「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章まで生き抜いた強き女性たちに注目

4月30日(火)11時20分 シネマカフェ

「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」 Photo: Helen Sloan/HBO(C)2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

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大ヒット中の映画『キングダム』の原作者やプロデューサーが「参考にした」と公言し、スーパーヒーロー映画『シャザム!』のセリフにも登場する海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」。

その最終章・シーズン8が日本時間4月15日(現地時間4月14日)より日本も含め世界同時にスタートすると、米HBOでは第1話が過去最高の視聴者数を更新。翌週22日に放送された第2話も、これまで見守ってきたファンを涙させる“決戦前夜”が丁寧に描かれ、Twitterの世界トレンドには前回同様、本作のキャラクター名や関連ワードがぎっしり。日本でも「次回が待ちきれない」という声が後を絶たない。

R15指定の“お子様厳禁”な性描写や暴力描写に、ドラゴンや妖術、ゾンビのような死者の軍団まで登場するファンタジー超大作でありながら、本作がこれほどまでに世界的人気を得ているのは、中世イギリスを思わせる作り込まれた世界観と、そこに生きるリアルなキャラクターたちの魅力にほかならない。

特に、主役級キャストでもあっけなく死亡する本作にあって、虐げられ、蔑まれ、穢されながらも自身の信念や知恵、武力、野心で這い上がってきた女性キャラクターたちが最終章まで生き残り、それぞれの闘いに挑んでいる。いずれも、いままでの映画やドラマとは一線を画すタイプの女性たちばかり、新たな“強い女性像”が息づいている。

※以下、第七章までのネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

デナーリス、ドラゴンの母にして奴隷解放者の女王
“嵐の申し子(ストームボーン)、鉄の玉座の正当な継承者、アンダル人と“最初の人々”の女王、七王国の守護者、ドラゴンの母、大草海の女王(カリーシ)、“焼けずの女王”にして奴隷解放者…”。そんな多くの別名を持つデナーリスは、かつての王家ターガリエンの末裔だが、これらは何も持たぬ身からシリーズを通じて得てきたものがほとんど。


“狂王”と呼ばれた父は暗殺され、一族はほぼ壊滅、デナーリスは大嵐の日に生まれてまもなく故郷を追われ、兄とともに東の異国へと逃げ延びる。10代になると王座奪還をもくろむ兄により、騎馬民族ドスラクの族長カール・ドロゴと政略結婚。ドロゴに犯されながら、ドラゴンの卵を悔しげに見つめていた炎のような瞳が彼女の原点だ。

やがてはドロゴと愛し合うようになるも、彼と宿したばかりの子を失う。その火葬の炎の中から3頭のドラゴンとともに現れた彼女は、強き者にひれ伏すドスラクの民が崇拝するには十分すぎるほど強烈なインパクトを放った。

その後は各地で、女性や子どもたちを含む奴隷の解放に心を砕きながら、世界最強の軍隊“穢れなき軍団”(アンサリード)をも手にする。「#MeToo」や「Time’s UP」のムーブメントが立ち上がる以前から、デナーリスはアイコン的存在だったのだ。


さらにデナーリスは、鉄の玉座の奪還だけでなく、上の者がただ入れ替わり、下の者は押し潰される“歯車”=権力のシステムそのものを打ち壊したいという野望を持つようになる。そんな彼女こそが世界を変えられると、敵対するラニスター家のティリオンらも彼女の元に集う。

そしてついに、第七章で故郷の地に足を踏み入れるが、いまひとつ苦戦続きのデナーリス。何気にドラゴンの弱点も露見した。あの炎の感覚が鈍ってしまったのか、ただ不運に見舞われているのか。死者の軍団と闘うことをジョン・スノウに約束するも、北部へ来てからの彼女は精細を欠き、孤立感を深めているように思える。


最終章で、自身の根幹を揺るがす衝撃の事実を知ったデナーリスはどうするのか? いずれにせよ、迫りくる死者の軍団との決戦はドラゴンの炎にかかっている。

エミリア・クラーク
デナーリスを演じるエミリアは、本作に大抜擢されて一躍スター女優の仲間入りを果たした。『ターミネーター:新起動/ジェニシス』ではサラ・コナー役、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』ではキーラ役に起用され、孤高の“強い女性”のイメージを体現するも、その素顔は『世界一キライなあなたに』のヒロインが一番近そう。今年「タイム」誌の「最も影響力のある100人」に選ばれた。


サンサ、北部を治める“レディ・スターク”に
忠義に厚く、高潔といわれたエダード“ネッド”・スタークの長女。可憐で、刺繍も得意、いかにも“お嬢様”らしい名家の子女だったが、いま最も成長を遂げた女性として最終章を見守るファンから熱い視線が送られている。

かつては故郷の北部から出たくてたまらず、王の長男ジェフリーの冷淡で残虐(中身はヘタレ)な面を知らずに、外見だけで彼に恋して「いつか王妃になる」と夢見ていた少女。実際ジェフリーと婚約するも、謀反人の罪を着せられた父が斬首される場に立たされ、以後は人質同然の身に。太后サーセイにもいびられる日々を過ごす。

当時14歳にして、サーセイの弟ティリオンと政略結婚。新王ジョフリーが自身の婚儀の真っ最中に暗殺されると、策士“リトル・フィンガー”の計らいで逃亡、叔母のもとに匿われる。そしてその後は、ボルトン家のラムジーに嫁がされることに。

よりにもよってボルトン家は、サンサの兄や母の惨殺に関わった裏切り者で、“実家”の城ウインターフェルを奪った天敵。しかも、ラムジーはジョフリーを凌ぐサディストだ。夜な夜な暴行されていた彼女だが、ラムジーに別人のように“調教”されていた兄妹同然のシオン・グレイジョイの助けによって何とか逃げ出すことに成功する。

ジョフリー、サーセイ、ラムジーに“リトル・フィンガー”と、海外ドラマ史に名を残す悪役たちに翻弄され、蹂躙されながらも生き延びてきたサンサ。“美しいが賢くはない”とその価値を低く見積もられ、権力のある男性に利用され続けてきた彼女は、もはやかつての世間知らずのお嬢様ではない。


“リトル・フィンガー”からの「考えられる限りの全ての筋書きを心の中で試せ」という教えや、「狼の群れは生き残る」との父の言葉、それまでの経験から得た様々な教訓を胸に、ある意味“親殺し”も経た彼女の力強さは半端ない。民や兵士の食糧や防寒を心配する姿は、知性にあふれた頼もしいリーダーそのものだ。

だが、死者の軍団との決戦を前に、“異母兄”ジョン・スノウとともにデナーリスが大軍とドラゴンを率いて北部にやってきたから大変。サンサの祖父と伯父は、“狂王”と呼ばれたデナーリスの父によって“焼かれ”ている。デナーリスが対立の空気を和らげようとしても毅然と対峙するサンサには、最も鉄の玉座にふさわしいという声も少なくない。


ソフィー・ターナー
女優デビューとなった本作で大ブレイクしたソフィー。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などのモデルとしても引っ張りだこ。妹アリア役のメイジー・ウィリアムズとは大親友であり、「ジョナス・ブラザーズ」のジョー・ジョナスと婚約中。6月公開『X-MEN:ダーク・フェニックス』ではタイトルロールを演じており、今年はさらに人気を集めそうだ。


アリア、数奇な運命をたどり孤高の暗殺者に
姉サンサとは対照的に活発でやんちゃ、刺繍より剣や弓矢の稽古が好きなスターク家の次女アリア。ジョン・スノウからプレゼントされた剣に、“針”(ニードル)と名づけて大切にしてきたが、いまやアリアは孤高の暗殺者だ。

彼女もまた、サンサとは違った形で苦境を経験してきた。父ネッドの処刑を目撃しており、剣術の師匠も目の前で殺されている。髪を短く切り、アリーという男の子に扮して王都を抜け出すも、その一行も襲われ離散。

その途中ふとしたきっかけから、王の護衛だった“ハウンド”が懸賞金目的でアリアを捕らえたことで、ファンからも愛される2人の珍道中(?)が始まる。だが、再会直前に長兄と母が惨殺されてしまい、叔母を頼りにするも彼女も死去(サンサにも会えず…)。やがて、母に忠誠を誓ったという女戦士ブライエニーと出会うが、彼女とハウンドの一騎打ちを見守りつつ、瀕死のハウンドを置き去りに。その後、旅の中で知り合ったジャクェンを頼り、人知れず暗殺を遂行する“顔のない男たち”になるために修行を始める。

そんなアリアには、“殺しのリスト”がある。トップにいるのは、父を斬首刑にしたジョフリーとその母サーセイ、剣の師匠を殺したマーリン・トラント、処刑人イリーン・ペイン、ハウンドの兄“マウンテン”、そしてハウンドの名も。シーズンを重ねるたびにリストの名は増え、羊を数えるように唱えていないと眠れないほど、復讐心が彼女の生きる糧になっていく。

“顔のない男たち”の修行中も、その私情にとらわれて復讐を果たしたことで、一時は視力を失う事態に。それでも無事に修行を終えたアリアは、かつて兄と母を卑劣な手段で殺害した一家を女性以外、全員毒殺。第七章の幕開けを飾ったこの復讐は、爽快ですらあった。

名家のお嬢様がアサシンへと変貌していく過程を、ここまでつぶさに描いてきた作品は珍しいだろう。いまやその実力はブライエニーをも圧倒するほど。また、最終章ではさらに彼女が大人になったことを実感する出来事も起きる。

メイジー・ウィリアムズ
メイジーも、本作で女優デビュー。エル・ファニング主演『メアリーの総て』に出演したほか、何度も公開延期されてきた「X-MEN」シリーズのスピンオフ『The New Mutants』(原題)が8月2日に全米公開される予定。本作撮影終了後にピンク髪にしたことも話題となり、女優を休業するともいわれている。


ブライエニー、スターク家の姉妹に尽くす最強の女性
剣術に長け、確固とした道徳観と厚い忠義心で騎士道の名にふさわしい精神の持ち主ながら、女性であるために辛酸をなめてきたブライエニー。サンサやアリアの母キャトリンに命を救われて彼女に仕えるようになり、スターク軍の捕虜になっていたジェイミー・ラニスターを王都へ送り届ける命を受ける。

狂王を殺したことで“王殺し”(キングスレイヤー)と呼ばれ、高慢で口の減らないジェイミーと、生真面目でニコリともしないブライエニーもファンから愛されているコンビだ。彼女と共に過ごすことで次第に善き面を見せていくジェイミーだったが、あるとき、暴行されそうになったブライエニーを守ろうとして剣を持つ右手を失ってしまう…。

そうした旅路を経て、情愛とはまた違う、互いへの敬意によって結ばれた2人。王都で別れる際、亡きネッドの長剣を2本に分けると、ジェイミーはその1本を“誓約を果たす者”(オウスキーパー)と名付けてブライエーに託している。ブライエニーはその剣を持ち、今度は行方不明のスターク姉妹を探す旅へ。

一度は “リトル・フィンガー”と一緒にいるサンサ、“ハウンド”と一緒にいるアリアと出会うも、彼女のことを知らない2人には信じてもらえない。やがて、ラムジーのもとから命からがら逃げ出したサンサと再会すると、改めて彼女に忠誠を誓い、サンサもそれを受け入れる。さらに、アリアと再会して剣を交えた際には、さすがのブライエニーもその腕前に舌を巻いた。


最終章での決戦前夜、彼女に思いを寄せる(!?)野人のトアマンドが「伝統なんてクソだ」と言ったことをきっかけに、ある夢を叶えたブライエニー。そのとき、初めて見せた満面の笑みは今後も語り継がれる名シーンとなるだろう。

グウェンドリン・クリスティー
原作者ジョージ・R・R・マーティンに太鼓判を押されてブライエニー役に起用されたグウェンドリン。本作の好演により、『ハンガー・ゲームFINAL:レボリューション』ほか、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ではキャプテン・ファズマ役を務めた。190cmの長身を存分に生かした、彼女ならでは大胆なファッションセンスも注目の的。


サーセイ、王妃から太后、そして女王へ…本当の最後の敵!?
強大な富と権力を持つラニスター家の出身。双子の弟ジェイミーとは禁断の関係にあり、王の子として生まれた長男ジョフリー、長女ミアセラ、次男トメンはいずれもジェイミーとの子(全員ブロンドヘアが何よりの証拠)。野心的で利己的、目的のためなら手段を選ばないが、我が子にだけは慈悲深さを見せる。


子どもたちの秘密に気づいたネッド・スタークを失脚させるも、新王となったジョフリーの狂気を止められずにネッドは処刑。北部を敵に回したことで、末弟ティリオンの発案によりひとり娘ミアセラは南の地で婚約。やがてジョフリーが暗殺されると、サーセイはティリオンを疑い、裁判を強行する。

さらに処刑を目前にしたティリオンが実父も殺害して逃亡したことで、もともと険悪だった姉弟仲は完全に決裂。しかも、彼は海の向こうでドラゴンの母・デナーリスについた。追い打ちをかけるように、新たに王になった次男トメンを巡って嫁姑問題に悩まされる。狂信的な宗教集団を取り込み、王妃マージョリーを捕らえさせたが、サーセイ自身もかつての不倫を密告されて投獄。その罪を認め解放されるも、全裸で聖堂から王城まで歩かされる、という恥辱を受けることに…。

だが、それでおとなしく黙っているサーセイではない。宗教者たちはもちろん、トメンを手懐けた妃一家もろとも、“鬼火”(ワイルドファイヤー)と呼ばれる爆薬で聖堂ごと爆破! ラニスターの家訓「必ず借りを返す」の言葉どおり、自身を陥れたり、辱めたり、苦痛を与えた者には容赦のない制裁を与え、ことごとく排除するのが彼女流だ。

その一方で代償も大きく、妃を失ったトメンはショックのあまり自殺。連れ戻そうとしたミアセラも殺され、結果的に3人の子どもを全員亡くしてしまう。これはまさにサーセイが少女時代に魔女から聞いた「もっと若く美しい女王に大事なものをすべて奪われる」という預言のとおり。若く美しい女王とは、マージョリーかデナーリス、もしくはその成長ぶりを知るよしもないサンサか?


こうして自ら女王となったサーセイだったが、あまりの非道ぶりにジェイミーも彼女の元を去り、現在、主要キャラの中で王都にいるのは彼女だけ。いつ手のひらを返すか分からない海の男ユーロン・グレイジョイや、金で雇った傭兵団、禁断の研究で追放された“科学者もどき”のクァイバーン、その研究によって“よみがえった”マウンテンしか、彼女の傍にはいない。

思えば、彼女もまた女性であるがゆえに政略の“道具”にされてきた。双子とはいえ、男子のジェイミーとは育てられ方から違ったのだ。これまでの行いを思えば同情の余地はまるでないが、悲しみを纏った憎みきれない女王であることは確かだ。

レナ・へディ
ドラマ版「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」でサラ・コナー役を演じたことがあり、デナーリス役のエミリアとやはり縁があるレナ。映画『300』2部作や『高慢と偏見とゾンビ』などに出演しており、最新作はドウェイン・ジョンソンやニック・フロスト共演の『Fighting With My Family』(原題)。


いまからでも、決して遅くはないと思う。文字どおり世界中を夢中にさせている壮大なシリーズの終焉と、たくましい女性たちの生き様をぜひ見届けてみてほしい。

「ゲーム・オブ・スローンズ」最新シーズン 最終章はBS10スターチャンネルにて世界同時放送中。

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