリティを活かせる仕事に使えたら、どれだけのお金を生み出せるでしょうか?


■「1人で目標を達成できる」と思っていないか


実際に私はユニークアビリティでもないのに自分でウェブサイトをつくったり、動画を編集したりして悪戦苦闘しましたが、そうする前に、「どうやるか」を「誰とやるか」に転換した場合の時間を数字で比較していたら、間違いなく「誰とやるか」を選んでいたことでしょう。


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あなたも自分のユニークアビリティではない仕事をしている場合には、その仕事がどれくらいの時間を要していて、「誰とやるか」に変換した場合、どれだけの時間を節約できるかを計算してみてください。そして、その節約した時間をあなたのユニークアビリティに特化した仕事に注力したら、どれだけのお金を生み出せるかも計算してみてください。


1人で長い時間働いても思うように成果が出ないとき、そこには、ある壁が立ちはだかっていると言えます。そこで、その壁を乗り越えるべくパラダイムシフト(その時代に当然だと考えられていた価値観などが劇的に変化すること)を起こします。壁を乗り越える前の段階をパラダイム1とすると、パラダイム1は「1人で目標を達成できる」「私は、ほかの人のサポートを必要としていない」という状態です。


■「頑固な個人主義」のままでは稼ぎも増えない


もちろん、自分ひとりでできるというのは大切なことです。しかしながら、すべてを人に任せず、自分だけでやろうとするのは考えものです。私は、これを「頑固な個人主義」と呼んでいます。


パラダイム1の「頑固な個人主義」の考え方に固執していると、自分の能力の範囲内でのアウトプットしかできません。パラダイム1に対して、パラダイム2は、自分で「どうやるか」以上に「誰とやるか」を重視し、自分が「好き」で「得意」ではない仕事はユニークアビリティを持つ人に任せる、という考え方です。


私自身や私の周りのひとり起業家の経験でも、チームではなく、1人でビジネスを行う場合、1000万円から3000万円の範囲で「年商の壁」が立ちはだかります。パラダイム1の「頑固な個人主義」の考え方では、どんなに長く熱心に働いても、年商3000万円以上を達成するのは難しくなります。


けれども、「どうやるか」以上に「誰とやるか」を重視し、自分ひとりではなくユニークアビリティを活かしたチームで仕事をすることでパラダイム2へシフトすると、パラダイム1で仕事をしていたときよりも短い時間で年商3000万円を超える成果を出せるのです。


■仕事の時間は考え方ひとつで節約できる


自分が「好き」で「得意」ではない仕事はユニークアビリティを持つ人に任せ、そこから生み出した時間は、自分のユニークアビリティを活かした仕事に注力していくと、できる仕事の限界値が劇的に上がります。


しかも「好き」で「得意」な仕事は、エネルギー高く情熱を持って続けることでよりスキルアップします。その仕事を続けていくと、自分のユニークアビリティをさらに伸ばすことができます。ユニークアビリティを活かした仕事に注力できるようになると、日々、自分の好きで得意な仕事なので、仕事のプロセスも楽しめるようになります。


あなたは「好き」でも「得意」でもない仕事を我慢して目標を達成する道と、「好き」で「得意」な仕事に注力してチームで目標を達成する道のどちらを選びますか? 目標を達成するために「好き」でも「得意」でもない仕事をしてストレスの続く日々を過ごすよりも、プロセスも楽しみながらのほうがモチベーション的にもいいですよね。


「どうやるか」を「誰とやるか」に転換すると、それまでには見えなかった世界が見えてきます。節約して生まれた時間で、あなたがユニークアビリティに特化した仕事に取り組むことで、さらに大きな成果を生み出せます。


節約して生まれた時間は、仕事に費やすのではなく、大切な人と過ごす時間にすることもできます。つまり、節約して生まれた時間で、さらにビジネスを拡大することもできますし、自由な時間を過ごすこともできるという選択肢を得られるようになるのです。


■好きではない仕事を続けると、人は不健康になる


また、自分でやることを減らすと、その結果、時間とエネルギーを節約できます。その節約して生まれた時間とエネルギーを自己成長や休息にあてることもできます。自己成長のための学びを通じて、新たなスキルや知識を習得し、自身のユニークアビリティを磨き、ビジネスに活かすこともできます。



名郷根修『10x 同じ時間で10倍の成果を出す仕組み』(日本実業出版社)

「体が資本」という言葉通り、健康は大切です。そして休息をとることで、ビジネスでも成果を出すために必要な集中力や持続力が生まれます。また、十分な休息とリラックスの時間をとると、創造性が向上し、より柔軟で効果的な意思決定ができるようになります。


人生で私たちが使える時間は限られています。「好き」ではないことや「得意」ではないことを一生懸命やって自分の時間を無駄に使うのはやめましょう。自分が「好き」ではない仕事や「得意」ではない仕事を手放すと、自分の時間を生み出すことができます。そうすると自分の心も解放されて、本当のやりたいと思う「10倍の目標」の実現に向けて時間を使えるようになるのです。


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名郷根 修(なごうね・しゅう)
ハイパフォーマンス代表取締役
1978年岩手県生まれ。Rotterdam School of Management, Erasmus University 経営学修士(MBA)。米国戦略コンサルティングファーム、グローバル医療機器メーカー・フィリップスで勤務後、現在はグループ合計年商180億円の医療分野の会社・南部医理科とフィンガルリンクの経営に携わり、世界最先端の医療技術や製品の普及に努めている。「伝説の戦略コーチ」として知られ、Strategic Coach社を創設したダン・サリヴァン氏に師事し、同社が提供している「10x Ambition Program」を卒業した唯一の日本人。
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(ハイパフォーマンス代表取締役 名郷根 修)

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