「人買い」と批判された過去も…小泉今日子からtimeleszまで「オーディション番組」の栄枯盛衰

2025年4月20日(日)16時0分 週刊女性PRIME

左から、山口百恵、中森明菜、小泉今日子



「これまでも数々のオーディション番組がありましたが、昨今が最も熱いのではないでしょうか。昨年末からはtimeleszのメンバーを募った『timelesz project』(以下タイプロ)、SKY-HI率いるBMSGがちゃんみなをプロデューサーとして女性メンバーを募った『NoNoGirls』(以下ノノガ)などが若者世代だけではなく、中高年をも巻き込んで社会現象化しています」(芸能ジャーナリスト、以下同)

オーディションの歴史を振り返り

 オーディション番組が熱いのは今に始まったことではない。時代とともに移り変わっていったそのあり方とは?

 今なおテレビ史に残るオーディション番組といえば『スター誕生!』(日本テレビ系)を差し置いては語れないだろう。萩本欽一を司会に、山口百恵さんや中森明菜小泉今日子を発掘した伝説の番組として語り継がれている。

「それまで謎のベールに包まれていた芸能界にハガキ1枚で誰でも応募でき、その審査の過程を公開することで、芸能界がより身近になった。さらに芸能事務所の存在を誰もが知るところとなりました。

 決戦大会で気に入った出場者に各芸能事務所がプラカードを上げるシステムで、一部では『人買い』と批判されたことも。人身売買のように見えなくもないですからね(笑)。今でも第一線で活躍している小泉さんや中森さんを素人のときから見られた視聴者がうらやましいです」

『スタ誕』を皮切りに『君こそスターだ!』(フジテレビ系)などの番組が乱立。しかし時代はオーディション番組から遠ざかり……。

「次に出てきたのが素人参加型の『夕やけニャンニャン』でしょう。おニャン子クラブは一応『夕ニャン』内のオーディションという体をとっていましたので」

 形を変えていくオーディション番組。'90年代にはタレントの千秋らを生み出した『ゴールド・ラッシュ!』(フジテレビ系)などが放送されていたものの、ヒットと呼ぶには程遠く、オーディション番組は冬の時代に突入した。



小室ブームの到来

 '90年代中盤に入り、小室哲哉プロデュースの歌手が軒並みヒットを飛ばすという《小室ブーム》が訪れる。

「それに目をつけたのがテレビ東京で放送していた『浅草橋ヤング洋品店』(のちに『ASAYAN』に改名)です。小室哲哉プロデュースのオーディションコーナー『コムロギャルソン』がヒットし、夢のオーディションバラエティーへと変貌していきました。電通のプロデューサーが加わってテレ東の番組でも大きなタイアップをとれるようになり、小室プロデュースの鈴木あみ(現・亜美)などを発掘しました。

 また、番組で募集された三井のリハウスガールオーディションでは女優の池脇千鶴を発掘。LUNA SEAの河村隆一プロデュースの女性3人組や、女優の中村ゆりもパッパラー河合プロデュースのYURIMARIでデビューしています。最大のヒットは、'98年につんく♂がプロデュースしたモーニング娘。で、後藤真希が加入してからは社会現象となり、プロデュースブームを巻き起こしました」

 しかし、大人気のモーニング娘。が離れていくとともに、番組は次第に勢いをなくしていき終了を迎えた。



「オーディション番組は衰退したかと思われたのですが、再び火をつけたのは日本テレビ系の『スッキリ』というワイドショーでした。そのうちのコーナーでEXILEの新メンバーオーディションを放送し、放送当時からTAKAHIROさんは人気で、当時の主婦たちがこぞって応援したといいます。

 この手法が成功したからか、同番組では『NiziU』や『BE:FIRST』のオーディションも放送し、特にNiziUオーディション時はコロナ禍だったこともあってリモートワークなどで放送を見ている視聴者が多く、ワイドショーを見ない層にも人気が広がりました。もっともNiziUはオーディション時がピークで現在の活動を応援している視聴者は少ないのかも……」

 ワイドショー内で放送したことでファン層の違いもあったという。

「朝のワイドショーで放送されていたBE:FIRSTと日曜日の昼に放送されていたINIはデビュー日が同じだったんです。渋谷のTSUTAYAではビーファファンには中高年が、INIファンには10代、20代が集まり、ファン層の違いが色濃く表れていました。また、BE:FIRSTはプロデューサーのSKY-HIが独断で選ぶのに対してINIなどは国民投票ということもあり、視聴者がプロデューサーの目線で候補者を見ていたのも特徴的」



変化していく昨今のオーディション

 放送局や時間帯で視聴者層が違うのは当然だが、昨今のオーディションはそれを見越しているという。

「例えばタイプロはNetflix独占でした。これはそもそもお金を払わないなら見るな、という強気な姿勢ですが、多くの視聴者を惹きつけ、今でもその話題性を維持しています。菊池風磨やトレーナーなどが候補者に対して強気な姿勢で接し、推しの候補者が怒られている場面で胸が締めつけられた視聴者も多い。タイプロはいわば昔のスポ根風オーディションでした」



 一方で新しいコンセプトを生み出したのが、ちゃんみなプロデュースの『ノノガ』だ。

「これまでルックスなど不条理な理由でNOを突きつけられてきた女の子たちを救済するという意味を持つプロジェクトだったので、優しい世界が展開されていましたね。候補者に自分を重ねる視聴者が多いのはもちろん、ちゃんみな自身が才能がありながらもNOを突きつけられてきた女性なので、候補者への声かけが優しい。とても令和的だなと思いました。デビューしたHANAの面々が自然な体形で堂々としているのも今の時代という感じで好感が持てる。ガリガリに痩せたりしないで、と一視聴者として願っています」

 時代とともに変化していくオーディション番組の形。家族みんなで一台のテレビを共有していた昭和とは、大きく事情が異なるようだ。

週刊女性PRIME

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