フィリピンで一文無しに…“どうしようもない”日本人男性に尾野真千子が感じた不思議な魅力「幸せなんだろうな」

2024年4月27日(土)18時0分 マイナビニュース

●開業資金をカジノで使い込まれ、不法滞在の身に
女優の尾野真千子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、28日に放送される『私の父のなれのはて 〜全てを失った男の楽園〜』。フィリピンでひっそりと暮らす日本人男性を追った作品だ。
不法滞在の身であり、決して裕福な暮らしを送っているとは言えないが、その姿に「幸せなんだろうな」と感じたという尾野。この不思議な魅力を視聴者に伝えられる喜びを語ってくれた——。
○日本にいる娘に「もう一度会いたい」
番組スタッフがマニラ近郊の町で出会ったのは、日本でトラック運転手や土木作業員をしていた平山さん(64)。2004年、友人から誘われるままに、フィリピンへ渡ったが、「一緒に日本料理店を開こう」という知人に、借金をしてまで用立てた開業資金をカジノで使い込まれてしまった。一文無しで帰国資金さえ失った平山さんは、現地で知り合った人の家を転々とする生活を送り、それから10年、乗り合いバスの呼び込みでチップをもらい、何とか食いつないできた。今は、そんな暮らしの中で出会ったフィリピン人女性・テスさんとの間に娘も生まれ、家族として暮らしている。
電気代が払えず、暗闇で食事をすることもしばしば。それでも、時おり日本の歌謡曲を口ずさみながら、新しい家族との暮らしを楽しんでいるように見える。ある日、昔話をしながら口にしたのは、日本に残してきた娘のこと。「日本にいる娘にもう一度会いたい」というが、すでに結婚し、故郷を離れているため、居場所も分からないという。番組スタッフは、日本で平山さんの娘を探し始めた…。
○歯はなくなっていくが痩せていかない
2021年に公開されたドキュメンタリー映画『なれのはて』の登場人物の一人だった平山さん。この映画を見た尾野は「こんな“なれのはて”があるんだと、未知の世界を感じて、人生や生き方について考えさせてもらいました」と振り返る。そこから月日が経ち、今回のナレーションのオファーが来ると、「自分の感じたことを、自分の声で皆さんにお伝えできるんだと思うとうれしくて。“知ってる? こういう世界があるんだよ”と言えることに、面白いなと思いました」という心境で、今回のナレーションに挑んだ。
平山さんの印象を聞くと、「私たちが“良い/悪い”と判断する必要性は全くないです。だけど、面白いことしてるなと思いました。“どうしようもないなあ(笑)”って思うんですけど、“幸せなんだろうな”と感じるんです。ナレーションで“この時の流れは、なんだろう…”という部分がありますが、本当にその通りだなと思いました」と不思議な感覚に。
幸せな様子を感じる理由は、常に笑顔でいることが大きい。「ほかにも日本人が登場しますが、彼らがガリガリなのに比べて、平山さんがふくよかなんですよね。時が経つにつれて歯はどんどんなくなっていくけど、全然痩せていかず、幸せそうな笑顔のままなんです。それは支えてくれるテスさんのおかげですよね。本当に、出会った人が良かったんだと思います」と受け止めた。
●平山さんに共感も「結構流れに身を任せる生き方をしている」
そんな平山さんを「本当に憎めないんです」という尾野。「いろんな人に優しく接していて、それができるのは、きっと自分が優しさを受けてきたからだと思うんです。周りの人を信じたり、自分の気持ちをウソなくぶつけるから憎めなくて、つい追っちゃいますよね」と、その魅力を語る。
ただ、流れに身を任せる人生を送ってきた彼の周りには、お金にまつわる怪しい人たちが集まってきてしまう。そんな状況に、「見ていると“バカだなあ(笑)”と思う反面、気付かされるところもあると思います。この映像の中の“どうしようもない”人たちは、私たちの教材でいてくれて、とても勉強させていただいたので、視聴者の皆さんがどう感じてくれるのか、とても興味があります」と話した。
平山さんに、ある種の共感も覚えた様子。「私も作品の選び方とかも、結構流れに身を任せる生き方をしているので、違った意味かもしれないけど似ているところがあるかもしれない。そういった意味で、私も自由人なのかもしれないです(笑)」といい、「本当に興味のわく平山さんに出会えたことが、私の次の一歩にもなると思うので、平山さんを引き続き見たいです。今度はどこに行くのか、このままでいるのか、楽しみですね」と願った。
現在放送中の朝ドラ『虎に翼』(NHK)でも語りを担当する尾野。「朝ドラは主人公の気持ちから、私の気持ちも入っていって、お芝居をするような気持ちもあるのですが、今回の『私の父のなれのはて』は、“伝えたい”という思いが一番最初にあります。自分と全く関係のないこの世界のことを、“私の声で皆さんに伝えなきゃ”とすごく考えたので、同じナレーションでも全然違いますね」と、それぞれのスタンスを明かしてくれた。
●尾野真千子1981年生まれ、奈良県出身。97年に映画『萌の朱雀』で主演デビューし、『火の魚』『Mother』『名前をなくした女神』『カーネーション』『最高の離婚』『僕の手を売ります』などのドラマ、『クライマーズ・ハイ』『そして父になる』『茜色に焼かれる』などの映画に出演する。現在放送中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で語りを担当し、2024年には映画『DitO』が公開予定。

マイナビニュース

「フィリピン」をもっと詳しく

「フィリピン」のニュース

「フィリピン」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ