バイプレイヤーの泉 第126回 『Eye Love You』チェ・ジョンヒョプに禁断の韓流ファンへの扉をこじ開けられた

2024年2月27日(火)19時0分 マイナビニュース

幼少期から熱血ドラマオタクというエッセイスト、編集者の小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。
第126回は俳優のチェ・ジョンヒョプさんについて。日本国外の俳優さんについて書くとは、この連載にも国際色が訪れたのだろうか。現在、ジョンヒョプさんが出演する『Eye Love You』(TBS系)が放送されるまで、彼の存在はまったく知らず。ところが漁船網に引っかかった魚介類のごとく、火曜22時の放送時間を毎週テレビの前で待ち侘びております。そんな韓流ビギナーによる、ドラマ考をどうぞ。
○恋の当て馬が出馬した。この恋、どうなる
まずは『Eye Love You』のあらすじを。
チョコレートスイーツの会社を経営する元宮佑里(二階堂ふみ)の会社に入社をしてきた、留学生のユン・テオ(チェ・ジョンヒョプ)。実は入社以前かから知り合いだったふたりは、次第に心を通わせていく。人の声が聞こえてしまう、テレパスの能力を持った佑里は、信頼するビジネスパートナーの花岡彰人(中川大志)も自分のことを好きだと知る。自分にとって大事なものは、事故で全身付随になってしまった父親を支えるための仕事。花岡を失うことはできないと、素直にテオを受け入れることができない佑里……
毎週放送を見るたび、目を止めるのは主演・二階堂ふみの美しさ。そして前クール放送『VIVANT』(TBS系 2023年)での勝気な医師役から一転、今回は恋愛経験に乏しく、自己受容度の低い女性役。短期間でさまざまな顔を見せてくれる人だ。
そして佑里を巡る、テオのライバルとなったのは花岡役の中川大志。大学時代からずっと好きだった女性と起業をして、ずっとそばにいる。そんな関係性だらこそ、気持ちをひた隠しにしていたのに、思いがけず漏れてしまった恋心。おそらく今後、物語の展開において、恋の当て馬となり、佑里とテオの恋を盛り上げるはずだと私は睨んでいる。
皆、思い出して欲しい。彼は『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系 2018年)の馳天馬役で見せてくれた、見事な恋の当て馬役がある。視聴者が恋の勝利者の甲乙をつけられなくなっていたほど、名演技だった。今回も期待度はマックスである。
そんな二役に囲まれて、好演を見せているジョンヒョプさん。私がノーマークだった、韓流ドラマファンへの禁断の扉をこじ開けてきたかもしれない。
○ガタイはいいのに、表情は捨てられた子犬
私はこの『バイプレイヤーの泉』の連載も含めて、各所で好きが高じた"ドラマオタク"だと公言している。今では執筆を超えて、ラジオ番組でもドラマについて言いたい放題なので、本当に人生は何が起きるのかわからないし、ありがたい。ただ、ドラマオタクとは言っても、韓流ドラマについてはまったく触れてこなかった。世界中が熱狂しているのは知っているが、眼球は二つしかない。純国産ドラマを網羅するだけで、キャパシティオーバーだ。
そんなオタクの前に現れた『Eye Love You』。第1話だけはチェックしようと見始めたら、そこにはとんでもなく可愛らしいジョンヒョプさんがいた。
「そこのキョロキョロしてるかわいい人ー!」
「僕は好きですよ」
「きみがいっちばんかわいいですよ」
など、今まで国産ドラマでは聞くことなかった甘々セリフのオンパレード。「待てよ!」「おまえ、バカだなあ(笑)」といった、木村拓哉のツンデレカッコいいクラスタで育ってしまった、昭和生まれ平成育ちには斬新すぎる世界。これはファンタジー作品? と脳が迷子になる。
しかもジョンヒョプさんはガタイが素晴らしい。これは韓流アイドルたちの取材時に、兼ねてから感じていたことだ。それなのに皆、表情はいつだって捨てられた子犬。加えて今回、テオくんから発するセリフは、ほぼ中2男子の告白……今回の彼の演技を見ていると、恋愛市場において、純度の高さが高価値だと見せつけられているようだ。これがキョンキョンとYOUがどハマりして、ポッドキャスト番組まで作った韓流スターの罠なのか………
と、そんなことを考えながら楽しみにしている『Eye Love You』。当初の「え、韓国人俳優とラブストーリー? どうなの〜?」の疑念はどこへやら。毎週、飲み会に参加しても二次会を蹴って帰ってくるほど、夢中にさせてもらっている。人肌恋しい季節には、心が暖かくなるのでありがたい。
最近、韓流好きの友人に「どの辺を見たらいいのか」と質問を送り、お勧め作品リストを受け取った。ついにここまで来た。このドラマが終わったら、私が動画配信サービス漬けになっているのは間違いない。

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