『CDTVライブ!ライブ!』に成田昭次さんが登場、NARITA THOMAS SIMPSONとして歌う。「男闘呼組はなぜ復活したのか、その意義を見せたい」

2024年4月1日(月)23時0分 婦人公論.jp


左から、成田さん、前田さん、岡本さん、高橋さん。撮影中も自然に息の合った位置取りで、それぞれのポーズを決めて(写真撮影:初沢亜利)

TBS系の音楽番組「CDTVライブ!ライブ!」の4時間半スペシャルが、4月1日午後6時半から生放送されました。ドラマ『不適切にもほどがある』の最終回に、タイムマシンに出資する元不登校児として登場し、ファンを驚かせた成田昭次さんが、NARITA THOMAS SIMPSONとして寺岡呼人さん、青山英樹さんとともに歌を届けました。成田さんが元男闘呼組メンバーとともにラストツアーを語った記事を再配信します。
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1988年にデビューし、数年間の活動期間で音楽ファンに強烈な印象を残して活動を休止した男闘呼組。30年ぶりの再結成は大きな話題を呼び、2023年4月28日から、『男闘呼組2023 THE LAST LIVE』をスタートさせた。後編では『音楽の日2022』の舞台裏、そして最後となるライブツアーへの思いについて語っていただいた。
(構成◎上田恵子 撮影◎初沢亜利)

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前編はこちら

ひとつ間違ったら実現できないかもしれない


2022年7月16日、男闘呼組はTBSの音楽番組『音楽の日2022』で29年ぶりに電撃復活を果たした。番組では「TIME ZONE」「DAYBREAK」、そして成田が率いるバンド・成田商事の楽曲「パズル」を披露。その反響はすさまじく、SNSのタイムラインは「男闘呼組」という文字で埋め尽くされた。

高橋 昭次の行方がわからなかった間も、僕らにはファンの人たちの声が届いていたんですよね。「昭次くん、今どこにいるんでしょうか?」「もう一度、昭次くんと歌ってください」「昭次くんに会いたい」という。そのたびに心の中で「そりゃあ俺だって会いたいけど!」と返して。そういう思いも引き受けながら、徐々に再結成の話を進めていった。

岡本 うんうん。

高橋 「ひとつ間違ったら実現できないかもしれない」という怖さがありました。それくらい再結成は難しいことだったんです。本当に慎重に物事を運ばないと、ここまで少しずつ積み上げてきたものが台無しになる可能性だってあったから。

岡本 もう一度男闘呼組をやろうと決めてから、皆でスケジュールを合わせて何回かスタジオに入って練習するわけです、『音楽の日2022』に向けて。その時もお互いに、「絶対にバレないようにしような! 絶対に言っちゃダメだぞ!」って言い合って。

前田 言いたくて仕方なかった。よく我慢できたなって自分を褒めたいです。(笑)

岡本 本当に危なかった。この2人(前田と高橋)には「酒飲みながらSNSとか絶対にするなよ」って釘を刺してね。(笑)

前田 練習してるスタジオで、知り合いのミュージシャンに会っちゃったり。

岡本 そう!「あれっ、なんで男闘呼組がいるの!?」「いやーちょっと遊びで……」なんて言ってごまかしてた。

前田 放送の翌日、いや当日の夜かな? コンサートのチケットを発売したんだけど、その時点で「もうチケットが取れません」ってなってたよね。本当に、ものすごい反響をいただきました。

岡本 ありがたかったですね。僕らが男闘呼組としてテレビに出ていたのはほんの2年くらいだったのに、ずっと覚えていてくれて。当時は週に4〜5本の音楽番組があったから、2年間という短い期間でも存在が浸透したのかな。

青春のすべてだった男闘呼組


高橋 当時は、3ヵ月に1枚シングルを発売していた時代。しかも発表したからには1位にならなきゃいけない。常に追い立てられていると言うか、ものすごいプレッシャーの中でやっていました。

岡本 ……プレッシャーとかあった?

前田 そりゃあるでしょう、売れなきゃっていう。

成田 えー、そう?

岡本 ここ(岡本と成田)とそっち(高橋と前田)の温度差(笑)。当時は「売るのはレコード会社の仕事。俺たちは演奏して歌うだけ」って思ってたよ。

高橋 僕らはデビューから3年ほどは作家陣の作品をプレイヤーとして演奏していたけど、どんどん「自分たちで作詞作曲をして、バリバリ発表していきたい」という気持ちになっていったよね。自分たちでセルフプロデュースするようになって、生みの苦しみみたいなものも経験して。アイドルからアーティストへの移行を目指したとでも言うのかな。今も同じで、ミュージシャンとして何ができるだろう、どうしたら皆を喜ばせることができるだろうと考え続けている。だから男闘呼組にしても「懐メロ」じゃないんですよね。「ミュージシャンスピリットを持ち続けてきた現在進行形の、おじさんになった男闘呼組を見てくれ」という気持ちでやっているんです。

岡本 そう、ファンの思いとか、いろんなものを背負ってね。——もう和也がこうやって全部受け止めて考えてくれるから、僕らはすごくラクなんですよ。何もしなくていい。

前田 ライブでも観客全員の心を一瞬でつかんで、グイーッと引っ張っていきますから。今後も変わらずに走ってもらわないと。

成田 あの一体感はすごい。いつも「和也の代わりはいないな」と思って見ています。

高橋 僕は、結成した時から「男闘呼組命」だったから。自分の青春のすべてだったし、男闘呼組が大好きだった。時にはケンカもしたけど、自分の人生の中で何が一番かって言ったら男闘呼組であること、男闘呼組がカッコよくあること。それが最大の喜びでした。

岡本 ライブ中に突然不思議なMCが始まったりするけど(笑)、そういうのも含めてのライブだから。計算じゃなく楽しんでいきたいよね。

前田 和也の熱の高さは僕らも認めてるし、「もっとやって!」って思ってるよ。

限界を越えないと、人を感動させられない


岡本 ツアーは本当に楽しい。土地土地でお客さんの反応も全然違うし。

成田 このメンバーで回れるのがまたいいんだよね。

高橋 昔は皆イケイケのやんちゃな時期だったから、尖って張り合っていたけど、今はもう楽屋がただただ楽しい。

前田 皆でバカ話して、ゲラゲラ笑って。

岡本 健康の話は絶対にするね、50代ともなると。

成田 腰が痛いとか。(笑)

高橋 最初にライブやった時なんか大変だったもんね。足はつるわ、声は出ないわ……。1日2公演あるから、1公演全力でやると「これ、もう一回もつのか!?」と不安になるんだけど、いざ幕が上がってファンの熱を感じた瞬間に気力がみなぎる。「やるっきゃねえ!」って全力を出せるんですよ。

前田 終わってから1週間ほど、和也と音信不通になりました。みんなして「あいつ、どうしたんだろう?」って。

高橋 ぶっ倒れてベッドから出られなかったんだよ。(笑)

岡本 そのくらい限界を越えないと、人を感動させられないんだなという思いもあります。2回公演も、なるべく多くの人たちに見てもらいたいからですし。また僕らの楽曲が結構パワフルなんですよ。壮大な曲もあって、エネルギーを使う。特にメインボーカルの2人、和也と昭次はあれを2回やるんだから大変だと思います。でも、生身の人間が汗水流しながらステージに立ってる姿って、「生きてるな」という感じがするじゃないですか。観る人も、そこに感情を揺さぶられるのだと思いますし。

高橋 50歳過ぎてこんなに必死になって、もう怖いくらいの思いでステージに立っている。それはやっぱり男闘呼組だからこそなんですよ。

岡本 本当にそう。そのくらいまでいかないと、なぜ復活したのか、なぜまた集まったのか、その意義がわからなくなっちゃう。来てくれたお客さんのために、毎回「これが最後になってもいい」くらいの気合いでライブに臨んでます。読者の皆さんも、ぜひ友達やダンナさんを誘って来て下さい。

30年ぶんの思いを全部ステージにぶつけます


高橋 昔、男闘呼組を好きだった子たちは、男闘呼組が活動を休止してから別のロック系バンドに流れた人が多いんですよ。それこそ洋楽にいったりして、僕らをきっかけにロックに目覚めたという人も少なくない。男闘呼組が入り口になったのだとしたら嬉しいですね。

岡本 僕らも、寺岡(呼人)さんと昭次が作ったバンド・Rockon Social Clubに混ぜてもらって。そちらの活動は、今後も続けていく予定です。

前田 皆、それぞれの仕事を抱えて、ここまで30年かけて生活の基盤を作ってきました。そんななかで再び男闘呼組をやってみたら楽しかった。だから今回も、昭次が作ったバンドに「混ぜて!」って言って混ぜてもらった、という感じです。

岡本 男闘呼組とは全然違うサウンド、楽曲で、メッセージ性もある。呼人さんがいることで、男闘呼組との化学反応が起きている気がします。

成田 バリバリのハードロックもあって、この先も常に進化していくんじゃないかなと予感させるバンドです。

高橋 これがまた楽しいんですよ。でもその前に、まずは男闘呼組のラストツアーです。

成田 第二章ですね。男闘呼組があって、そこにRockon Social Clubも潜んでいるという、2つのバンドの違いを感じていただけるのも醍醐味かなと思います。去年とはまた違う、新しくなった僕らに期待していてほしいです。

岡本 活動を休止していた時間を帳消しにできるくらい、いろいろな場所に行けるだけ行こうと思っています。僕らのことを初めて見る人もいるでしょう。来てくれた人に、音楽の楽しさとか、生きることの素晴らしさとか、今ここにいることの幸せとか、そういうものを感じていただける時間にするつもりです。永遠に心に残るライブをお見せしますので、ぜひ会場に足を運んでください。

高橋 2023年8月25日、日本武道館の公演をもって男闘呼組は解散します。男闘呼組という名前で活動するのは、このツアーが最後です。自分たちが持っているすべての力を注いで、男闘呼組の集大成を皆さんにお見せしますので、ぜひ目に焼き付けてください。

前田 30年ぶんの思いを全部ステージにぶつけて、最高のパフォーマンスをお見せします。最高の男闘呼組の姿を胸に刻んで帰っていただけるよう全力でラストステージに臨みますので、楽しみにしていてください。


「最高の男闘呼組の姿を胸に刻んで帰っていただけるよう全力でラストステージに臨みます」とツアーへの意気込みを語る前田耕陽さん(写真撮影:初沢亜利)

岡本 こういう年齢になると、皆いろいろ大変だったりするんだよね。僕自身、あまり過去を振り返ることはしないんだけど、まあ昔があって今があるのかな、とも思うし……。なのでファンの皆さんも、男闘呼組のライブを観て「若かったあの頃、こんな希望を持っていたな」と当時のことを思い出しつつ、「また明日から頑張ろう」と思ってもらえたらいいなと。今はそんな気持ちでいます。

高橋 健康に気を付けて、最後まで走り抜こう。……って言うか、52公演って50代がやるスケジュールじゃないよね!?(笑)

一同 あははは、頑張ろう!(笑)

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