リブレット形状を航空機に大面積施工し、燃費改善効果を計る飛行実証実験を開始します

2023年11月10日(金)16時17分 PR TIMES

当社独自の“塗膜形成技術”を活用したリブレット技術が、航空機外板への大面積施工を実現し、次の段階へ進むことになりましたので、お知らせいたします。

2023年11月10日

オーウエル株式会社(本社:大阪市西淀川区、代表取締役社長 川戸康晴、コード:7670 東証スタンダード市場、以下 当社)は、日本航空株式会社(以下「JAL」)、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)と共に、航空機の燃費改善によるCO2排出量削減を目指し、当社独自の“塗膜形成技術”を活用したリブレット技術(※1)を用いて機体外板の塗膜上に約60平方センチメートルのリブレット(※2)を施工した航空機(ボーイング737-800型機)による飛行実証試験を2022年7月より進めてきました(※3)。
当社の施工方法による機体は、2023年4月時点で施工後約1,900時間、2023年6月時点で施工後約2,300時間が経過し、十分な耐久性を有することが段階的に確認されておりますが、このたび、航空機外板への大面積施工が完了し、実際の燃費改善効果の検証を進めることとなりました。

(※1)当社独自の“塗膜形成技術”を活用したリブレット技術(Paint-to-Paint Method)
既存の塗膜上に、水溶性モールドで塗膜に凹凸を形成する手法

[画像1: https://prtimes.jp/i/131440/3/resize/d131440-3-9fb122b4dff8b8fe63b9-1.jpg ]


(※2)リブレット
サメ肌形状によって水の抵抗が軽減されることにヒントを得て考案された微細な溝構造。航空機の飛行時の空気の流れに沿って機体外板に微細な溝構造を形成することで、飛行時の抵抗を軽減することができる。

(※3)2023年2月28日付プレスリリース 『JAL、JAXA、オーウエル、ニコン 世界初、塗膜にリブレット形状を施工した航空機で飛行実証試験を実施』
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00965/f661175d/0487/484e/970a/43ebffe3b2da/140120230228519308.pdf


航空機の大面積への施工を実現するためには、(1)水溶性モールドの大型化、(2)大型化に伴う施工技術の確立、といった課題を解決したうえで、(3)施工箇所・面積を評価する必要があり、当社はJAL、JAXAと共同で最適な方法を検証してきました。

(1)水溶性モールドの大型化(当社)
1.水溶性モールドの量産を見据えた材料および製造工程の見直し
2.現場施工を可能とするフィルム構成に改良

(2)大型化に伴う施工技術の確立(当社、JAL)
1.施工現場である整備格納庫の気温および湿度の影響を調査し、最適な要件を確定
2.水溶性モールドを機体に施工する際の専用ツールの考案・作成
3.機体に施工する作業者によるトレーニング

(3)施工箇所・面積の評価(JAXA)
1.空力シミュレーション、風洞試験を行い、機体抵抗低減の効果を算出

これらの工夫や検証を実施した結果、航空機外板への大面積の施工が可能と判断し、2023年11月、ボーイング737-800型機の国内線航空機1機(JA331J)の胴体下部に、合計約25平方メートル のリブレット形状を施工することに成功しました。

[画像2: https://prtimes.jp/i/131440/3/resize/d131440-3-b75726c2d7e7feacd8b4-6.jpg ]


[画像3: https://prtimes.jp/i/131440/3/resize/d131440-3-e8b5f39c40623d79c638-5.jpg ]


当社は、1943年11月に大阪にて設立し、工業用塗料販売で国内トップクラスの塗料関連事業と、センサーを中心とする電気・電子部品事業をグローバルに展開する生産財商社です。
塗料関連事業において、当社は独自の“塗膜形成技術”を活用したリブレット技術の開発と事業化に取り組んでまいりました。
当社の“塗膜形成技術”を活用したリブレット技術は、“塗料のフィルム化”と“高精度な微細形状の形成”を両立できる特長を有しております。その特長を活かし、航空機で実績のある塗料をフィルム化し、リブレットを形成することによって、これまで障壁となっていた重量や耐久性の課題を解決し、今回の大面積施工での燃費改善効果の検証の段階に至り、着実に航空機に実用可能な水準に近づいております。
引き続き、当社はJAL、JAXAと共同で今回の大面積に施工したリブレット形状の耐久性、美観性、および燃費削減効果を確認していくとともに、来年度以降、より燃費削減効果の高い国際線機材へのリブレット形状の施工を展開することで、更なるCO2排出量の削減に取り組んでまいります。
また、今後、当社は“塗膜形成技術”を活用した他業界への応用展開に取り組むことで、持続可能な社会の実現に向けて、貢献してまいります。

以上

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