<恋愛映画初ヒロイン>古川琴音が“いちばんドキドキ”したシーン「指と指が触れてしまってハッとするところなんかは…」

2024年6月30日(日)18時0分 文春オンライン

 音楽大学を舞台に、切なくもミステリアスなラブストーリーが展開する『言えない秘密』で、主人公が恋に落ちる雪乃を演じる古川琴音。意外にも、恋愛映画のヒロインは初めてだという。


◆◆◆


ラブストーリーならではの距離の近さ


──雪乃役をオファーされたとき、率直にどう感じました?


古川琴音(以下、古川) じつは台本より先に、原案となった台湾版の映画『言えない秘密』(07年)を拝見したんです。全篇を通して青春のみずみずしさが印象的だった一方で、ヒロインの主人公への想いの強さに、少しゾワッとするところがありました。


 そんなラブストーリーは初めてだったので、台本をいただいたときも、自分がこのヒロインを演じるのであれば映画を観てくださる方にも、私と同じ感覚を味わってもらいたいと思いながら読みました。



©深野未季/文藝春秋


──実際、古川さんが演じた雪乃に何度もゾワッとさせられました(笑)。にもかかわらず、京本大我さん演じる湊人と少しずつ心を通わせていく過程はまさに青春そのもの。ラブストーリーが初めてということは、特定の共演者と長い期間向き合ってお芝居するのも初めてだったのでは?


古川 ラブストーリーならではだと感じたのは、相手との距離の近さですね。


 つねにお互いの体温を感じるくらいの距離で芝居して、目を見て話していたので、慣れるまでは気まずかったり照れがあったりしましたが、京本くんも距離の近さが大事だと思っていたようで、最初に「お互いの呼び名を決めよう」と言ってくれたんです。


 それで私は京本くんを「きょも」、京本くんは私を「こっちゃん」と呼ぶようになりました。一緒にピアノのレッスンを受けたりと、いろいろな経験を積み重ねながら距離を縮めていきました。


試写でいちばんドキドキしたシーン


──雪乃と湊人の連弾のシーンをはじめ、〈音楽〉がきわめて重要な意味をもつ映画でした。やはりピアノはかなり練習されたのですね。


古川 クランクインの1カ月くらい前からレッスンを始めました。


 さすがにすべてのシーンを自分で弾いたわけではありませんが、自分の身体が映る演奏シーンは“ちゃんと弾いてる”ように感じてもらう必要がありましたし、ピアノは雪乃と湊人にとってのコミュニケーションツールでもあります。


 とくに連弾のシーンでは演奏そのものよりも、隣にいる湊人への気持ちを表現したり、どうコミュニケートするかのほうが重要だと感じたので、その演技に集中するためにもピアノを猛特訓しました。


──たしかに、この映画ではキスシーンのようないわゆるラブシーンよりも、連弾シーンにお互いへの感情が強く表れていると感じました。


古川 私も試写で完成した映画を観たときに、雪乃と湊人が初めて連弾する場面──しかも鍵盤の上で動くふたりの手に寄ったカットにいちばんドキドキしたんです。


 指と指が触れてしまってハッとするところなんかは心臓が早鐘を打つ音が聞こえてきそうで…。ふたりの表情は見えないけど、だからこそ想像を掻き立てられるというか。


いまもひそかにピアノ練習を続けている楽曲


──猛特訓の成果ですね。


古川 はい、ピアノについては相当がんばって練習したと胸を張って言えます。


 楽曲もすばらしいものばかりなので、恋の行方と同じくらい注目してもらえるとうれしいですね。なかでも作曲家の富貴晴美さんが書き下ろしてくださった、物語の“秘密”の鍵を握る「Secret」という曲が好きで、いまもひそかに自宅で練習をつづけているんです。



ふるかわ ことね 2018年デビュー。第24回ニッポン・コネクション日本映画祭 ニッポン・ライジングスター賞受賞。NHK特集ドラマ「アイドル」(22年)、NHK大河ドラマ「どうする家康」(23年)などの話題作に出演する。ベルリン国際映画祭で銀熊賞に輝いた『偶然と想像』(21年)では三編のうち一編で主演を務めた。待機作に映画『Cloud クラウド』(9月公開)、『シサム』(今秋公開)がある。



番場直美=スタイリング
伏屋陽子(ESPER)=ヘアメイク


『言えない秘密』
INTRODUCTION
 本作が初の映画単独主演となるSixTONESの京本大我が、トラウマを抱えた音大生・湊人を演じる。湊人が恋に落ちる雪乃に、映画『偶然と想像』などで注目されている古川琴音。本作で初めて恋愛映画のヒロインを務めた。
 2人を繋ぐ重要な楽曲となる「Secret」は、史上最年少で「第36回日本アカデミー賞」を受賞した富貴晴美が書き下ろした。誰も予測できないミステリアスな展開は、その「秘密」が明らかになる時これまで見えていた世界を大きく変える。


STORY
 留学先での経験からトラウマを抱え、音楽大学に復学しながらもピアノと距離をおこうとしていた湊人。取り壊しが決まった旧講義棟から聴こえてきたピアノの音色に引き寄せられるように雪乃と出会う。
 ミステリアスな雰囲気を持つ彼女に湊人は惹かれ、次第に2人は心を通わせていく。授業をサボって海を見に行き、連弾し、クリスマスを共に過ごし…。お互いにかけがえのない時間を過ごしていたはずだったが、突然、湊人の前から雪乃は姿を消してしまう。


STAFF & CAST
監督:河合勇人/出演:京本大我、古川琴音、横田真悠、三浦獠太、坂口涼太郎、皆川猿時西田尚美尾美としのり/2024年/日本/114分/配給:ギャガ/6月28日公開



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(岸良 ゆか/週刊文春CINEMA 2024夏号)

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