デーブ・スペクターさんが『徹子の部屋』に登場。脳科学者・中野信子さんと語った「日本人以上に日本を知るために行っている情報収集法」

2025年3月5日(水)11時30分 婦人公論.jp


デーブさん「好きなんですよね、とにかく。調べるのが」(写真提供:Photo AC)

2025年3月5日放送の『徹子の部屋』に、タレントのデーブ・スペクターさんが妻の京子スペクターさんと登場。2人の馴れ初めや、昨年乳がんの手術を受けた京子さんへの思いを語ります。脳科学者の中野信子さんとの共著『ニッポンの闇』より、デーブさんの情報収集方法について紹介した記事(2024年1月18日公開)を再配信します。
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「コンプライアンス」や「忖度」といった言葉をよく目にするようになった昨今。そのようななか、「忖度なしに発言するのと同時に、メディアの重要性を伝え、メディア自体の信頼性を高めていかなきゃいけないとも思う」と語るのは外国人コメンテーターとして活躍するデーブ・スペクターさん。今回はそのデーブさんと脳科学者の中野信子さんの対談をお届けします。デーブさんは、「好きなんですよね、とにかく。調べるのが」と言っていて——。

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デーブ・スペクターとは何者か


中野 デーブさんって昔、CIA[アメリカ中央情報局]のエージェントだって言われてましたよね。

デーブ 大昔ね。

中野 海外情勢はもちろんだけど、芸能界の情報もなんでそんなこと知っているんだろうと驚いているとギャグでうやむやにしてしまうし、またそれが本物感を強めているような……。生放送中もネットにつながっていないとそわそわしていて、いつもスマホとかタブレットでなにかしらチェックしてますよね。

デーブ それはそう。もうずっとそればっかりですよ。24時間やってる。

中野 24時間? 寝ないんですか?

デーブ 寝ますよ。寝るけど、新しい人がテレビに出てると、誰? この人?って、もう調べまくるっていうね、そんなことばっかしてる。

中野 私のことも調べられまくっているわけですね。デーブさんとよくやり取りするようになったのは『ワイド!スクランブル』のレギュラー出演曜日が同じになってからですけど、とにかく人脈が広いし、新しい人を見つけると好奇心旺盛で本当に調べまくるという感じですよね。

フワちゃんに注目したのも早かったですね。橋下徹さんを見出したのはデーブさんだったっていうのは、奥さんが本で書いていらっしゃいますね。タレントや芸能界に関する情報や人脈がとにかく広くて深いので、本当に特殊機関の人なのかな?って私ですら思いましたよ。日本に来て何年ですか?

デーブ んー。結婚して日本に来てからだと40年超えたかな。

中野 デーブさんの仕事場は、ものすごく整理されてはいるんですが、ごく小さなものから、よくこんなものまで取ってあると驚くほど、資料の山なんですよね。新聞から紙のファイルから昔のテレビ局で使ってたようなごついビデオテープから……壁面いっぱいのキャビネットに部屋の天井までびっしり。特殊機関説を裏付けるのに充分な資料の物量ですよ。

デーブ 好きなんですよね、とにかく。調べるのが。うちの会社[スペクター・コミュニケーションズ。デーブ・スペクターが1988年に設立した、テレビ番組の企画・制作、海外番組及び海外映像・写真等の買付販売、タレントマネージメント等を行う会社]の会議室見ました?

日本のテレビ各局とアメリカの三大ネットワーク、あとはCNNやFOXニュースが流しっぱなしになってるの。便利ですよ、いっぺんに見られて。海外の新聞も今はタブレットで読めるでしょ。2台持ち歩いて新聞読む用と検索用にしてる。

中野 日本語でも読みますもんね。あんまり日本語がうますぎるから「埼玉県出身」と東スポにすっぱ抜かれたり、実は英語が苦手って言われたり。英検三級落ちた説もあるんですよね?

デーブ 一級ですよ、落ちたのは! しかもそれ、番組の企画ですよ? 後でちゃんと自分で取りましたよ。だから僕は英検一級持ってるの。

中野 ふふふ。その負けず嫌いな一面も実はデーブさんのキャラとして愛すべきところですよね。仕事のメインって何になるんですか? 来日された時は三大ネットワークのABCの番組プロデューサーだったんですよね。でも、厳密に言えば、最初の来日は上智大学に留学した時になりますかね。

最初はアメリカに帰るつもりだった


デーブ 最初は友達と遊びに来たんですよ。日本のマンガ教えてくれて、日本語を学ぶきっかけくれた菅野渡くんって友達の家族と。2週間くらいいたかな。

2度目が留学。1972年。その時は1年ちょっとでシカゴに戻ってテレビの仕事しようと思って帰って、ロサンジェルスでワイフになった京子と出会ってシカゴで結婚して、83年にそうね、ドキュメンタリー番組作るためにロケで日本来て。

中野 じゃあ最初はアメリカに帰るつもりだったんですか。

デーブ そう。ロスにマンションも買ったし、ロケ終わったら帰るつもりだった。でも日本のテレビ局で面白い映像探してアメリカに送る仕事することになって、残ったんですよね。京子も日本来て、アメリカのテレビ局お金あるから二人でホテル暮らし。日本が面白くてね。そのままずっといる。

最初にテレビ出たのはタモリさんの『笑っていいとも!』でしたよ。なぜか人気コーナーのレギュラーになって。当時は外タレブームだったしね。今もプロデューサーですよ! もちろんコメンテーターだし、タレントだし。いや、僕のことはいいじゃないですか。

2人の言葉


中野 いや、読者は気になると思うんですよ。もちろん調べればわかることなんですけど……。でも、いかにデーブさんが日本のテレビにあまりにも自然になじみすぎているといっても、よく考えたらやっぱりミステリアスですよ。

しかもそんな人が、日本人ですら会えないような人ともお付き合いがあって、信じられないような人脈があって、芸能通でっていう。


デーブさん「ロスにマンションも買ったし、ロケ終わったら帰るつもりだった」(写真提供:Photo AC)

デーブ 中野さんだって不思議じゃない。やたら頭よくないと入れないMENSA(メンサ)[人口上位2%のIQ(知能指数)を有する者が参加できる非営利団体。人口上位2%はIQ130以上が目安となる]でしたっけ? に入ってて。

中野 メンサはいろいろありましてねえ……もう会費も払っていないし……。

デーブ メンサの元会員?で、東大出てて、フランス留学してて、博士号持ってて、脳科学者。すごいよね。(明石家)さんまさんの番組いるなと思ったら、コメンテーターとしてばんばん発言してて。脳科学者だったら何言ってもいいの?

中野 いやいや、これでもかなり控えめにして、地味にやっているつもりなんですけど……。でも、うーん。最近思うんですけどね。

デーブ 何を?

中野 テレビで私に求められてることって、実は、科学を語ることじゃないんじゃないかって。だって、脳科学的知見なんて、誰だって論文読めばわかるし、論文読み慣れてない人でも今は本を読んだりネットで調べたりすればかなりのことがわかるはずだと思うんですよ。

デーブ それは頭のいい人が言うことですよ(笑)。

中野 でもそういう、自分で調べればわかることを……それでも私が語る意味って何なのかなって思わないわけではないんですよ。

「神のお告げ」


デーブ だけど中野さんが言うからいいんでしょ? 中野さんが不倫とか毒親について思い切ったことコメントしても炎上したりしないもんね。あれ、なんでなんだろね?

中野 それは、割とそういう、んー、なんだろうなあ。誰しも人というものが持つ闇の部分があるじゃないですか。

そういうところに「脳科学の言葉」で光を当てると、逆にみんな安心するというか? 薄々そうは思っていたけど「ああやっぱり」って納得したいのかもしれないし、その納得感があれば、大きく炎上させるモチベーションはそんなに大きくならないんじゃないですかね。

「それでいいんだ」と自分を承認してもらいたいという気持ちもあるでしょうし。私は実はそういうことが求められてるんだろうかと思ったりするんですよね。

デーブ 「神のお告げ」だね。脳科学っていう「神のお告げ」が求められてる。中野さんはシャーマン。巫女。

中野 私がどうかはともかく、メディアっていう単語がもうそもそもそういう意味でもあるのは面白いですよね。

多くの人が当たり前だと思って見過ごしているかもしれないところに言及できるのはきっと強みなんだろうと思います。

自分がなんとなく日本の社会の真ん中じゃないところから発言しているなというのは自覚があって、そういう意味ではデーブさんと私の立ち位置は似ているのかもしれない。

※本稿は、『ニッポンの闇』(新潮社)の一部を再編集したものです。

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