上野樹里、“子育てシェアハウス”に感じる新しさと懐かしさ「いろんな境界線を越えている」

2024年5月25日(土)18時0分 マイナビニュース

●「見ていて気持ちがいいなと思いました」
女優の上野樹里が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、26日(通常と異なり13:40〜 ※関東ローカル)に放送される『子育てシェアハウス始めます〜うちの子と暮らしませんか〜』。赤の他人同士が一つ屋根の下で暮らす「子育てシェアハウス」の人々を追った作品だ。
この生活を見て、「新しさと懐かしさが同居しているような感じでした」と捉えた上野。子育てという目的に限らず、SNS時代だからこそのコミュニティに可能性を感じたという——。
○母一人での子育てに不安を感じ…「1歳児と暮らしませんか?」
2023年9月、SNSでの「1歳児と暮らしませんか?」という呼びかけに応じ、一つ屋根の下に集まった“赤の他人”同士の不思議な共同生活が始まった。発起人は、夫と一人息子と暮らす茉里依(まりい)さん(27)。夫とはマッチングアプリで知り合い、夫婦別姓を選択するため2年前に事実婚をし、ほどなく息子を出産した。
しかし、夫が育休を終えて職場復帰することになった時、母一人での子育てに不安を感じる。そこで呼びかけたのが、他人と子育てをシェアする「子育てシェアハウス」だった。
ゲストハウスも兼ねるこの家には、SNSを通じて、抱える背景も国籍もバラバラな人間が集まってくる。茉里依さんの思いに賛同した知人の小説家、休職中の教師、世界を放浪中のベネズエラ人家族、ウクライナから来た母子……自分らしく生きるために選んだ「新たな家族のカタチ」を見つめていく。
○やっぱり人にしかできないものがある
このシェアハウスに上野が感じたのは、「時代の進化」と「懐かしさ」という一見相反するものだった。
「コロナでソーシャルディスタンスと言われるようになった余韻で、今も建物の入口に消毒液が置いてあったりしますし、私がこの前出演した『隣人X』という映画も異質な存在に不安を抱くという作品でしたが、そういうことがあったにもかかわらず、SNSをうまく利用して、こんなに人々が速い速度で出会って一緒に暮らすというのに、新しさを感じました。
 それとともに、昭和の風景じゃないですが、おむつを取り替えるのを手伝ったり、作ってくれたご飯を頂いたり、協力し合ってともに生きているのが、温かいなと思いました。家の中って落ち着く場所でもあるけど、自分たちの世界に支配しやすい空間でもあるじゃないですか。でも、いろんな人が一緒に住んでミックスされると、夫婦がちょっと不穏な空気になったときに上の階から笑い声が聞こえてきたら、それが心の救いにもなるし、逆に胸に刺さってつらくなるかもしれない。そんなドラマが一つ屋根の下で毎日あるのを見ると、これだけAIとかいろんな技術が発達しても、やっぱり人にしかできないものがあると感じられたんです。特に子育てなんてそうですよね。だから、新しさと懐かしさが同居しているような感じでした」
コミュニティに懐かしさを覚えながら、海外の人たちまで受け入れるところに今の時代も感じ、「言葉の壁もあるし、メキシカンな料理を作って“お米ないの!?”ってなるかもしれないけど(笑)、このシェアハウスは相手がもてなしてくれる気持ちを受け取り合って動いているので、見ていて気持ちがいいなと思いました」という。
最近の社会の傾向と逆行するようなスタイルも、魅力的に感じた様子。
「泥棒に入られないように、セキュリティや防犯カメラを付けて、何だか気づいたら牢屋の中に住んでいるみたいな世界もあって、それは本当に幸せなのか、というふうに感じたりします。SNSでも一番いい部分を切り取ってみんなに見せているだけでは、どんどん苦しくなる人もいるかもしれない。でも、このシェアハウスはいろんなところから来た人たちが混ざり合って、相手に隠さない人間臭さがありますよね。だから、いろんな境界線を越えている感じがして、重い空気もどこまでも軽くしていけるんだろうなと思いました!」
このシェアハウスが成立する背景には、中心にいる茉里依さんと夫のバランスの良さもあると感じた。
「茉里依さんは自分の弱さやダメなところと向き合って、悔し涙を流しながらも旦那さんに言われたことをちゃんと受け止めていました。でも、市民ミュージカルに参加したり、基本的にはめちゃめちゃやりたいことをやる人で、陽気な子どもみたいな感じ(笑)。それが、理詰めで考える旦那さんにはパートナーとして魅力的な部分に映っているように見えて、“すごくバランスいいじゃん!”と思いました。細かい問題も小出しにして解決しているし、そんな2人がシェアハウスの真ん中にいるから、成り立っているんだなと思いました」
●いろんな枠を取っ払って見られる子が育つ
夫婦の子育てにおいてメリットがあるシェアハウスだが、この環境で育てられる子どもにとってもプラスの面があると受け止めた。
「社会性は身についていくんじゃないかなと思います。人への恐怖心がなくなるし、いろんな文化に接してるから、“うちの家はこうだから”みたいな狭い許容範囲の器もガーッと広がって、いろんな枠を取っ払って見られる子になりそうですよね」
また今後、子どもが成長していくにつれ、「周りから受験勉強でいい学校を目指さなきゃいけないとか、夢を持ちなさいとか言われることがあるかもしれない。でも、こうやって大人たちがユーモアで柔軟な発想で力強く生きている姿が見られるのはいいですよね」と想像した。
○近所付き合いの実践から感じるコミュニティの良さ
都会ではどんどん少なくなっている“近所付き合い”。上野は、最近になって自然と交流するようになったという。
「マンションから一軒家に引っ越した時に、ゴミ出しのルールを知らなくて、ネットをかけなかったことでカラスにやられてバラバラになっていたのを、近所の方がきれいにしてくれていたんです。それを教えてもらってから、隣の家の奥さんが東北出身の方で、私が『監察医 朝顔』(※)をやっていていたのもあって仲良くなって、ご体調を崩されていた時に私がお見舞いに行ったり、ご家族と一緒にバーベキューしたり、いつも気づいたら早朝から掃き掃除してくれる方が、うちの夫のお父さん(和田誠氏)のお母さんと同じ女学院に通っていたとかつながりがあったりして、私も野菜を持って行ったり、たまにポストにプレゼントが入っていたり、ゴミ出しがきっかけで今も仲良くさせてもらってます!(笑)」
こうしたコミュニティの良さを実感しているからこそ、子育てシェアハウスに共感する部分が大いにあったようだ。
(※)…『監察医 朝顔』で上野は東日本大震災で母親を失った役を演じた
○子育て以外でも自分の世界が広がる可能性
多様性ある暮らしを実践している「子育てシェアハウス」。上野は「例えばLGBTQの人とか、日本だとまだいろんな悩みを持っている人が多いと思うんですけど、このシェアハウスという形態はそういうことも超えていくんだろうなと思いました」と可能性を感じながら、「昔演じたドラマ『ラスト・フレンズ』もシェアハウスだったなあと」と思い出したよう。
そして、「この放送を見て、子育て以外のことでも検索してみたら、自分の世界が広がるコミュニティが、もしかしたら近くに転がってるかもしれないですよね。何か自分がしんどいなと思ったことが、身の回りの友達でも、知らない人でも、一致する人たちがいれば、こうやってSNSで集まって“家族”になり得るんだと知って、私にとってもすごくいい刺激になりました」といい、「放送の5月26日は結婚記念日なんです。素敵なお仕事を頂けて、ありがとうございます」と感謝していた。
●上野樹里1986年5月25日生まれ、兵庫県出身。主な出演作にドラマ『のだめカンタービレ』『江〜姫たちの戦国〜』『監察医 朝顔』、映画『スウィングガールズ』『のだめカンタービレ最終楽章 前・後編』など。明るいキャラクターからシリアスな役まで幅広く演じる女優として活躍している。22年度には、ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』『ヒヤマケンタロウの妊娠』などに出演。23年度作品には、ドラマ『私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-』、ミュージカル『のだめカンタービレ』、映画『隣人X-疑惑の彼女-』などがある。

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