中川大志、世代きっての“芸達者”!声の演技にも熱視線

2020年6月22日(月)12時0分 シネマカフェ

中川大志

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子役から活躍し、シリアスからコミカルな作風まで幅広くこなす俳優・中川大志。それも社会現象となった高視聴率ドラマから大河ドラマ、朝ドラ、青春映画まで網羅、コントにも出演する。

現在活躍する若手俳優の中でも、その演技力は抜きん出ているが、決して“器用貧乏”ではない。中川さんが恩師と慕う山寺宏一は「中学生のころから天才」「でも努力の人でもある」と評している。どんな役柄にもチャレンジしながら“中川大志の○○”にしてしまう、その凄さ。あえて“芸達者”と呼びたい俳優・中川大志のいままでと、これからに迫った。


当時13歳「家政婦のミタ」で注目を集める!「夜行観覧車」では杉咲花と共演
1998年東京生まれ。先日6月14日に22歳になったばかり、その“若さ”にはいつも驚かされる。小学生のときにスカウトされて2009年に俳優デビュー、芸歴は10年を超える。映画『半次郎』でスクリーンデビューし、2011年、連続テレビ小説「おひさま」を経て、松嶋菜々子主演「家政婦のミタ」で父が長谷川博己、叔母が相武紗季、姉が忽那汐里、妹が本田望結という豪華な一家の長男・阿須田翔を演じて一躍注目を集める。

頼まれれば“どんなことでもしてしまう”家政婦のミタさん(松嶋さん)との関わりによって、実質、家庭崩壊していた阿須田家が成長していく本作は、遊川和彦脚本。東日本大震災で疲弊していた人々の心に衝撃的な形で愛を投げかけ、最高視聴率40%を記録する社会現象に(関東地区/ビデオリサーチ調べ)。中川さんも当時13歳にして大人びた演技で視聴者を魅了した。

翌2012年からは「13歳のハローワーク」 「GTO」など出演作が途切れることなく、山寺さんのMCでお馴染みの「おはスタ」の火曜レギュラーにも起用され(2012年4月 〜2014年3月)、多忙を極める。そんな中、同様に頭角を表しつつあった杉咲花と「夜行観覧車」(2013)で共演。鈴木京香、石田ゆり子、田中哲司、夏木マリら熟練の先輩たちの中で、小6から中3まで、杉咲さんと対になるような同い年の少年・高橋慎司を熱演して新たな代表作を得る。“似ている”アイドル・高木俊介との一人二役でもあった。


等身大!さまざまな高校生役で活躍
その後も学業と両立させながら役者を続けてきた中川さん。2014年には豪華キャストによる「水球ヤンキース」、2015年には「監獄学園−プリズンスクール−」「南くんの恋人〜my little lover」の2作で主演、ホラー『青鬼 ver.2.0』で映画初主演も果たす。通学シリーズの『通学途中』(15)や『四月は君の嘘』(16)ではその後も共演する俳優たちと青春のキラキラを体現し、『きょうのキラ君』(17)でも人気者のモテ男子・吉良ゆいじ役で主演。『映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』ではイタリアの少年・アンドレアの声も務めた。


一方、「重版出来!」(16)では新人漫画家に扮し、「江〜姫たちの戦国〜」「平清盛」以来、3度目の大河ドラマ「真田丸」(16)では豊臣秀頼という後半のキーパーソンを神々しいほどの凜々しさと繊細さで演じてみせた。

そして高校卒業後は進学せず、役者1本の道を選ぶ。快活な17歳とニートの27歳を演じ分けた『ReLIFE リライフ』(17)、本気の恋に目覚める男子高校生を演じた『虹色デイズ』(18)、さらにドラマ「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」の王子キャラ・馳天馬で人気を博しながら、「賭ケグルイ」では野心丸出しの策士、生徒会書記・豆生田楓役を怪演。『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』とまるで正反対の役柄で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞にも選ばれるなど、躍進を遂げる。


2019年は、連続テレビ小説「なつぞら」を含めてドラマに出ずっぱりとなった。1月期は「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」でパッと見スマートなエリートでありながら、ちょっと抜けている新米弁護士というハイブリッドタイプを見せつけ、「賭ケグルイ」Season2では豆生田を続投、10月期は「G線上のあなたと私」でやはり恋愛には不器用な理人くんと、驚異の演じ分け。その人気はお茶の間に広く浸透した。

また、この3月には、BS-TBSドラマ「左手一本のシュート」で脳出血・右半身まひから復活を遂げた実在の人物に扮したばかり。「家政婦のミタ」でも「夜行観覧車」でも“バスケ部員”だったが、今回は左手一本でのシュートに挑む“あきらめない”バスケ少年を熱演した。


『坂道のアポロン』は自信を持って言える「代表作」
19歳で演じた三木孝浩監督の青春音楽映画『坂道のアポロン』は、以前からのファンには新たなときめきを与え、映画ファンにも“キラキラしているだけのイケメン若手俳優”ではないことを証明した作品となった。


10か月という長い準備期間で全くの初心者だったドラムを猛特訓し、ピアノを演奏する主演の知念侑李とリハーサルを何度も繰り返し、代役を立てずに自らの演奏でジャズセッションのシーンを撮り切った。そのドラムの腕前は「細杉くん」のCMでも披露したことがある。

演じたのはガキ大将とも、番長とも違う、差別の中で育った繊細なハートと人一倍の愛情の持ち主である川渕千太郎。知念さん演じる西見薫との目配せしながらのセッションは、その奏で合う音に愛情の籠もったラブシーンともいえるものだった。

彼の演技には、「心から音楽を楽しんでいる笑顔は、私が漫画で描きたかった千太郎の姿そのまま。涙が溢れました。最高の千太郎をありがとうございます」と原作者・小玉ユキも感激するほど。


中川さん自身も「その瞬間にしか生まれない奇跡がいっぱい映っている作品」と語り、「役者をやってきた中で、映画の中に自分の分身というか…千太郎を置いてこられたので、10年経っても、20年経っても絶対に忘れない作品だし、自分にとっては宝物のようなキャラクターです。本当に、自分にとっての代表作だと思います」とシネマカフェのインタビューで語っている。




「LIFE!」と「細杉くん」
その端正な顔立ちと大人びた色気を封印した、真ん中分けロン毛&メガネのauのCMキャラクター・細杉卓(こますぎ・すぐる)のインパクトは、当時放送中だった「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」と「同一人物とは思えない」と話題となった。もはや彼が次に何をやってくれるのか、楽しみに待っている自分がいる。

ちなみにカラオケで高得点を目指す細杉くん、歌も何気に上手い!


数々のモテキャラ(およびヘタレキャラ)を演じながらも、そのコメディセンスはNHK「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」で内村光良をはじめとする猛者たちに“揉まれて”きたことが大きいだろう。

2017年から準レギュラーとして不定期に出演しており、昨年は“なっちゃん”広瀬すず、山田裕貴、川島明が出演した「なつぞら」コラボも実現。コント初挑戦の広瀬さんとお馴染みのメンバーとの橋渡し役となり、同作でナレーターを務めていた内村さんとは画面上で奇跡の(?)共演となった。

また、ステイホーム期間中には、「ノンフィクションです(笑)」という“事務所NG”のリモートコントも話題に。


いずれも、中川さんを語るには外せないコンテンツ。彼の引き出しの多さや間のとり方の巧さは、こうした果敢な挑戦から生まれてきたものだろう。


“3バカトリオ”の豪華さ「水球ヤンキース」(2014)


「Hey!Say!JUMP」中島裕翔がドラマ単独初主演を務めた今作は、同・高木雄也に山崎賢人、大原櫻子、新川優愛、鈴木伸之、間宮祥太朗、矢本悠馬など、奇跡のような超豪華なキャストが集結。さながら「ウォーターボーイズ」meets「今日から俺は!!」のような青春“水球”ドラマだ。

中川さんは、かつて将来を期待されていた水球経験者・龍二(山崎さん)の幼なじみで橋本環奈ファンの通称“3バカトリオ”のひとり・志村公平を、朋生役の千葉雄大、慎介役の吉沢亮とともに好演。なかでも公平は一人だけ泳げないカナヅチだったが、彼の奮闘が水球をあきらめていた龍二の心を大きく揺さぶることにもなった。千葉さんからの容赦のないツッコミは、多分ガチで入っている。



伊藤沙莉と共演『MY NICKNAME is BUTATCHI』(2016)

8つの“片想い”を描いたオムニバス映画『全員、片想い』の1編では、「いいね!光源氏くん」も記憶に新しい伊藤沙莉と共演。演じたのは、幼い頃いつもいじめから庇ってくれ、カサブタを作っていた“ブタっち“こと杏奈から思いを寄せられる佐竹役。しかし、杏奈の思いは知らず、彼女の親友と付き合うことに。相手の言葉尻をつかまえては始まる、2人の丁々発止の掛け合いは飯塚健作品らしく軽妙ながら、ほんのりと切なさが残る。飯塚監督とは『虹色デイズ』でもタッグを組んだ。


エンドロールも必聴『ReLIFE リライフ』(2017)

夜宵草の人気漫画が原作。大学院を卒業して就職したものの3か月で自主退職、以来ニートの海崎新太が1年間だけ17歳となって高校生活を送り直す。見た目は爽やかな高校生だが、中身は27歳であることから、人生の“やや先輩”らしくクラスメイトたちの世話を焼くうちに自分自身を見つめ直すことに。“お仕事モノ”として見ても沁みる。

リライフ研究所の所員で、一緒に高校生になる監視役として千葉さんも登場。エンディングテーマ「ケツメイシ」の名曲「さくら」のカバーではラップにも初挑戦。やっぱり“何でもこなせる”と唸ってしまう!


天馬くんに愛を!「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」(2018)

ヘタレ感や変顔は一切なし。主人公・江戸川音の婚約者にしてIT企業の御曹司、紳士的で冷静沈着、文武両道、圧倒的なカリスマ性を放つ生徒会長であるカンペキ男子・馳天馬を演じたことで、ファン層をグッと広げた。年齢以上の経験値と背負ってきた辛苦を感じさせる天馬役は見事にハマった。しかし、悲しいかな、杉咲さん演じる“幼なじみ”音が惹かれていくのは神楽木晴(King&Prince平野紫耀)…。実は孤独だった天馬が音に安らぎを求めたのもよく分かるだけに、天馬を推す声も続出した。


『覚悟はいいかそこの女子。』も同一人物!?(2018)

『虹色デイズ』ではモテ男子を返上し、本気の恋を知っていく役柄を演じていた中川さん。だが、今作では自分はモテることが当たり前、本気になればいつだってすぐに恋人ができると考えている、恋愛経験ゼロのいわゆる残念なイケメンに。“ヘタレ男子マンガの先駆け”といわれた少女漫画を原作に、ドラマ版では伊藤健太郎や甲斐翔真、若林時英ら同級生たちと学校中の恋愛模様に巻き込まれたが、映画では学年一の美少女・三輪美苑(唐田えりか)にひと目ぼれするも、まるで相手にされず…という恋愛ベタぶり。こちらも、天馬を演じた人と同一人物とは思えない!?


応援したくなる“イッキュウさん”「なつぞら」(2019)
記念すべき100作目となる朝ドラ「なつぞら」は日本のアニメーション黎明期が舞台に。演じたのは、東京大学の哲学科出身、論理的思考でアニメを企画する演出家・坂場一久。やがて、なつと結婚し、アニメ界で活躍する妻を支える“イッキュウさん”として親しまれた。当初はカチンコも上手く鳴らせないドジッ子設定で、不器用で頑固、周りが見えなくなる猪突猛進型インテリもまた得意とするキャラクターだろう。

なつと坂場、夕見子(福地桃子)と雪次郎(山田裕貴)の合同披露宴も話題となったが、「おはスタ」時代からのファンには感涙ものの共演も実現した。



ようやく公開『ソニック・ザ・ムービー』(6月26日公開)

セガグループのゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の実写映画化で、ソニック役声優に大抜擢。長年ソニックを務めた金丸淳一ではないことで物議を醸したが、なかなかどうして、中川さん演じるソニックはこのハチャメチャなハリウッド的世界観にハマっている。なにより、宿敵である天才科学者ドクター・ロボトニックの声を演じるのは山寺さんだ! 「やはり大志は”大したもんだ”と思う(笑)。何にでもチャレンジして見事にクリアする才能の凄さ。でも彼は、努力の人でもあるんですよ」この山寺さんのコメントがすべてを物語る。


永野芽郁と恋人同士に!新・日曜ドラマ「親バカ青春白書」(8月〜)
「今日から俺は‼」チームと福田雄一監督が再び組んだ今作は、娘を溺愛するあまり同じ大学の同級生になってしまう父親をムロツヨシが演じることで注目を集めている。その娘役は、「真田丸」と「LIFE!」の長編コメディ「忍べ!右左ヱ門」でも許婚を演じていた永野芽郁とくれば期待値も上昇。日本テレビ連続ドラマのレギュラー出演は、2014年「地獄先生ぬ〜べ〜」以来6年ぶりになるという。秋田県から上京した真面目な青年で、平凡な人生を変えたいと願っている役柄というが、気心知れたメンバーとの共演でどんな表情を見せてくれるだろうか。


石井杏奈とW主演『砕け散るところを見せてあげる』(近日公開)

石井杏奈と『四月は君の嘘』以来およそ4年ぶりの共演となるW主演作。「中学2年生で初めて共演して以来、3回目の共演で、同い年の石井さんとは、安心感がありました。玻璃という難役に果敢に挑んでいる姿が頼もしかった」と信頼を込めて語っており、壮絶ないじめに遭う玻璃を救う“ヒーロー”、濱田清澄を演じる。

「僕も子供の頃ヒーローになりたかった。自分を犠牲にしてでも守りたい誰かの存在が、どんな人の事もヒーローにするのかもしれない。魂を込めて演じました」と語る本作は、海外からも注目される鬼才SABU監督のもとで、どう“化ける”のかが気になる。井之脇海や清原果耶、松井愛莉、そして北村匠海と共演も期待の面々。



さらに、北村さんと『坂道のアポロン』の三木監督、さらに映画監督の中島良が脚本をリレー形式でつないだ企画【リレー空想映画】の第1弾「嘘とマーガレット」のリリースも発表された。


期せずしてステイホームという充電期間を得、クリエイティブな作業にも目覚めた中川さん。これからもますます目が離せない存在となりそうだ。

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