吉岡里帆、進化を求めて自分を客観視「あえて否定的に見るように」 事務所移籍で抱いた思いも語る
2025年4月10日(木)6時30分 マイナビニュース
●『ガンニバル』シリーズの反響に喜び 自身の信念も明かす
2022年12月末にディズニープラス スターで実写ドラマ化され大きな話題を呼んだ『ガンニバル』の完結編となるシーズン2が、3月19日より独占配信されている。前作に続き、主人公・阿川大悟の妻・有希を演じた吉岡里帆にインタビューし、同シリーズに参加した感想や、前作から約2年での自身の変化について話を聞いた。
人里離れた供花村が隠してきた「この村では、人が喰われるらしい」という恐ろしい噂をめぐる真相が明らかになるシーズン2。柳楽優弥演じる主人公の警察官・阿川大悟は、村の真相に迫るため、狂気と暴力の渦に自らを投じる。
大悟の妻・有希役の吉岡は「シーズン2は1からの地続きなので、当時の気持ちをもう一度新鮮に思い出すということをまず大事にしました。この物語はある種のファンタジーでもありますが、まるで本当にこんな事件が起きたと思ってもらえるような生々しい感情を大事に演じました」と語る。
現実世界とはかけ離れた物語だが、共感する部分もあるという。
「シーズン1よりもバイオレンス要素は圧倒的に強まりますが、根っこに流れているのは家族愛で、家族を守るという親たちの使命感みたいなものが芯になっているので、そこは共感します」
志水心音演じる娘・ましろを自分の命をかけて守ろうとする有希。吉岡は「撮影時は、小さくて儚くてかわいいこの子を守れるのは私しかいない、この子を守るんだという感情に日々なっていました」と振り返る。
また、演じていて「こんなに腹の底から人に対して怒りって生まれるんだ」という思いも芽生えたそうで、「怒りを抱えた役はこれまでも演じたことがありますが、今回の怒りはものすごく大きくて。愛しているが故に、大悟に対して絶対に許さないという強い感情が芽生えました」と語る。
そして、『ガンニバル』シリーズの反響も明かし、参加できた喜びを改めて語る。
「原作の漫画も人気があってファンの方も多いので、『ガンニバル』に出演したことで、応援してくださる方が増えたり、作品を心から楽しみにしてくださっている熱いお声をいろんなところからいただきました。ファンの方はもちろん、今までお話したことがなかった方からも『ガンニバル見ています』『いつ続きやるんですか?』と、いろんな方に声をかけていただいていたので、そういう作品に出られてうれしいなと思っています」
登場人物たちのそれぞれの信念がぶつかり合う本作にちなみ、自身が大切にしている信念を尋ねると「人を大事にすることです」と答えた。
「人を恨んだり、人を傷つけてまで得るものはないと思っているので、相手の思いや、相手が何を考えて何を望んでいるのかということをちゃんと聞く姿勢というか、自分が表現しなきゃいけない世界だからこそ、聞くことを大切に。常にチームでやっているということを意識して仕事しています」
●前作から約2年「より強くなったし、より責任感が増した」
2022年12月にシーズン1が配信されてから約2年。吉岡は「より強くなったし、より責任感が増しました」と変化を語る。
「自分が引っ張っていかなきゃいけない瞬間が増えて、自分がブレないということが周りの方たちにとっても重要なことだと思うようになりました。信念をブレさせずに大事なことを突き詰めていき、みんなが応援していてよかったと思ってもらえるような活動を続けることが大事だなと感じています」
自分がブレないために日々心掛けていることはたくさんあるという。
「人を大切にするということはもちろんですし、体調管理ですとか、心を一定に保って演じ切るとか、細かい話をしたら肌荒れしないとかもそうですね。役を演じるために必要な要素を期間中ブレずに保ち続けるようにしています」
また、「今の自分に簡単に納得せず、自分自身を客観的に見てブラッシュアップしていく」という意識が、この2年で強まったと明かす。
「怒ってくれる人も減っていきますし、自分で自分を一番怒るというか、『それでいいのか?』『もっと違うやり方があるんじゃないか?』とあえて否定的に見るように。変わらない毎日を送ると退化してしまうと思うので、新しい挑戦などをして進化し続けていきたいです」
そして、まだまだ磨いていかなければならない部分がたくさんあると語る。
「『ガンニバル』のような作品は心の強さも体力も必要な現場ですが、歳を重ねることで体力落ちてしまうことはある種仕方ない。だからその分、心に余裕を持ってキャラクターの感情を広く見ることができるとか、作品を深く読めるとか、そういうことがこれからは求められていくのかなと思います」
共演者から刺激を受けることも多いという。
「今回、柳楽さんが主演として立ってくださっている以上、絶対に面白い作品になると個人的に確信していました。そのぐらい柳楽さんの存在感が大きく、自分もこんな風になりたいと憧れますし、今の自分にはここまでのエネルギーはないなと。素晴らしい主演の方に会うと、年齢性別関係なく圧倒される場面があり、自分ももっと頑張らないといけないなと思わせてくれます。より努力して自分を磨いていきたいなと思います」
●事務所移籍で女優業への思い再確認 感謝の思いもより強く
前所属事務所の芸能業務休止により、昨年4月にフラームに移籍してから1年。事務所移籍で改めて女優業に対する思いを再確認し、感謝の思いも強まったと振り返る。
「今でも必要としてくださる方がいるということがとてもありがたいこと。私たちは見てくださる方や応援してくださる方がいて初めて存在する仕事なので、そういう方たちへの感謝の思いもすごく強まりました。こんなに期待してもらったり、こんなに大事にしてもらっている以上は、その思いに報いたいなと。優しい感情に対して、面白いもの発信してお返しするというか、そんなギフトを送れるような表現者でいたいと思いました」
2026年放送の『豊臣兄弟!』(NHK)で大河ドラマに初出演することも決まっており、さらなる飛躍が期待される吉岡。
今後の抱負を尋ねると「1日1日を精一杯生きていくのに必死なタイプなので、遠い未来のことは考えてなくて。でも、あえて言うなら、『この人が出ている作品って絶対面白いよね』と思ってもらったり、たくさん作品がある時代に、『この人の作品だけはちゃんと大事に見たい』と思ってもらえるような人になることです」と答えた。
最後にファンに向けて「『ガンニバル』シーズン2、お待たせしました! 私たちは全力で撮影に挑み、生身の人間にしかできない表現にも挑戦しています。ぜひスリリングな『ガンニバル』という体験を楽しんでいただけたらと思います」と作品の魅力をアピールし、「皆さんに応援していただいているということを忘れたことはありません。新しい挑戦をやめず、どんどん進化していくので、これからも応援していただけたらうれしいです。頑張ります!」とメッセージを送った。
■吉岡里帆
1993年1月15日生まれ、京都府出身。連続テレビ小説『あさが来た』(15)、ドラマ『カルテット』(17)などに出演し、注目を集める。近年の主な出演作はドラマ『時をかけるな、恋人たち』(23)、『御上先生』(25)、映画『アイスクリームフィーバー』『ゆとりですがなにか インターナショナル』『怪物の木こり』(23)、『まる』『正体』(24)、『ファーストキス 1ST KISS』(25)など。『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』が2025年秋、『九龍ジェネリックロマンス』が2025年公開予定。2026年放送の『豊臣兄弟!』(NHK)で大河ドラマ初出演を果たす。