パン職人を夢見て上京も苦戦の日々…寄り添い続けた取材Dが訴える「自分事に置き換えて彼を見て」

2025年4月12日(土)18時0分 マイナビニュース


●『ザ・ノンフィクション』で有名店の新人2人に密着
フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)で、6日に放送された『上京物語2025〜二十歳のふたり 駆け出した夢〜 前編』。一流のパン職人になることを夢見て上京してきた2人の若者を追った作品で、SNSでは同期の差が広がっていく様子に様々な声が飛び交った。
若手パン職人が集うコンクールの全国大会出場を決めた原さん(21)に対し、朝早い仕事になかなか慣れない福山さん(21)だが、「彼だからこそ共感してもらえるところがすごくあると思うんです」と強く訴えるのは、今回の取材で寄り添い続けた鴨下満ディレクター(テレビマンユニオン)。13日放送の後編を前に、話を聞いた——。
○先輩たちに萎縮する姿に新人時代の自分を重ねる
今回の舞台は、世界大会でも優勝したパン職人の井上克哉さん(56)がオーナーシェフを務める「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」。鴨下Dは、福山さんが通っていた愛媛の専門学校が、この人気店に卒業生を輩出していることを知り、井上さんに上京した新人たちへの取材を申し込んだ。
取材に入る前、井上さんからは原さんが順調に仕事をこなす一方、福山さんが苦戦していることを聞かされていたが、出会った印象は「すごく好青年だと思いました」とのこと。しかし、実際に仕事ぶりを見てみると、遅刻が多く、声も小さくなって自信を失った様子がうかがえた。
そんな姿に、自身の新人の頃を重ねたという鴨下D。
「僕は今37歳ですが、22歳で入った頃はテレビ業界もまだ体育会系で、先輩たちと日常会話ができなくて、すごく萎縮していたんです。だから福山さんの感じが、自分が当時、先輩たちに感じていた部分とすごく通じるなと、取材を始めた当初から思っていました」
一方で、「井上さんにとっては、地方からわざわざ朝早くてつらい仕事を選んできたのだから、自分の技を盗んで吸収するスタンスで来るのが当たり前だと思っていたんです」というだけに、消極的な福山さんとの接し方に戸惑いが。そんな2人がうまくコミュニケーションが取れない状態が続くことを心配しながら取材を続けていた。
○「彼の中で間違いなく成長があったんです」
今作が長編ドキュメンタリー初挑戦の鴨下Dは「これまで番組の取材中に、相手に対して自分の思いをぶつける経験がなかったのですが、『ザ・ノンフィクション』のいろんなスタッフの方に“取材対象に嫌われることを恐れすぎている”と言われ、ドキュメンタリーのディレクターは傍観して相手の言っていることを鵜呑みにしているだけじゃダメなんだと学びました」と、取材しながら進化。前編では、福山さんに変わってほしいと願う鴨下Dが、飲みに誘うシーンもあった。
この思いが徐々に通じていったのか、後編では、全国大会に向けて連日連夜、練習を続ける同期の原さんの刺激も受け、福山さんに少しずつ変化が生まれる。苦手だったフランスパン作りの練習を始めたのだ。
鴨下Dは「福山さんがフランスパンの成形を他のスタッフに教えながら頑張っていたんです。“自分は今までうまくいかなくて何度も指導を受けてきたからこそ、教えられる部分もある”と言っているのを見て、すごくいいシーンだなと思いました。彼の中で間違いなく成長があったんです」と、感慨深く見つめていた。
●彼を“できない子”という目で見ないでほしい
故郷の愛媛に帰るのか、東京で頑張り続けるのか——福山さんの揺れる心が映し出される後編。「最初のインタビューで、“這いつくばってでも同期に追いつきたい”と話していた彼の中で、その気持ちが続いて頑張っていけるのか、見守るような思いで見てほしいです」と呼びかける。
半年にわたる取材期間、福山さんに寄り添って「彼は愛嬌があるし、本当に憎めないんです。だからすごくかわいがってくれる先輩もいます」と、魅力を語る鴨下D。
前編の放送を受け、SNSでは心無い言葉を投稿する視聴者も散見されたが、「彼を“できない子”という目で見ないでほしいんです。自分もそうですし、新人の頃に遅刻したり、失敗したり、先輩と上手く話せなかったりという経験は誰にでもあると思います。だから、自分事に置き換えて彼を見てもらえたら、きっと皆さんに共感してもらえるはずだと僕は思っています」と胸を張った。
○本当にパンが好きでないと続かない仕事
朝が早いパン店の密着取材は、最寄り駅前のネットカフェに泊まり、午前4時半〜5時頃にスタート。半年間で3日に1日のペースで通ったが、「それでも結構大変だったのに、これを毎日やっているお店の皆さんは本当にすごいなと思いました」と実感した。
始発電車に乗っても出勤時間に間に合わないため、ほとんどのスタッフが店の近所に家を借りているそうで、「住みたいところに住む自由もない中で、本当にパンが好きでないと続かない仕事なのだと思いました」と、リスペクトの気持ちを抱きながら取材したという。
そんな職人たちが作るパンは「本当においしいです」と絶賛し、中でもおすすめは、クロワッサン生地にカスタードクリームを塗った「カンノンチーニ」と「カレーパン」。それだけでなく、「例えば、照り焼きチキンを挟んだパンに、レタスだけでなく、刻んだキュウリ、キャベツといろんな野菜を一緒に入れるなど、どのパンも1個1個手間ひまかけて作られているんです」と、細かいこだわりが感じられるそうだ。
その上、この物価高でも「カレーパン」が200円未満というリーズナブルな価格を守り、常に盛況を誇るこの店には、2025年も地方から新人が入社した。鴨下Dは「今後も引き続き、皆さんを取材させていただきたいです」と意欲を示している。

マイナビニュース

「パン」をもっと詳しく

「パン」のニュース

「パン」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ