「全数把握」廃止の声も…新型コロナウイルス「2類相当」での運用見直しへ

8月10日(水)20時0分 TOKYO FM+

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの朝の情報番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜 06:00〜09:00)。8月3日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「新型コロナウイルス『2類相当』での運用見直しへ」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。

※写真はイメージです


岸田文雄首相は7月31日(日)、新型コロナウイルスの感染症法上の「2類相当」での運用を、現在感染者が急増している「第7波」の収束後に見直す考えを明らかにしました。
◆現行の「2類相当」…見直しの背景
ユージ:「2類相当」での運用を見直す方向とのことですが、これにはどういった背景があるのでしょうか?
塚越:皆さんも報道で見たことがあると思いますが、「感染症法」では、ウイルスの危険度に応じて「1〜5類」に分類されています。
新型コロナウイルスは、(令和3年2月13日施行の感染症法の改正により)この「1〜5類」とは別の「新型インフルエンザ等感染症」に指定されています。
新型コロナウイルスの扱いは(結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの)「2類」に似ているのですが、基本的には「2類相当」という扱いで、「1〜5類」とはまた別の扱いです。
この「2類相当」は、結核やSARSなど本来の「2類」と同じで、医療費の公費負担や入院勧告ができます。一方、「2類」と異なる点は、緊急事態宣言などの外出自粛要請ができるなど、ある程度、国民の生活を制限できるのが「2類“相当”」の特徴です。
現在の「2類相当」は、全ての感染者を確認する「全数把握」が必要になっていて、医療機関は患者数などをすぐに保健所に報告します。診察も、基本的に発熱外来に限られているので、医療機関は業務がひっ迫し、保健所も濃厚接触者などの特定や、入院調整などで業務がひっ迫します。加えて、社会でも濃厚接触者の待機などで、経済活動に支障が出ます。
一方で、現在はワクチン接種をしていれば、重症化率が非常に低くなるという理由や、経済活動面での懸念もあり、医療関係者だけでなく、経済界からも現行の「2類相当」のレベルを、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」レベルまで引き下げるべきでは? という声が上がっています。
現在、発熱外来は約4万箇所あるのですが、「5類」になると、病院や診療所を併せた約11万箇所の一般の医療機関で診察できるようになり、現在の倍以上になります。また、保健所も全数把握が不要になると考えられています。
◆今後、どのような形での見直しを検討しているのか?
塚越:岸田首相は、今すぐの見直しは考えておらず、現在の「第7波」収束後の見直しを考えているということです。これに関しては、「変えられるところは今すぐ変えるべき」という声も上がっています。ただ、一気に変更してしまうと、医療機関だけではなく、私たち国民側にも混乱が生じる可能性もあるかなと思います。
個人的には、こういうことは第7波前にやっておいてよ、という思いもあります。また、見直しといっても、単純に法律を改正して「5類」に変更するだけではなく、今後も変異株やいろんなことが発生すると思いますので、そういった対応も検討しているのではと。例えば、厚労省の通知を変更したり、内閣が制定する政令などを利用する、つまり「法の運用」を変えることで、柔軟に対応できるようになると考えられています。
「5類」にすると医療費は実費になりますが、先ほど言ったように運用を変えることで、現在の公費負担は継続し、また、入院勧告などの調整も継続すると考えられています。つまり、「5類」にするのではなく、現行の「2類“相当”」のように「5類“相当”」にするということですね。こうやって必要に応じて対応を変えていくのではと考えられています。
実際、政府や自治体は今年1月の6波以降、少しずつ対応を変化させています。例えば、神奈川県は感染者の全数把握にこだわらずに、政府も濃厚接触者を特定する「積極的疫学調査」を高齢者施設などに限定するように求めています。東京でも、保育所での濃厚接触者の特定を止めて、子どもを保育所に預ける保護者が働けなくなることを防いだりもしています。
ユージ:この「2類相当」の見直しについて、塚越さんはどうお考えですか?
塚越:見直すことのメリットも(デメリットもそれぞれ)あると思います。例えば、「5類」になると、濃厚接触の判断を個人でおこなうようになり、特に高齢者をはじめとした基礎疾患のある人にとっては、心配が増えることになると思います。なので、引き下げるのであれば、相談窓口を増やしたり、あとは陽性かどうかをすぐ知るために、今までも言われてきましたが、これまで以上にPCR検査を簡単かつ大量に実施できるようにすること。これらの用意がないと、「5類」に引き下げたところで問題が複雑になってしまうのではないか、と思います。
あと、「5類」といいましたが(主な措置などは)「5類“相当”」ということで、いろんな運用の仕方などがあると思うので、そこは今後、詰めていただきたいなと思います。
ただ、「5類」への引き下げというのは、第7波が来る前からいろいろ議論されていたことですし、「相談窓口を増やしましょう」とか「PCR検査の拡充」というのも、ずっと議論されていたことですよね。
ユージ:ずっと前から言われていましたね。その意見も出ていましたよね。
塚越:ですよね。ということもあるので、専門家集団の提案も、端的に言ってちょっと遅いかなというところもあって。その辺は、政治でできることはもっとあったのでは? と個人的には感じているので、そういう意味では全体的に遅いかなと思いますね。
ユージ:そうですよね。今後、「5類」に引き下げた後に変異株が出てきたり、状況を見て、また「2類」に戻すなど柔軟な対応ができたらいいですよね。
塚越:そうですね、柔軟な運用ができるように考えるのが重要かなと思います。
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイトhttps://www.tfm.co.jp/one/

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