「とりあえずテキストを開く」から挫折する…TOEIC550点→800点を可能にする「勉強を始める前にやるべきこと」
2024年10月5日(土)8時15分 プレジデント社
※本稿は、こーずぶろぐ『マジカル勉強脳 1日ブッ通しで机に向かえる超絶スタディハック』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages
■「戦略」がない目標は達成できない
目標達成には、戦略が必須です。ただひたすら勉強するというのも悪くないですが、必要以上に時間がかかってしまったり、途中で進むべき道を誤ってしまったりします。目標を確実に達成するために、到達までのレールを自分で敷いていきましょう。
戦略策定において重要なのは数値化です。目標地点と、自分の現在地を数値で具体的に把握することで、今自分に必要なことが明確になってきます。勉強は、その差を埋めるプロセスなのです。
戦略策定は以下の順番で行いましょう。
1.敵を徹底的に分析する
2.自分の現在地の把握
3.確実に未来を叶えられる基準の設定
4.必要なものを見極める
5.マイルストーンを設定する
それぞれ順番に、具体的に説明していきます。
孫子の言葉に「彼を知り己を知れば、百戦あやうからず」という教えがあります。これは、戦いにおいて敵を知り、自分を知ることで何度戦っても敗れることはないと説いている言葉です。実は、勉強でも同じことが言えます。
敵=試験です。
敵の分析と自己分析を徹底すれば、どんな困難な状況でも勝利をつかむことが可能になるのです。最初は、試験の要項を把握することから始めます。具体的には、次のポイントを洗い出してください。
・試験の実施日時
・試験の実施頻度(年に1回・半年に1回・毎月1回など)
・出題傾向
・出題される科目や試験範囲
・試験方式(リスニングがある、実技試験があるなど)
・合格率
・合格ラインに達する点数
・問題や回答形式ごとの点数配分(「大問1で計40点」や、「マークシートでの回答が30点、筆記が20点」など)
■まずは勉強の全体像をつかむ
たとえば出題範囲が広くて合格率が低い試験であれば、やはりある程度の勉強時間と努力が必要になるでしょう。一方、出題範囲が限定的で、合格率が比較的高い試験であれば、短期集中という選択肢も出てくるかもしれません。「分析」とは名ばかりの、至ってシンプルな工程です。
しかしこの作業が抜けていると、試験の全体像がつかめません。全体像が見えない相手に対しては戦略が組めません。結果、勉強の効率が低下する、不要な勉強までしてしまって疲弊するといった事態を招きます。
TOEICなど、合格不合格がない試験の場合は、目標点数を決めましょう。たとえば、就職試験で800点以上の成績が有利になるのであれば、800点が目標点数です。
試験がない教養的な勉強の場合は、自分がその分野についてどのくらい詳しくなりたいかを想像してみるとよいでしょう。
知識には「深さ」と「広さ」があります。最初にその分野を極めている人の話を聞いたり、インターネットで情報を調べたりすることで、自分がどこを目指すべきかが明確になりますから、それに必要な知識の全体像を把握しておきましょう。
自分が何を、どのレベルまで、どのくらいの期間で学ぶのかを明確にすることで迷いやためらいがなくなり、どんどん勉強し続けられる自分に近づきます。
■理解度に応じて勉強するウエイトを決める
敵のことを十分に把握できたら、次は自分自身の分析に取り掛かります。
はじめに、合格点に対して、自分の実力が現状何点くらいで、その差分がどれくらいあるかを把握しましょう。このとき、数値化することを徹底してください。数字で明確な差分をつかむことで、ゴールまでの道がより明確になります。
次に、試験範囲や科目に対する自分の理解度を把握し、それを分類する作業に移ります。ひと口に戦略と言っても、得意な科目を伸ばしていくのか? 苦手な科目の点数を底上げするのか? など、様々な方法が考えられます。
自分の現在地からゴールまでの距離を、どうやって埋めていくかを考えるために、自分の実力の解像度を上げていくのです。理解度は、おおむね以下のように分類ができるかと思います。
A.比較的得意、応用まで活用できる内容
B.基礎知識は一定あるが、応用となると難しい内容
C.基礎知識にもやや不安がある内容
D.出てくる言葉は聞いたことがあるものの、きちんと勉強したことはない内容
E.これまでまったく触れたことがなく、言葉の意味など基礎中の基礎から始めなければいけない内容
人は、まったく勉強をしていなかったとしても、日常生活からその分野に関する一定の知識を得ている場合があります。
すべての内容を基礎の基礎から学んでいくのは極めて非効率。理解度に応じて、重点的に勉強する内容にウエイトをかけていくのが正攻法です。
■できる・できないを知ることは戦略の要
今まで一度も触れたことのない内容を勉強し始める人は、ほとんどの内容が「E」に当てはまると思いますが、そこで不安に思う必要はありません。
この工程の目的は「できる・できない/知っている・知らない」の度合いをチェックすることではなく、必要な勉強を見極めて、勉強の戦略を立てるときの参考にすることだからです。
また、分類するときも、それほど細かく分けなくても結構です。「ここはよく知っているから、あまり時間を割かなくても大丈夫」といったように、大まかにイメージを作っていけばOKです。
私が薬剤師国家試験対策として勉強を始める際に真っ先にやったことも、試験で出題される範囲を早めに確認し、必要な勉強が何かを把握することでした。薬剤師国家試験は試験科目が非常に多く、特定の範囲に絞って勉強する戦法が通用しない試験で、普段から「苦手を作らない」勉強をすることが必要でした。
最初は、勉強すべき内容の膨大さに絶望しましたが、早々に自分がとるべき方向性がわかったので、全教科をまんべんなく勉強する計画を立てられました。何より、きちんと計画を立てて勉強した結果、実際に合格できたのでよかったと思っています。
このことからも、「何を勉強するか決めること」がいかに重要かわかると思います。出題範囲の広い試験に挑戦しようとしている方にとっては、特に有効な方法です。
■合格点のプラス10〜15%を目標としておく
さて、試験の合格点が80点のとき、過去問で毎回80点取れる実力をつければ本番でも同様に80点取れるでしょうか。
これは、かなりチャレンジングな数字だと私は考えています。
試験本番は緊張したり、突然出題の形式が変わったりして、本来の実力を出し切れないことがよくあります。試験本番では実力の80%程度しか発揮できないと言われることもあるほどです。
写真=iStock.com/skynesher
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skynesher
このため、自分の本来の実力を出し切れないことを前提に、目標点数を設定しておくことが重要です。私の場合、合格点のプラス10〜15%程度で目標点数を見積もることが多いです。
80点が合格点だとしたら、普段の練習では90点程度を目標にしておくということです。このように余裕を持たせることで、試験本番に予期せぬ事態が発生しても、合格ラインを超える可能性が高まります。
練習で高い点数を取ることは、本番での不確定要素に対処する余裕につながるのです。
また、日頃から高得点を目指して練習することは、試験に対する自信を高める効果もあります。高得点を取るためには、知識の暗記だけでなく、応用力や問題解決能力も必要なため、試験本番で出題形式が変わったなどの場合でも冷静に対応できる力が身についているでしょう。
「自分はどんな問題が来ても大丈夫」と自信を持てれば、緊張もいくらか和らぐはずです。
■分析の結果、今何を勉強するべきかが分かる
試験の分析と自己分析ができたら、実際に数値化した差分をどのように埋めていくかを、具体的に考えていきます。目標達成に必要な要素を見極めていくのです。
たとえば、TOEICで800点を取ることが目標だとしましょう。現在のスコアが550点だとすると、目標達成にはあと250点必要です。
この250点アップをどう実現させるかを考えたときに、参考にするのが自己分析の結果です。「語彙力はいいほうだが、文法知識が足りない。読解力ももう少し強化したい」ということがわかっていれば、文法知識と読解力を鍛えるべきだとすぐに判断できますよね。
それがわかれば、あとは具体的に何をどう勉強していくかを考えるだけです。たとえば、次のような手法が思いつくでしょう。
▼文法知識の補強
・文法書や参考書を読み返し、基礎を復習する
・文法だけをまとめた問題集を解いて、集中的に知識を付ける
・英文を読む際にただ読むのではなく、文法構造にも意識を向ける
▼読解力の向上
・毎日一定量の英文を読んで、英文に慣れる
・時間を計って問題を解き、スピードを上げる
・問題集の解説をじっくり読んで、長文読解のコツをつかむ
このように目標達成に必要な要素を具体的にリストアップすることで、自分に足りないものが明確になります。理想のスコアに到達するために、自分が何を勉強する必要があるのかが見えてくるでしょう。
■マイルストーンの設定がおすすめ
目標達成に必要な要素が明確になったら、戦略策定はほとんど終わったようなもの。あとは、試験までのスケジュールに合わせて、必要な要素を落とし込んでいきます。
こーずぶろぐ『マジカル勉強脳 1日ブッ通しで机に向かえる超絶スタディハック』(KADOKAWA)
このとき、設定した目標の達成期限から逆算して考えるのが効果的です。期限までに必要な知識を身につけるためには、どのようなスケジュールで勉強を進めていけばいいかを考えるのです。
また、必要だと見極めた勉強の中に、関連性がある場合があります。経済学のマクロ経済を理解するには、前提としてミクロ経済学の知識が必要、といった感じです。
この場合は、必ず前提となる知識を先にインプットしておく必要があります。以下に、TOEICテストで800点を取りたいときの具体例を用意したので、これを参考に、自分の試験に落とし込んでみてください。
出所=『マジカル勉強脳 1日ブッ通しで机に向かえる超絶スタディハック』
出所=『マジカル勉強脳 1日ブッ通しで机に向かえる超絶スタディハック』
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こーずぶろぐ
勉強系YouTuber
1997年生まれ。現役薬剤師。大学在学中より、勉強を頑張っていきたい人と共に高め合いながら成長したいと考え、YouTubeチャンネルを開設。2024年5月現在、登録者数6.85万人を突破。在職中にもかかわらず、平日・休日問わずストイックに勉強する姿が、モチベーションにつながると好感を得ている。勉強に目覚めたのは高校生のとき。入学時より推薦枠をとるため、計画的に勉強し、成績は常に学年上位をキープ。大学在学〜就職後も薬剤師国家試験やファイナンシャルプランナーなどに合格、狙った資格は確実に取得している。
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(勉強系YouTuber こーずぶろぐ)