時代に不可欠な終末期医療:ホスピス展開、シーユーシーの立ち位置

2025年5月9日(金)9時29分 財経新聞

 シーユーシー(9158、東証グロース市場)が、投資家の期待に応える動向を示し始めた。昨年6月21日公開公募価格1920円に対し4430円と、30%余上値で始まったシーユーシーの収益動向が増幅基調に転じた。

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 上場直後の2024年3月期こそ「6.2%の減収、1.5%の営業増益」にとどまった。もっともその要因は医療機関事業の「コロナワクチン接種」の減少によるものだった。それが翌25年3月期には「42.4%の増収(470億4300万円)、43.0%の営業増益(53億4300万円)」に転じた。そして今3月期は「23.8%増収(582億5000万円)、2.9%営業増益(55億円)」計画で立ち上がった。

 シーユーシーが取り組事業は、3つに大別される。

 (I)医療機関支援事業: 医療現場の負荷減・効率化を手掛けている。評価のほどは今年3月に受賞した『ウェルビーイング・アワード2025』で組織・チーム部門の最高賞:GRAND PRIXの受賞に象徴的。周知の通りウェルビーイングは昨今話題となっている「健康・幸福」を示す概念。人手不足に起因する医療現場の過重労働⇔定着率の低下などを解消する為にシーユーシーが取り組む施策が評価されたという次第だ。

 (II)ホスピス事業: 終末期の人に対する痛みの軽減・緩和、精神的安定を目的とした医療。従来、病院の緩和病棟が主体だったが専門施設が中心になってきている。緩和病棟と施設の間に線引きはない。が「病院の緩和病棟の場合、長期化⇔社会保険料負担増」から、施設型のホスピスが時代の流れとなっているとされる。シーユーシーは株式の上場により141億円余りの資金調達を行ったが、「ホスピスの体制整備、建設に資金を充当する」としている。

 (III)居宅訪問看護事業: 365日24時間体制の訪問看護ステーションの展開。

 24年3月末時点でシーユーシーが展開する国内の拠点数は、「訪問看護拠点:88/ホスピス拠点:41」。前3月期決算の前記3事業の内訳は、「医療機関支援/49.8%増収(176億300万円)、6.7%営業減益(36億1600万円)」「ホスピス/32.4%増収(137億5900万円)、147.4%営業増益(10億200万円)」「居宅訪問看護/12.5%増収(123億900万円)、95.7%営業増益(12億500万円)」。

 癌による年間の死者は約37万人。日本ホスピス緩和協会ではそうした現実を鑑み、「緩和ケア病棟は累計321病院/6421床あるが、施設となると215カ所と足らなすぎる」としている。

 本稿作成中の時価は1000円トビ台水準、年初来安値水準にあるが見守り続けたい株である・・・

財経新聞

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