真田広之、海外進出約20年…初プロデュースに感慨 自身の使命も再確認「日本の物語や才能を世界に」

2024年2月24日(土)10時10分 マイナビニュース

●初プロデュースでやりがい実感「大きな第一歩に」
俳優・真田広之にとって、ハリウッド初主演にして初プロデュース作品となる連続ドラマ『SHOGUN 将軍』が、ディズニープラスの「スター」で2月27日より独占配信される。壮大なスケールで日本の歴史や魂を描いた本作で、キャスティングから編集まで関わった真田にインタビュー。本作に込めた思いやプロデューサーのやりがい、自身が感じている使命など熱く語ってくれた。
ジェームズ・クラベルの小説『SHOGUN』を原作とする本作は、徳川家康にインスパイアされた戦国一の武将・虎永を主人公に、将軍の座をかけた陰謀と策略渦巻く戦国時代を描いたドラマ。ハリウッドと日本のスタッフ・キャストがタッグを組み、壮大なセットや撮影機材、衣装や小道具、さらにCG技術まで徹底的にこだわり、“本物の日本”を映し出した。
真田は「東西のキャスト・クルーが一丸となって、素晴らしいチームワークでこの物語を作り上げ、それをいい形で世界に同時配信できるというのは本当に喜びで、感無量です」と感慨深げに語る。
当初は、俳優として主人公・虎永役のオファーを受けた真田。その後、『トップガン マーヴェリック』の原案を手掛け、本作ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めるジャスティン・マークスらが「オーセンティックに作りたい」と“本物”を目指す中で、真田に「プロデューサーも兼ねてほしい」と依頼があり、「それは望むところだと。プロデューサーとして関われるなら、日本人が見て納得する戦国ドラマを世界に発信できるのではないか」との思いで快諾した。
そして、「時代劇通の方が見ても納得していただけるものを作りたいというのがこだわりであり、目指すところでした」と語る真田。本物の戦国ドラマを作るためにまず、その道を極めたスタッフを集結させた。
「ハリウッドのスタッフに加えて、日本の時代劇をずっと作ってきた職人さんたちを、衣装、小道具、所作指導など各パートに布陣しようというのがまず第一歩で、日本の各地からエキスパートをお呼びしたのですが、これはハリウッドにおいては画期的なことでした。そして、日本人の役は全員日本人にするという条件で飛び込んだので、キャスティングにも関わらせていただきました」
ハリウッドの制作陣は、真田の意見を取り入れ、日本の文化も尊重してくれたそうで、「大きな第一歩になった気がします」と手応えを口に。「これまでも俳優としてクリエイティブなことに関してアドバイスをすることはありましたが、プロデューサーとなると気兼ねなく意見が言えますし、日本の時代劇の専門家のチームも組めましたし、現場でもモニターをチェックし逐一指示が出せるので、それは大きな違いでした」と語る。
○徳川家康にインスパイアされた主人公役「争いが絶えないこの時代だからこそ」
徳川家康にインスパイアされた虎永の物語を、今の時代だからこそ届けたいという思いも強く持っている。
「虎永を今演じる意味を考えた時に、いつまで経っても争いが絶えないこの時代だからこそ、戦乱の世を終わらせて平和な時代を築き上げた男・家康からインスパイアされた虎永を演じる意味があるのではないかと思いました」
また、日本とハリウッドのキャストとクルーが一丸となってこの物語を作ることにも、大きな意味を感じているという。
「東西のキャスト・クルーが一丸となって、言葉の壁、文化の壁、目の色の違い、宗教の違いを乗り越えて家康=虎永の物語を作るということ自体が、非常に大きなメッセージというか、モデルケースとして世界にアピールできるのではないかと。それは制作過程においても大きなモチベーションでした」
真田は撮影終了から約1年半、仕上げ作業にも関わり納得のいく作品を完成させた。
「編集や音のレコーディング、VFXのチェックまで、去年の暮れまでやっていて、その都度ダメ出しをし、ハリウッドのクルーも文句を言わずに直しを入れてくれて、最後にダメ出ししたところが全部直ったものを見た時に、よくここまで頑張ってくれたなと思いました」
『ラスト サムライ』(03)で海外に進出してから約20年。「ハリウッドが日本の文化を尊重し、僕の意見を聞いてくれる時代が来たんだということも実感しました」としみじみと語る。
「これは自分にとって大きな進歩というかステップだなと。これがまた未来へつながる布石になればと思いますし、作品が世界で成功してくれれば、今後も日本の題材を世界に届けられることにつながるので、今は1人でも多くの人に見ていただきたいという思いです」
●時代劇に対する思いを込めて“王道”にこだわり制作
これまでもさまざまな時代劇に出演してきた真田。日本が誇る文化である時代劇に対する熱い思いがある。
「時代劇は、日本人としても自分の国の文化を学び直せるいい機会。そこで学んだ精神性や美学は現代社会に生かせるもので、それこそが海外で日本のものが求められる所以だと思いますし、いい形でこの作品が世界中に届くことを願っています」
時代劇から多くのものを吸収し、それを後輩に伝えていきたいという思いもある。
「子役から始めて、時代劇も多く関わらせていただき、作品ごとに大先輩たちから教えていただいたものがありますし、それは自分の財産だと思っているので、これからはそれを後輩に伝えていくのが自分の一つの使命だと思っています」
そして、時代劇が減っている現状への危機感も吐露。
「日本でも大予算で時代劇が作りづらくなっていて、若い世代を取り入れるために、現代っぽくアレンジしたり、西洋っぽくアレンジしたりということがありますが、時代劇通の方が時代劇離れをし始めるというのが恐れるところなので、今回は往年の自分たちが見てきた、そして教わってきた、あるべき姿に立ち返りたい、そして時代劇通の方にこそ楽しんでもらえるものを作りたい。そこを目指して自分たちのベストを尽くしたつもりです」
時代劇通の人たちに楽しんでもらうためにこだわったのが「王道」であり、そうすることで逆に幅広い世代に楽しんでもらえるものになると考えている。
「王道に立ち返ることでわかりやすくなり、世代を超えて、そして世界中の人たちに共鳴してもらえるものになると思うので、日本だけで通用する作り方は一切排除し、ウエスタナイズされることも排除し、原点に立ち返ろうという思いで作りました」
続けて、「今は王道でモノが作りにくい時代になっていますが、王道を大切にしたこの作品を提示することによって、若い映画人や作家たちが触発されてくれたらいいなと。時代劇の火が消える前に、何か感じ取ってくれたらうれしいです」とも話した。
○新たな役との出会いに期待 プロデューサー業も「続けていきたい」
現在63歳。俳優業に関しては、「この世代になったからこそできる役が出てくる。その都度デビュー戦で、新たな領域に行くことをスリリングに楽しみながら続けていけたら」と新しい役との出会いを楽しみにしている。
また、本作に参加したことで、これからもプロデューサーとして制作に関わりたいという思いが芽生えたという。
「今回プロデューサーの面白さ、喜びを感じてしまったので、機会があれば続けていき、日本の物語や素晴らしい才能、精神性、美意識を海外に紹介する作品に関わっていけたらと思います。そして、なんとか橋を築いて後輩たちに道筋をつけて、自分も海外で勝負してみたいという人がいれば喜んで後押しをし、世界に紹介していきたいなと。それも自分の使命だなと思っている今日この頃です」
今後も海外を軸にしつつ、拠点関係なく届けたいと思う作品を作っていくつもりだという。
「国際的なプロジェクトは打ち続けていかないと時代は変わらないので、そこはこれからも守りながら、日本でいい作品があればいつでも帰ってきて撮るつもりでいます。拠点がどこであれ、地球単位で見れば関係ないので」
最後に、“サムライ魂”のように貫いているポリシーを尋ねると、「侍は人に仕える。俳優は作品に仕える。惜しみなく捧げる気持ちは通ずるものがあると思います」と作品に対する忠誠心と侍の忠誠心を重ね、「道場で稽古を積む中で教わったのは『自分に厳しく、人に優しく』ということ。そういう気持ちをみんなが持てれば、争いのない時代が作れるのではないかという希望を持っていて、諦めないぞという気持ちです」と自身のポリシーを紹介。「そんな思いもこの作品から感じとってもらえたらなと思います」と願いを込めた。
■真田広之
1960年10月12日生まれ。5歳で子役としてデビューし、数多くのドラマや映画に出演。アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた『たそがれ清兵衛』(02)を経て、『ラスト サムライ』(03)で海外に進出。以降、映画『最終目的地』(12)、『ウルヴァリン』(13)、『47RONIN』(13)、『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(16)、『LIFE』(17)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)、『モータルコンバット』(21)、『MINAMATA』(21)、『ブレット・ トレイン』(22)、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(23)、テレビドラマ『LOST ファイナル・シーズン』(10)、『エクスタント』(14)、『ザ・ラストシップ シーズン3』(16)など、数々の海外作品に出演している。
ヘアメイク:高村義彦(SOLO.FULLAHEAD.INC)

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