ステテコの「古くてダサい」を覆す。そのブランディング手法と未来へ向けて大切にしたいこと。

2023年11月29日(水)16時49分 PR TIMES STORY

株式会社アズは、1938年に大阪で創業した肌着メーカーです。創業以来80年以上にわたって上質な肌着を作り続けてきましたが、高度経済成長からバブルを経てインターネット時代となるライフスタイルの変化の中、従来の製品の一部にはいつしか「古くてダサい」というイメージが持たれるようになりました。

特に2000年代に入ると会社の業績はお世辞にも「良い」状態ではなくなり、主力商品のひとつであったステテコに関しても需要は年々減少していく一方で、私自身も危機感を募らせていました。それまで社の業績は全国の百貨店や量販店、問屋への卸販売や、ライセンスブランドの製造販売などが中心でしたが、市場の流れに身を任せるだけではなく、たとえ時間がかかってでも、自社のブランドの商品を直接お客様にお届けする取り組みを育てていくべきだと思うようになりました。そして数年の試行錯誤を経て2008年に起死回生を賭けたプロジェクト「ステテコドットコム」を立ち上げました。

このストーリーでは「ステテコドットコム」旗揚げの中心を担った常務取締役でもある武村桂佑が、当時の想いから現在に至る挑戦を綴ります。

ステテコドットコムのプロジェクトリーダー 武村桂佑

ステテコには流行り廃りを超えた安心感がある

時代に埋もれていく肌着づくりの中でなぜステテコだったのかといえば、他でもない自分自身がステテコが大好きになってしまったからです。平日はスラックス、休日にはジーンズやチノパンなど、普段穿いているズボンの下に穿く「ズボン下」としてすごく快適で、仕事から家に帰ったらズボンを脱ぐだけで快適なリラックスウェアにもなってくれる。「ステテコとはこんなにも快適で便利なのか…」と気付いてからは、お風呂に入るとき以外は年中身に着けるようになりました。

では世間では一体どう思われているのかを具体的に調べようと思い、プロジェクトを立ち上げる前にステテコに関する意識調査(20〜40代の男女計321名を対象)を行ったのですが、結果は見事にオシャレなイメージは皆無に等しく、“リラックス”という言葉すら出てきませんでした。現実として一般的には「ステテコは古くさくてダサい」というイメージが浸透し、年々需要が減り続けている逆風の状況でしたが、だからこそ、そのイメージを覆すことができればおもしろいのではないかと思いました。

その根拠となったのはやはり「安心感」です。ステテコには日本の風土に根付いた衣・食・住のように、流行りや廃りを超えた安心感があります。

「衣」のコットンや「食」の米や大豆、「住」の土や木材や石材などはすべて日本人に馴染み深い「素材」であり、新しいものではないからといって忘れ去られていくのではなく、むしろ今日では手間暇のかかる天然素材や職人技術の継承は貴重であると言えると思います。ステテコという一見古いイメージを帯びた肌着に、あえて着目したのには、そういった確信もあったからでした。

毎シーズン制作している<meets>シリーズでは、全国のものづくりの現場や町を訪問

目指したのはファッションとリラックスの並存

ファッションアイテムという側面から見れば、現代のライフスタイルにも合うデザイン性はもちろん必要だと思いますが、ステテコは肌に直接身に着けるものですので、それ以上に「着心地」にこだわっています。たとえワードローブの中にたくさんの種類の肌着があったとしても「気が付けば着るのはいつも一緒」というのが、きっとその人にとっての心地良さなのではないかと考えています。

そしてステテコには「古くてダサい」というイメージがあるかもしれませんが、もしもその品を「いい素材といい仕事からできた良いもの」と見せることができれば、また印象も変わってくると思います。私たちはおばあちゃんが握ってくれるおにぎりや、頑固だけど腕利きの職人が作ってくれる家具のように、多少、無骨であっても、たとえ洗練さを欠いていたとしても、ほっとする味や暮らしに寄り添った使い心地が大好きです。きっとそれは肌着においても同じことが言えるはず。ファッションアイテムでありながら、長く心も満たしてくれるようなリラックスウェアは実現可能だと思っています。

デザイナー本人たちが実際に着用した写真を送ってくれた

日本のものづくりは、世界をつなぐ

現在のステテコの形は、明治時代の文明開化のころに、それまでの和装の延長としての日本の伝統着と西洋の服飾文化が融合して生まれたものです。私たちはステテコを軸としながら、まだ誰も着たことがないような新しいリラックスウェアを作っていくため、国内外を問わず異文化の良さを取り入れるスタンスで居ようと心がけてきました。日本の繊維産業は縮小する一方ですが、それに歯止めをかけて国内生産を守っていくためには、販路としてのインバウンドも含め、海外と向き合っていく必要を感じています。

また日本の風土に寄り添ったものづくりを誇りに思うからこそ、先人の知恵と技術を世界へつなぐ取り組みも積極的に行っています。そのひとつが2023年秋冬シーズンに行ったフィンランドのデザインスタジオ「Saana ja Olli(サーナ・ヤ・オッリ)」とのコラボレーションです。

彼らを知るきっかけは知人からの紹介だったのですが、調べてみると私たちが日本のものづくりに抱く感情と同じように、彼らもフィンランドの自然環境と地場産業に誇りをもってものづくりをしていました。しばらくして彼らが来日する機会にお会いできるチャンスがあり、私の拙い英語にもかかわらずステテコをとても気に入ってくれたことをよく覚えています。そんな彼らと一緒に、今年は半纏とパジャマセットを作ることができました。

ふんどし内蔵によるノーパン着用を可能にすることで、蒸し暑い夏を快適に過ごすねらい

日本のものづくりの技術は、現代のライフスタイルへ活かせる

ステテコやそのほかの肌着に限らず、一見すると「古くてダサい」と思われがちな衣服を、今できる限りの「いい素材」と「いい仕事」で「良い加減」に世に送り出すことのひとつの挑戦として、今年行われたTIMELINEでの「ふんどし付き らくちんステテコパンツ」のクラウドファンディングのプロジェクトがあります。大分県の国東半島にある自社工場での生産の様子を動画に撮っていただいたりしながら取り組んだそのプロジェクトは、目標金額に対して3252%という想像をはるかに超える結果をもたらしました。

またロングライフなデザインの衣類には、長年の使用に耐えうる持続的な魅力や、着用したときの安心感が必ずあると思っています。その部分を大切にしながら、現代のライフスタイルにも合うような新鮮なイメージの商品を、天然素材と日本のものづくりの技術を駆使して、みなさまにお届けしていくことが私たちの使命だと考えています。

幸いなことに2008年に立ち上げたこのステテコドットコムのプロジェクトが引き金となって、2011年から2012年にかけて大手のアパレルメーカーからも次々とステテコが打ち出され、市場が拡大し、新タイプのステテコは会社全体の春夏シーズンの主力商品の一部に定着しました。

また自社ECも地道にではあるものの、会員数を増やし続けており、直近の5年で売り上げ規模を2.6倍に伸ばしています。

これからも真剣に天然素材と伝統技術を守りながら、一方ではユーモアを持って自由にチャレンジを続けて、肌着業界を盛り上げていきたいと思っています。

— 会社概要 —

会社名:株式会社アズ

代表:武村貴司

本社:大阪府箕面市船場東3-3-7

東京支店:東京都墨田区江東橋5-5-5

創業:1938(昭和13)年

資本金:9,000万

事業内容:各種繊維製品の製造および販売・その他附帯業務

ウェブサイト:

・株式会社アズ https://www.ascorp.co.jp/

・ステテコドットコム https://www.steteco.com/

— お客様からのお問い合わせ先 —

株式会社アズ 東京支社:東京都墨田区江東橋5-5-5

Tel. 03-3634-1108

post@steteco.com


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