日本市場が持つ“スーパーファン”の可能性 韓国発推し活アプリ「Weverse」柔軟姿勢で右肩上がりに推移

2024年4月25日(木)6時0分 マイナビニュース

●おくれを取る推し活文化のデジタル化を補う
130組以上の世界のアーティストが参加し、メッセージ投稿やライブ配信、Eコマースなど、ファンとの活発なコミュニケーションを実現する韓国発のプラットフォームサービス「Weverse(ウィバース)」。昨年10月に日本法人・WEVERSE JAPANのGMに就任したムン・ジス氏が取材に応じた。
アプリのダウンロード数、ユーザー数、ライブ配信の再生数など、右肩上がりで順調に推移する中、古くは「追っかけ」「親衛隊」などが存在し、ファン文化が成熟している日本において、大きな可能性を感じているというムン氏は、日本市場をどのように捉えているのか。今後の展望を含め、話を聞いた——。
○アーティスト&ユーザーの声を積極反映
Weverseは245の国と地域で利用され、商品の配送可能な国と地域は209にのぼり、15言語のリアルタイム翻訳に対応している。昨年6月には累計アプリダウンロード数が1億を、同7月にはMAU(月間アクティブユーザー数)が1,000万を突破し、累計ライブ再生数は20億を超えた。
このように順調に推移する背景として、ムン氏は「数ある“推し活”に必要な機能が、一つのアプリにそろっている」と挙げるが、それに加えて特徴的なのが、アーティスト自身の声を積極的に取り入れていることだ。
アーティストからの意見を受けて、アーティスト同士の合同ライブ配信機能の導入を決めたほか、「Weverse LIVE中の自分のコメント、ユーザーからのチャットがリアルタイム翻訳されると、世界中のファンとコミュニケーションが取れるからそういう機能が欲しいな」という希望を受け、その機能の実装も検討しているという。
「コミュニティのフィード(ファンとアーティストがテキストで会話する空間)で“Weverseがこうなればいいな”という投稿もチェックしますし、一部のアーティストは、Weverseやレーベル(事務所)の担当者にも話してくれるんです。すべて実現する約束まではできないのですが、そういうアーティストやファンからの声をこまめにヒアリングしながら、サービスを改善しています」(ムン氏、以下同)と、柔軟な姿勢が強みになっている。
○地域の独自文化を尊重するグローバルサービスに
この4月からサービスコンセプトとして、「Global Superfan Platform(グローバル・スーパーファン・プラットフォーム)」を掲げている。「スーパーファン」とは、アーティストのコンテンツ(アルバム・コンサートなど)を積極的に消費し、特別な体験を望んで購買意欲を高く持ち、誠実で熱心に心を寄せるファンと定義。ムン氏いわく「常に推し活を楽しんでいる方」との親和性の高いプラットフォームを目指すが、日本においては、スーパーファンのポテンシャルが高いと捉えている。
「日本はファンダムライフスタイルの歴史が長く、文化として強く根付いています。80年代からアーティストやアニメなどの推し活があり、それが世界に広がっているのだと思います」
ただ、推し活文化のデジタル化という点において、おくれを取っている現実がある日本。そこに、Weverseというプラットフォームが入ることによってデジタル化を補い、「もっと気軽に、より便利に使えるようになっていけたら、より高いポテンシャルを発揮できると思います」と期待を示した。
日本市場における特有の文化の一つとして挙げるのは、コンビニ決済。この対応を韓国の開発チームに持ちかけたところ、不思議がられたという。
「都市から離れた地域では、コンビニがライフスタイルの拠点になっているところもあり、現金で払うほうが慣れていたり、アナログな方法に安心感を覚える人もいると思います。韓国にはない決済方式なこともあり、“なんでコンビニ決済が必要なのか?”という説明が必要でした。細かく見ていくとローカライズが必要な部分はあって、各地域の独自の文化を尊重してバランスを取り、現地化をきめ細かく行ってこそ、グローバルサービスとしてさらに長く利用してもらえるサービスになると思います。これらの部分を調整することが日本法人の役割です」
●グローバルプラットフォームで“出会い”を創出
グローバルなプラットフォームとして、アーティストとファンが国や地域を超えて交流することを可能にするWeverse。「アーティストが簡単に世界に向けて配信できることによって、ユーザーが自分の知らない世界の様々なエンタメと出会える機会が増えるので、お互いにメリットがあると思います」と強調する。
“出会い”の創出から、新たなアイデアやコラボレーションが生まれることも期待。「Weverseがこれをどう生かしていけるかはまだ考える余地があると思いますが、まずはサービスの利用量を増やすことに集中していきます」と話した。
6月15〜16日に韓国・仁川のインスパイア・エンターテインメント・リゾートで開催され、オンライン配信も行う「2024 Weverse Con Festival」は、様々な地域のアーティストが参加する音楽フェスで、まさに“出会い”の場を提供するイベントだ。
「いつかは海外の有名フェスティバルのように、様々なジャンルの音楽が集まって、各国のアーティストやファンがみんな一緒に参加できる場を作りたいです。WEVERSE JAPANとしては、日本のアーティストの出演にも期待しています」
日本からは&TEAM、imase、YOASOBIの出演が発表されており、昨年よりも参加アーティスト数が増えている。
○“神秘主義”的アーティストにも最適化
アーティストにとってファンとの活発なコミュニケーションが取れることが魅力のWeverse。一方で、メディア露出を控え、ファンとの距離を取る“神秘主義”的な魅力を持つアーティストも存在するが、彼らが参加することは全くないのだろうか。
「Weverseが大事に考えているのは、そのアーティストの個性です。なので、様々なアーティストにアプローチはしますが、もちろん無理やり参加してほしいとお願いはしません。ファンとのコミュニケーションは非常に重要ですが、アーティストが状況に合わせて最適化した形でWeverseを利用することも可能にしています」
今後の機能の拡充として、「アーティストが自分の個性を表現できるような画面構成の自由度を高める」という項目も掲げており、様々な戦略を持ったアーティストがそれぞれのスタイルで参加できる場を提供していく方針だ。
これまで、NEOWIZ、ゲームオンといった企業でポータルサービスやゲーム事業を手がけ、昨年10月にWEVERSE JAPAN GMに就任したムン氏。「これまでの仕事でも、新しいビジネスモデルを作るために、どこがハードルになっているのか、どうすればより楽になるのか、ユーザーからの声をよく聞き、それを数値化して分析することが重要でした。この経験は、Weverseでも生かせると思っています」と語る。
WEVERSE JAPANが設立されて6月で2年になるが、「組織の整備とチームの拡大に注力してきた」と、日本での事業はまだ発展途上であると位置づけた上で、「現在はK-POPアーティストが多い状況ですが、様々な国とジャンルのアーティストとって使いやすいプラットフォームにするために改善を進めています。米国や日本のアーティストがより使いやすいようにレーベルや事務所、アーティストとも話を進めているところです」と展望を述べた。

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