なぜ一流の経営者は神社に行くのか…パナソニック創業者・松下幸之助が熱心に祈っていた"2つのこと"

2024年4月15日(月)9時15分 プレジデント社

松下電器歴史館の敷地内に建つ創業者・松下幸之助の銅像=2008年9月22日、大阪・門真市 - 写真=時事通信フォト

写真を拡大

パナソニック創業者の松下幸之助は、神仏に熱心に祈っていたことが知られている。『愛される人はなぜ神社に行くのか?』(講談社)の著者である八木龍平さんは「経営の神様と呼ばれた祈りの達人は、自身が存在することへの感謝と、そして素直な心でいられるようにと誓っていた」という——。

※本稿は、八木龍平『愛される人はなぜ神社に行くのか?』(講談社)の一部を再編集したものです。


■入口前で「何のために参拝するのか?」明確にする


ここからは、あまり知られていない、神社仏閣の活用法をお伝えします。


もちろん私自身、実践して効果があったものです。


写真=時事通信フォト
松下電器歴史館の敷地内に建つ創業者・松下幸之助の銅像=2008年9月22日、大阪・門真市 - 写真=時事通信フォト

フツーに参拝していただければ十分だとは思いますが、せっかくなので興味深かった発見をお伝えできればと思います。


最初にお伝えするのは、参道を歩くのに1分以上かかりそうな社寺限定の方法です。


まず門の手前がポイントです。神社だと鳥居の前ですね。


「これから参拝するぞ!」と気持ちを切り替えて、門や鳥居をながめます。


ここで私のおすすめは「相談したい内容を決めること」です。


「一体私は何のために、目の前の社寺を参拝するのだろう?」と、ちょっと考えていただき、心の中で相談内容を決めて宣言して欲しいのです。


相談の具体例をあげると、


「○○さんとお付き合いしたいです」
「○○さんとお別れしようか迷っています」
「私に合う人と出会いたいです」
「もう会社を辞めようかと思っています」
「商品の売れ行きに自信がありません。もっと売れるようにしたいです」など。

基本は、「こうしたい」「こうなりたい」という自分の意思を示すことです。もし迷っているなら、迷っていることを明確にしてください。


話が長いと、意思が明確になりませんので、ひとこと、ふたことにまとめてください。文章でいえば1行以内ですね。


話が長くなる原因の大半は「言い訳」です。人間相手に言い訳する意味はあるかもしれませんが、神仏に言い訳する意味は全くありません。


「悪いやつ・ひどい人と思われそう!」なんて気にせずに、神仏に伝えたいことは、本音をシンプルに表現するのです。


そして心を決めて軽くお辞儀をし、門・鳥居をおくぐりください。


■神仏は参道で隠された本心を「暴露」する


さあ、お心は決まりましたか?


相談内容を心の中で宣言してから門・鳥居をくぐると、参道で相談内容の回答が返ってきます。心の中に浮かび上がるのです。


「神仏が話しかけてくれるの?」


「私はそんなの聞いたことないけど!」と思われそうですね。


「あー、普通に話しかけてくれるよね」という方もいらっしゃいそうです。


たとえば、自分の心の中でこんな思いが浮かび上がります。


「○○さんとお付き合いしたいです」
(回答)→「1回ヤレればいい」→(本気で好きじゃないと気づく)


「○○さんとお別れしようか迷っています」
(回答)→「別れよう」→(別れを決める)


「私に合う人と出会いたいです」
(回答)→(ある人の顔が浮かぶ)→(あ、あの人がいたかと納得)


「もう会社を辞めようかと思っています」
(回答)→「一人前のエンジニアになりたい」→(願いの本質に気づく)


「商品の売れ行きに自信がありません。もっと売れる方法を知りたいです」
(回答)→「一流の良い商品をつくろう」→(目先の売り方に走るのをやめる)


「(シンプルにまとまらずウダウダと相談を伝えた場合)」
(回答)→「中途半端」→(あー、これじゃダメだなと気づく)


このように、参道を歩いていると浮かび上がる相談内容の回答とは「自分から自分への回答」です。


潜在意識に隠されている自分の本音が、ふと、わいてくるのです。


■結婚したいと言いつつ、本音は「今の家族が大事。以上」


神仏はスクープ誌以上に、自分の隠された本心を暴露してきます。


誰にも聞かれていないので、慌てる必要はありませんが、それでも「そんなことを思っていたのか」とショックを受けることはあるし、逆に「それでいいんだ」とホッと安心することもあります。


結婚を意識する女性のご相談でよくあるのはこんな回答です。


「できれば来年には結婚したいです」
(回答)→「家族が健康であればそれでいい」→(結婚したいのは、ただ親を安心させたいからだと気づく)

結婚したいと言いつつ、本音は「今の家族が大事。以上」ということですね。


今のままでいいし、今のままが続いて欲しい。だって今、幸せなのだから。


「結婚したい」の本音は、「今の幸せがこのままずっと続くのか? いや、続くわけがない」という不安のあらわれであることも多いのです。


参道を歩くコツは、ただ静かに歩けばいいだけです。


あえて注意点をあげるとすると、参道では、ずっと誰かとしゃべり続けたり、写真を撮り続けたりしない、だけでしょう。自分の内側に心を向けることなく、外ばかりに意識が向くと、本音を明らかにする時間が取れないからです。


なお、特に回答がなくとも、それはそれで問題ありません。暴露するような、隠された本心は、特別なく、素直に生きておられるのでしょう。


そもそも、なんとなく参拝したり、あるいは日々の習慣で散歩のように参拝するだけなら、相談することはないのですから、回答もなくて当然です。相談することは義務でもルールでもありません。ただ、あなたがしたければ、してください。


「こんな参拝法を私はこっそりしています」という共有にすぎません。


ご自身の隠された本心を知りたい方は、ご活用ください。


■パナソニック創業者・松下幸之助が祈っていたこと


さあ、イザ神仏の前に立ちました。神社では拝殿と呼ばれる場所で、目の前には、おさいせん箱のある社寺が多いでしょう。


隠された本心が明らかになった人も、もともと素直なためか特に何もなかった人も、ここで祈ることはただひとつです。


素直な気持ちで祈る。ただそれだけです。


パナソニック創業者の松下幸之助氏は、神仏によく祈っていたことでも有名です。


パナソニック創業者の松下幸之助氏は、神仏によく祈っていたことでも有名(写真=時事画報社『フォト』1961年8月15日号より/PD-Japan-organization/Wikimedia Commons

「何をお祈りされているのですか」と問われた幸之助氏は、「一つは根源に対する感謝や。いま自分がここに生まれているということも根源の力のおかげやからね。もう一つは自分が何ものにもとらわれない素直な心で、自然の理に従っているのかどうかを反省しているのや」と答えています。


経営の神様と呼ばれた祈りの達人は、自身が存在することへの感謝と、そして素直な心でいられるようにと誓ったわけです。


だから自身の素直な気持ちを明らかにすることが何より大事で、あとはただその気持ちを神仏にお伝えするだけです。


■バチを当てるのは神仏ではなく人間


神仏というと、この世を支配する絶対者のようなイメージをお持ちかもしれませんが、日本の伝統宗教では、神仏の正体は自分自身の奥底にある何かです。


潜在意識の奥底にある自分自身のことで、これを昔の宗教人は神性とか仏性と表現したわけです。



八木龍平『愛される人はなぜ神社に行くのか?』(講談社)

だからたまに「神様(仏様)ってバチを当てるんですか?」と問う人もいますが、バチを当てるのは人間です。人間が人間にバチを当てるだけ。あなたや他の人が、誰かにバチを当てる気なら、バチが当たります。もし、人間が罰したのではなく、神罰・仏罰が当たったように見えることがあるとしたら、それはただの偶然です。


自然災害も、自然が人間のように主体的な意思を持つわけではありません。あくまで自然の流れで変化が生じただけで、当たり前ですが、そこに悪意や罰したい意思はありません。ただ、人間が勝手に「これは神のご意思ぞ!」と妄想するだけです。


同じように、人間のご縁も、自然の流れで生じたり消えたりします。


■祈るときは、素直な気持ちをそのまま伝える


ただ人間の場合、自然の流れに任せたくない気持ちも強い。できれば自分の思い通り・欲望通りにコントロールしたい意欲があるわけです。だからこそ松下幸之助氏は、「素直でありたい」と、毎日毎日祈り、反省し続けたわけですね。


それくらい、素直でいることは困難です。


困難だからこそ、神社仏閣に参拝する意義もあります。


神社仏閣参拝は、人が素直でいられることをサポートします。自分の潜在意識の奥底にある神性や仏性と向き合う貴重な機会です。


有名な社寺に参拝することを「観光」といいますが、観光の語源は「光を観る」。その光とは、あなたの中にある神性・仏性です。


何も考えず、それでいて集中していると、素直があらわれてきます。神仏に祈るときは、あなたの素直な気持ちを、ぜひそのままお伝えください。もし参道で明らかになった本心と、門・鳥居の前で決めた相談内容に、違いやズレがある場合は、参道の本心の方をお伝えされてください。


----------
八木 龍平(やぎ・りゅうへい)
社会心理学者・神社の案内人
1975年京都市生まれ。NTTコムウェアのシステムエンジニア、富士通研究所シニアリサーチャー、北陸先端科学技術大学院大学・客員准教授、青山学院大学・非常勤講師などを歴任。リュウ博士として執筆のほか、セミナーや神社参拝ツアー等で活躍中。著書に『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』(サンマーク出版)などがある。
----------


(社会心理学者・神社の案内人 八木 龍平)

プレジデント社

「神社」をもっと詳しく

「神社」のニュース

「神社」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ