くも膜下出血で働けず、罪を犯し生活保護の一人暮らし…「父親として生きた証し」と写真を撮る

2024年2月25日(日)6時0分 マイナビニュース

日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’24』(毎週日曜24:55〜)では、写真を通して時代の転換期と表情に刻まれた人生を見つめる『釜ヶ崎の肖像 明日への3000枚』(読売テレビ制作)を、きょう25日に放送する。
奈良県の写真家・石津武史さん(80)は「力強く生きてほしい」と10年以上前から労働者が必要とする証明写真を無料で撮影してきた。しかし、次第に「遺影を撮ってほしい」「撮った写真を見せたい」という声が上がり、人々の肖像写真を撮影している。
白黒写真に刻まれた男たちの顔は、力強く生き生きとしている。石津さんは「写真館での会話を楽しみにしているのかも。元気な写真が遺影になる方がいい」と話す。
常連の永井さん(61)は、トラック運転手として働いたが10年ほど前、くも膜下出血で倒れて働けなくなった。自暴自棄になり罪を犯し、酒や金で失敗。今は生活保護を受けてひとりで暮らす。4人のわが子にせめて「父親として生きた証し」を残したいと毎年、写真を撮影する。
近藤さん(76)は、幼いころ父親が蒸発し施設で育った。仕事や女性関係で失敗し、20代から鉄筋工として働いた。しかし、リーマンショックで仕事も住まいも失い、野宿生活に陥った。高齢となり生活保護で暮らしを立て直したが、がんで闘病、再発の不安と闘っている。行き着いた部屋に掲げた写真を前に「最後の写真になるかもしれない」と人生を振り返る。
大阪・西成区の「あいりん地区(通称・釜ヶ崎)」は、急速に高齢化が進んでいる(高齢化率47% 西成区の平均寿命は全国最下位 男性73.2/84.9歳)。最盛期には2万人いた日雇い労働者はいま、550人ほどに減った。かつて日雇いの仕事や露天商で働いた久保さん(当時75)も「遺影にしたい」と22年の大みそかに初めて写真を撮影したが、わずか1カ月後、3畳1間の部屋でひとり亡くなっているのが見つかった。
お盆には釜ヶ崎の公園で、身寄りのない人を弔う慰霊祭が行われた。釜ヶ崎でこの1年間に亡くなった人は200人以上。望み通り、石津さんが撮影した久保さんの笑顔の写真が掲げられ、見送られた。年末・年越しの公園には、今年も「釜の写真館」が設けられた。それぞれが様々な思いを胸に、ある人は自分のために、ある人は誰かのために「生きた証し」を残す。弱さを抱えながら、それでも彼らは“今”を力強く生きている——。
ナレーションは、豊川悦司が担当する。

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