PRの場が少ない地域の特別なアイデアを世に出すために。デザインプロダクトの旗艦店「博覧百貨」の開発秘話。

2023年12月7日(木)9時50分 PR TIMES STORY

株式会社白青社は、企画・店舗デザイン・WEBデザインを内製で行うことができるデザインファームです。「小さな商業デベロッパー」と称し、ユーザーベネフィットに視点を置きながら事業立案から経営コンサルまで行い企業や町の成長に寄与する業務を行っています。

グッドデザイン賞を受賞した、活用されていない建物を無人店舗にする仕組み「マドカイ」や熊本市の事業に採用された地域のデザインプロダクトの旗艦店「博覧百科」を全国に展開し、小さな企業のアイデアを世に出す事業の本格展開を始めました。今回はその動きのきっかけから、企画立案、開発、そして今後の展望までお伝えいたします。

LINK : 白青社

《熊本博覧百貨の様子》

地方の企業にこそPR(知る機会・体験する機会)の場が必要。

2021年にグッドデザイン賞の応募をした際、選考会では他社のさまざまな商品を目にすることができました。どれも非常に素晴らしく、想像を絶するアイデアもたくさんあり衝撃を受けました。

実際にプロダクトやサービスをローンチすることは、どんな企業にも可能です。

ですが、知る機会・体験する機会がなければ購入していただくこともフィードバックを得て内容を改善することも難しいものです。その機会を作るためにECや実店舗を構え広告を行いPRを行うのですが、小さな企業は自社プロダクトやサービスを作り続けるために人員を割く必要があり店舗を構える余裕がない実態があります。

それではせっかくのプロダクトやサービスが埋もれたままになってしまいます。

地方の小さくとも優秀な企業にこそ、PRの「場」が非常に大切であると感じました。

博覧百貨が生まれた経緯

構想のきっかけとなったのは、無人店舗「マドカイ」を形にしていく中で出店者のかたから「香り」は伝わらないですよねと言われた一言でした。

店舗デザインを行う中で、ブランドの世界観を表現するために必要不可欠なのがファサードのデザインです。そこに特化した無人店舗の形が「マドカイ」なのですが、防犯の観点から商品を実際に見て質感や大きさを直感的に感じていただくことはできても、触れるという行為ができず商品構成に限りが出てきてしまいます。香りが伝えられないのも、それが理由でした。

そこで、博物館のように学芸員さんがいるような形態にすれば、触れて試して体験するだけでも楽しい無人店舗ができるのでないかという発想が、「博覧百貨」の原点です。

LINK : マドカイ

《無人店舗マドカイの概略》

地域の歴史的建造物を導線に実物とECを組み合わせる。

博覧百貨では、実物とECを組み合わせることで無人店舗としています。

その店舗には、人を惹きつける魅力が必要です。そこで着目したのが歴史的建造物です。

地域には、地域の文化や歴史から生まれた歴史的建造物があります。その中には、ただ見てもらうだけで有効活用がなされていないものがあります。歴史的建造物を会場にし、大きな大きな改装をする事なく、建物の歴史から着想した什器を並べ地域のデザインプロダクトを展示する博覧会を開催する。これであれば建物を傷つけることなく利活用することができます。しかしそれでは静かな博覧会であり能動的な楽しみがありません。そこで、そこに展示してあるプロダクトの細かな情報を文字や写真・動画でも知り、購入することができる仕組みを組み込む必要がありました。そこで1つ1つのプロダクトの横にモニターを設置し説明や動画を流す手法をすぐに思いつきました。ですがこれでは、慌しく見てまわる中、一瞬の情報で全てを理解する必要があります。それでは真に考え抜かれたプロダクトの素晴らしさが浅い情報でしか伝わりません。そこで思い出しました。TVやSNSなどで見かけた「いいな!」と思った商品や気になる場所などは、その場で検索しWEBサイトから深い情報を取得する体験をしている人は多いと思います。自分自身もその一人です。それならば、プロダクトを見て触れて良いと思ったもののWEBサイトをその場で取得できればいいのです。それがブランドサイトだと、余計な情報が多すぎます。実際に目の前で素晴らしいことは理解していますので、使った様子や開発ストーリーに特化した解説員のようなWEBページである必要があります。さらにそのまま購入する事ができれば、より能動的で印象的な体験になります。これが歴史的建造物が、地域のデザインプロダクトを集めた地域の旗艦店に生まれ変わる瞬間でした。

《博覧百貨の概念》


《熊本博覧百貨の様子》

買うはずがない

この構想を人に話したときの答えは、否定的なものでした。人は勢いがないと買わない。冷静な判断ができる時間があると冷めてしまう。といった回答がほとんどでした。

ですが、僕らにはマドカイでの体験があります。マドカイで得られた購入パターンは、こうです。

  1. 店舗で実際に商品を見て体験する。
  2. 体験した印象が残ったまま、夜にWEB商品ページを再度読み込む。
  3. 脳裏に既にある体験と目で読むWEBページが混ざり合い、そのままECで購入する。

商品を見たその場でEC購入する人がほとんどいない事は、既にわかっていました。ですが、直接見て触れて体験したイメージは、なかなか頭から離れることはないためECでの購入に繋がったのだと考えました。

訪れた方の“ワクワク感”を冷まさないために

わざわざ無人店舗へ訪れ、ワクワクした気持ちでWEBページへリンクすると、通常のECサイトや商品サイトに繋がってしまう・・・これでは、誰でも気持ちが冷めてしまいます。できれば、専用ページを作り購入体験をして頂きたい。ですが、オリジナルECページを制作すると莫大な費用がかかってしまいます。それを解消するため、大手決済メーカーのsquareに相談し、squareの決済機能や商品登録機能といったシステムにアドオンする形で機能する決済WEBリンクシステムを独自に開発。マドカイ決済と名付けました。これを使用すると、あらゆるWEBサイトに決済機能を付加する事ができるようになります。つまり、自由にデザインされたWEBサイトを 簡単にEC化する事ができるというわけです。月額金額は低く抑えられており、誰でも使用する事ができます。(利用者の増加に伴いバージョンアップしていく予定です)これで、自由なデザインのECサイトの制作のハードルが大きく下がりました。

LINK : マドカイ決済

《マドカイ決済の機能》

多くの県外からの来場者も。熊本にて「博覧百貨」の具現化を証明

博覧百貨を形にすべく動き出したところで、色々な方とのご縁があり熊本市の事業に採択され形にすることになりました。会場は、明治建築で地元の方なら目にした事がある株式会社野田市兵衞商店の本社社屋です。運営も野田市兵衞商店さんと一緒になって行わせて頂きました。今回は、熊本市の工芸・加工食品に特化した形での期間限定開催です。

事務所として使用されていた社屋1階を少し改装し什器を入れ込み、商品を展示すれば会場は完成です。あとは、商品の特設ECサイトを制作。これで熊本博覧百貨の完成です。

今回は、基本的には誰も接客しない無人店舗スタイルで開催しましたが、時を追うにつれ購入者の数が増えていきます。最終的には完売商品も出るほどに。無人スタイルですので、入場の際に自発的に年齢や性別及びどこから来られたのかを記入していただく用紙を設け来場者調査を行ったのですが、県外からの来場者も多くを占めていたことから地域の旗艦店としての役割を果たしていることが証明できました。

《熊本博覧百貨の様子》

《熊本博覧百貨の様子》

約3ヶ月という期間限定でも目に見える効果が…!

今回は期間限定ということで、約3ヶ月の期間をもって熊本博覧百科は幕を閉じました。実際に購入していただいたことは良かったのですが、効果はそれだけではありません。小さな事業者には知ってもらう機会を作ること自体が大変高いハードルであることは前途の通りです。さらに博覧百貨で知る機会・体験する機会を設けたことで、購入していただけた喜びだけでなく次の機会創出が続々と起こっています。会場を訪れたホテル支配人が目にしたことをきっかけに、新しく開業した地域の大型ホテルのプロジェクト参加へのオファーがあった。今回購入してくださったお客様が、別の会場で行った個展へ来てくださった。今回を契機に初の個展を開催し大きな集客や売り上げにつながった。商品WEBページ制作をきっかけに何を魅力にPRすれば良いかが分かり、東京のホテル内店舗への販路開拓につながった。1年後に、熊本博覧百貨では購入できなかった県外の方から購入希望の連絡があった。など、博覧百貨の売上だけでなく、既存事業のテコ入れや販路開拓にもつながっていることが証明されました。

《熊本博覧百貨の様子》


博覧百貨が目指す未来

熊本で博覧百貨が形になり、構想段階で考えていたことが間違っていないことが確認できました。地方の事業者と、地域のデザイン事務所が結びつくことがとても重要だということです。見た目だけの話ではなく、考え方や仕組みづくりといったこともデザイン事務所と結びつくことで明確になってきます。博覧百貨が各地にできることで、地域の歴史的建造物が地域の旗艦店となりPRの場ができる。そしてその場に出品するために、地域のデザイン事務所が見せ方や強みを整理し直す。そこで地域の企業はデザイン事務所との接点を持ち、考え方や商品の見せ方などがブラッシュアップされていく。これまでは、雑誌の中の話だったことが実際に目の前で起こっていく体験をすることで地域の企業が、全国にそして世界に出ていく足掛かりとなる。これから全国各地の建物所有者や自治体及び企業と連携し展開してゆく博覧百貨では、そんな未来を描いています。

LINK : 博覧百貨

《熊本博覧百貨のメリット①》

《熊本博覧百貨のメリット②》

《熊本博覧百貨のメリット③》


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