『光る君へ』さわ役の野村麻純、涙シーンは「自然と気持ちがあふれて…」 笑顔コンプレックスだった過去も明かす

2024年4月21日(日)20時45分 マイナビニュース

●より役の気持ちを深掘りするようになった転機語る
現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合 毎週日曜20:00〜ほか)で、吉高由里子演じる主人公・まひろの友人・さわ役を務めている野村麻純にインタビュー。さわを演じる際に意識したことや自身の転機など話を聞いた。
野村が演じているさわは、まひろの父・藤原為時(岸谷五朗)が世話をしていた女性の、以前の結婚で生まれた娘。愛情に飢えた、一風変わった娘で、まひろを慕って親しい間柄に。
14日放送の第15回で、まひろとさわは近江の石山寺へ。絆を深めた2人だったが、藤原道綱(上地雄輔)の行動がきっかけとなって、2人の友情に亀裂が入ってしまう。21日放送の第16回でその続きが描かれ、さわは「これ以上、私をみじめにさせないでください。放っておいて!」と泣きながらまひろを突き放した。
明るい性格ながら複雑な思いも抱えているさわ。野村は「さわは、父からも育ての母からも興味を持ってもらえていないという状況の中、お母さんと会わせてくれたまひろに恩もあるし、まひろのことが大好きで慕っていて、味方であるという気持ちと、ずっと抱えてきた疎外感や孤立感など、どちらも常にあるということ意識して演じました」と語る。
さまざまな感情にどう一貫性を持たせるかということが野村にとって挑戦だったという。
「さわは感情が顔に出るし、本当に同じ人なのかというぐらい感情の振り幅が大きい。台本を読んだ段階では、どう一貫性を持たせてちゃんとつながっているように見せたらいいんだろうという不安がありましたが、現場に入ってお芝居を重ねていくと、さわは嘘がつけないし、まひろと過ごしてきた時間の中でまひろに懐いているので、甘えも出てくるし、その時間経過を考えるとそうなるのかなと思えて、すんなり演じることができました」
フジテレビ系ドラマ『PICU 小児集中治療室』(2022)で演じた難病を抱えた子供の母役など、近年は涙の演技が印象深い野村。「最近は泣いていたり、うじうじしている役が多いです」と笑う。
野村自身はとても明るい人柄で、役とのギャップに難しさを感じることはないか尋ねると、「かけ離れていても、気持ちがわかる部分もあるので。むしろ、明るくてテンションを上げる役のほうが、空回ってやりすぎてしまうところがあり、難しいかもしれません」と答えた。
そして、涙の演技など、感情を深掘りする役どころにやりがいも感じているという。
「例えば台本に『ここで涙を一筋流す』と書かれていた時に、どういうアプローチでそういう気持ちに持っていこうかなと考えるような、感情を深く掘り下げる作業は好きです」
石山寺からの帰りに感情をあらわにするシーンも、さわとして演じていたら自然と涙が出てきたと振り返る。
「泣くというより、今までの思いをぶつけることを意識したのですが、自然と気持ちがあふれて涙が出て、自分でも不思議な感覚でした。さわとしてはまひろに構ってほしいという思いもあってあのような態度になったと思うので、映像を見ると、ちびっ子が駄々をこねているみたいだなと。まひろと一緒にいることで自分の居場所を感じていたけど、それも違ったのだと勝手に思い込むわがままな部分が出て、ああいう面倒くさい泣き方になりました」
○撮影で泣けず悔し涙を流したことも
以前は、泣くシーンで涙が出ず、撮影後に悔しくて泣いたこともあったという。
「泣こう泣こうと思ったら泣けなくて。泣こう泣こうと思っていること自体、違うなと今はわかりますが、その時は涙という目に見えるものが絶対必要だと思ってしまって。泣くシーンでも、泣かなくても伝わることはあるので、今はここで涙を流すんだということにとらわれなくなりました」
野村にとって大きな転機となったのが映画『空白』(2021)で、この作品をきっかけに役の感情をより深掘りするように。
「『空白』という映画で、不意の事故を起こし、それがきっかけで精神的に病んでしまう役を演じたのですが、映画の経験もそんなになかったですし、自分の中でしっかり準備していこうと思い、それまで以上に役について深く考えて役作りをしました。それが見てくださった方にもちゃんと伝わったのかなと。そこからどんな役でも、より役の気持ちを深掘りするようになりましたし、『空白』以降、泣く役が増えました」
また、「以前は少ないシーンで印象を残さないと、と思って空回っていたことが多かったのですが、そういうことはやめて、作品のことを一番に考えようと思えるように。自分の役の役割を何よりも大切にしようと思っているので、自分の中でブレることがなくなりました」という変化も明かした。
●苦手意識があった明るい役も自然に演じられるように
明るい役に難しさを感じると話していた野村だが、笑顔コンプレックスを抱いていたこともあったという。
「20代前半の頃に、笑うと目がなくなるということで『笑顔があまりきれいじゃないから笑わないほうがいい』とカメラマンさんから言われたことがあって、あまり笑わないほうがいいんだなと。でも明るい役を演じることが多いし、どうしたらいいかわからない時期がありました。テレビに映っても、普段の自分の笑顔だとダメだから、きれいな笑顔を作ろうとして、笑顔にコンプレックスがあり、明るい役に苦手意識がありました」
だが、ムロツヨシと夫婦役を演じた「味ぽん」のCMをきっかけに、笑顔コンプレックスを克服。
「『味ぽん』のCMを見た方に『笑っている姿がいいね』と言ってもらえて、あんなに苦手だった笑顔を『いいね』と言ってもらえることがあるんだと。あのCMをきっかけに決まったお仕事もあって、あんなに笑顔に気を使っていた時間はなんだったんだろうと、吹っ切れた感じがありました」
泣く芝居と同じように、表面上の見え方ではなく役の気持ちを大切にするようになり、苦手意識のあった明るい役も少しずつナチュラルに演じられるようになったという。
「見え方を気にしても仕方ないなと。逆にお芝居の邪魔だなと気づけてよかったです。以前は明るい役だと気負ってしまい、空回って見えていたと思いますが、自然に演じられるようになってきた気がします」
○役の広がりに喜び「いい循環で進めているなと」
明るい役が多かった20代を経て、今では複雑な思いを抱えるシリアスな役も任されるようになり、役の広がりに喜びを感じている。
「もっと気持ちを深掘りする役もやりたいなと思っていたときに『空白』という作品に出られて、それを見てくださった方が泣く芝居につなげてくださったのもすごくうれしかったですし、そういう役が増えてくると今度は明るい役がちょっと恋しくなったりもして。明るい役も以前より楽しく取り組めているので、いい循環で進めているなと感じています」
役者として着実に歩みを進めている野村。「私はコツコツなんです。でも、ホップ・ステップ・ジャンプしても自分の身にはならない気がするので、このくらいコツコツのほうがいいのかなと。これからもコツコツと、自分に求められる役を全うできるよう頑張ります!」と笑顔で語ってくれた。
■野村麻純
1990年10月10日生まれ、鹿児島県出身。2011年にドラマ『華和家の四姉妹』でデビュー。2012年にドラマ『11人もいる!』でソアラ役を演じ話題に。近年の主な出演作は、ドラマ『PICU 小児集中治療室』(22)、『こっち向いてよ向井くん』(23)、『推しを召し上がれ 広報ガールのまろやかな日々』(24)、映画『空白』(21)など。
(C)NHK ヘアメイク:尾口佳奈 スタイリスト:浅井彩津希

マイナビニュース

「野村」をもっと詳しく

「野村」のニュース

「野村」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ