【ネタバレあり】「ミズ・マーベル」第2話:移民二世としてアメリカで生きることのリアル

2022年6月17日(金)10時30分 シネマカフェ

「ミズ・マーベル」 (c) 2022 Marvel

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第1話からポップで瑞々しい、これまでとはまた一味違う作風で話題を集めており好調な滑り出しの「ミズ・マーベル」。主人公カマラ・カーンは、筋金入りのキャプテン・マーベルオタクで、アベンジャーズに憧れる夢見る女子高生。運動も苦手、勉強もそんなに得意でない彼女が、パキスタンにいるおばあちゃんから送られてきたブレスレットを腕にはめたらスーパーパワーを手に入れてしまい…!? 念願のヒーローへの一歩を無事に踏み出せるのか。

50分の尺の中で、実に多くの要素を効果的に盛り込んだ第2話。イギリス英語を喋る、カマラと同じパキスタン系イケメン転校生への一目ぼれに始まり、移民二世としての苦悩、男尊女卑とそこからの脱却、映画『シャザム!』のようなコミカルなスーパーパワーのトレーニングなどなど。要素としてはてんこ盛りながら、ストーリーとしてはとてもスムーズ且つ押さえるところは絶対押さえるという気概も感じた。さらっと『エターナルズ』に登場したキンゴに触れるのもマーベルファンとしては嬉しい(キンゴがちょっとベタな俳優として語られるのもジワりとくる)。

特に印象的だったのは、ムスリムカルチャーについて。礼拝では男女別になっており、女性はかなり後ろの方に座らされ設備もボロボロ。変わるべきだと、男性社会のムスリムコミュニティの中で理事長に堂々と立候補するナキアがカッコいい。更によかったのは彼女が美人で勇敢な主人公の親友としてだけ描かれるのではなく、彼女自身が移民二世としてカマラと同じように複雑な悩みを抱えていること。ヒジャブは、女性の抑圧としても捉えられる中で、ナキアはアイデンティティとしてヒジャブ纏っていると語るのも印象的。移民二世は、親が育ってきた環境と時代も国も異なる環境で育っているからこそ、自分のルーツや故郷、文化について、悩み葛藤する。

アメリカの映画・ドラマでは、Netflixオリジナルドラマなどを中心に移民二世について描かれてきたが、マーベルでここまで詳細に移民二世について映像化するのは珍しいのではないだろうか。今年のMCUドラマは新たなキャラクターを描くことで、新しいファンの獲得を狙っているだろうが、「ミズ・マーベル」は特にコメディタッチで定番の青春ものをベースにしていることもあり見やすいからこそ、手を抜かずにしっかりとムスリムカルチャーに向きあう意義は大いにある。

そういった、今までにない一歩踏み込んだ社会背景を入れつつ、青春ものならではの、まだまだ未熟で失敗してしまうほろ苦さも兼ね備えた後半も非常によかった。スーパーパワーを使って人助けをしたのも束の間、最後の詰めが甘くケガをさせてしまったシーンは、スパイダーマンを思い出したりも。ラストは、好きになった相手には実は裏があるという、これまたにくいクリフハンガーなので、まんまと来週が待ちきれなくなってしまっている。全6話の予定なので、来週は早くも折り返し。今後の展開が楽しみだ。

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