不倫夫役だった岡田将生は「聞き上手なタイプ」、結婚観に変化も…33歳になった高畑充希の“転機”「良くも悪くも現実的に…」

2024年12月14日(土)12時0分 文春オンライン

 今年(2024年)11月19日、俳優の高畑充希が同業の岡田将生と結婚することをInstagramのアカウントで発表した。馴れ初めは昨年秋、Amazon Prime Videoのドラマ『1122 いいふうふ』(配信スタートは今年6月)で夫婦役で共演したことだという。


2人が演じたのは“仲はいいけどセックスレス”の夫婦


 俳優どうしが夫婦や恋人の役での共演がきっかけで結婚するというケースは珍しくない。役に没入すれば、リアルな恋愛感情が生じるのはごく自然ともいえる。しかし、このドラマにそうしたパターンが当てはまるかというとちょっと疑問ではある。それというのも、本作に登場する夫婦は仲はいいけれどセックスレスで、夫には外に妻公認の恋人がいるという設定だからだ。


 もともと渡辺ペコの原作マンガのファンだったという高畑は、自ら演じてみて結婚観に変化があったらしい。配信に際して岡田とともに応えたインタビュー(『AERA』2024年6月17日号)では、《この作品をやって「いい夫婦とはなんだろう?」「人と一緒に生きることにおいて、何が自分の中で大事なのか?」など自分と向き合わされた感じがします。結婚=キラキラ、みたいなイメージから、良くも悪くも結婚に関して現実的な発想になったというか》と明かした。



高畑充希 ©時事通信社


誰かと一緒にいるために頑張ることが自分を成長させる


 もっとも、そのあとには、《いまは女性もガンガン働く時代だし「何のために結婚するのか?」を考え出したら一生踏み出せないと思う。(中略)なにより誰かと一緒にいるために頑張ることが一番自分を成長させるのかも、と本作で感じました》とも語っている。岡田もこれに応じるように、《この作品は夫婦で見ても楽しいはず。お互いに意見を言い合ったり、笑ったりしながら見てもらえれば嬉しいですね》と視聴者に期待を込めた。


 高畑もまた別のところで《この作品が夫婦関係で自分の性とどうバランスを取るかについて話し合うきっかけになるといいなと思いました》と語り、劇中の夫婦も話し合いをあきらめないところが素敵だと話している(『日経WOMAN』2024年7月号)。なお、先の岡田とのインタビューで高畑は彼のことを《聞き上手なタイプですよね》と評した。ここから察するに、彼となら何かあっても話し合えると見込んだからこそ結婚を決めたのかも……と、つい邪推してしまう。


「この役がやりたい」俳優を目指したきっかけ


 きょう12月14日は高畑の33歳の誕生日である。彼女は幼い頃から、芝居好きの両親に連れられてミュージカルなど舞台に親しんできた。決定的だったのは、9歳のときに『奇跡の人』を観たことだ。三重苦の少女ヘレン・ケラーと、彼女に言葉を教えるサリバン先生を描いたその舞台に、高畑は終演後しばらく立ち上がれないほど衝撃を受ける。それと同時に「私はこのヘレン役をやりたいから女優にならなくちゃ!」とはっきりと思ったという(高畑充希『穴があったら入ります』パルコ エンタテインメント事業部、2022年)。両親もその夢を応援してくれ、まずは中学受験に合格したらオーディションを受けていいと許してくれた。


 約束どおり志望の中学に入ると、舞台や芸能事務所のオーディションを受けては落ち続けるも、中学2年のとき、芸能事務所のホリプロが製作する『山口百恵トリビュートミュージカル プレイバックpart2〜屋上の天使』(2005年)の主役オーディションでグランプリを獲得し、デビューを果たす。その稽古と公演のあいだだけ地元の大阪から上京し、徹底的にしごかれた。それでも彼女は公演が終わるまでずっと毎日が楽しくてしかたがなかったらしい。


ピーター・パン役に抜擢


 2007年、高校入学とともに本格的に上京した。同年には松山ケンイチ主演の『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙(そら)へ』で映画デビューする。ミュージカル『ピーター・パン』で主人公のピーター・パン役に起用されたのもこの年である。初代ピーター・パンの榊原郁恵(「榊」の正しい表記は木へんに神)が高畑の初舞台で共演した際、《とにかく歌がうまいし、感受性が鋭くて表情が豊か》だと感じ、彼女が自由自在に舞台空間を飛び回るのをぜひ「観たい」と思い(『婦人公論』2021年7月13日)、指名してくれたという。


 ピーター・パンは2012年まで6年間演じた。この間、2009年には『奇跡の人』のヘレン役にも念願かなって抜擢される。長年目標としてきた役だけに、初演を終えてからしばらくは何も手につかなくなるほどであったという。


『奇跡の人』でヘレンになりきるうちに…


 高畑に言わせると自分は憑依型の俳優でも何でもないと思っているのだが、ヘレンの役は特別で、目が見えず耳も聞こえない彼女と同化するかのように《ずっと稽古しているといつの間にか目で見たり耳で聞いたり、をやめてしまっていて、柱に真正面から激突して鼻血を出したこともあった》という(『穴があったら入ります』)。同役は2014年にも再び演じた。


 さらに5年後の2019年には、今度はサリバン先生を演じることになる。それまで先生を演じてきた先輩たちがこの役のハードさを口々に言うのを何気なく聞いていた高畑だが、自分が演じてみてようやくそれに同意できたという。あまりに気持ちも身体も大変なので、このとき全公演を終えると「もう出来ない! 1回きりでやめてやるんだからっ!!」と強く思ったにもかかわらず、2022年に再演のオファーを受けたときには、《なぜか首を縦に振っていた》という(『穴があったら入ります』)。それくらい彼女にとって『奇跡の人』は魔力を持った作品であるようだ。


 榊原郁恵が絶賛したように、高畑の歌唱力には定評がある。初舞台のお披露目会見に来ていたレコード会社の社長からはいち早くCDリリースの話を持ちかけられ、コブクロの小渕健太郎のプロデュースにより、みつき名義でシングル「大切なもの」(2007年)で歌手デビューしている。


歌の上手さが注目されはじめる


 ただ、彼女の歌の上手さに多くの人が気づいたのはもう少しあと、2013年度後期のNHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』で杏演じるヒロインの義妹・希子を演じたときだろう。当初は無口で引っ込み思案だった希子だが、あるとき歌が上手いことがわかったことから思いがけない役割を与えられ、徐々に心を開いていく。劇中で歌った「焼氷有りマスの唄」(マスの正しい表記は、右上がりの斜線の入った四角)は評判を呼んだ。


 その少し前から、高畑はもっと有名になって自分の舞台にお客さんを呼びたいとの思いから映像の仕事にも力を入れるようになっていた。当時の出演作には、のちに頭角を現す同世代の俳優たちがひしめき合っていた。


俳優4人で結成した“ブス会”


 18歳のとき、ドラマ『Q10(キュート)』(2010年)で共演した前田敦子、池松壮亮、柄本時生とは「ブス会」なるグループを結成し、その後も年に1〜2回は集まる仲である。ちなみに会の名前の由来は、高畑によると《元々みんな正統派の美男美女じゃないことは自覚してて、池松君が私と敦ちゃんのことを「お前らブスはさ〜」みたいに言ってきて、「いや、たいがいあなたもブスだよ」って返してたんですよ(笑)。そうして四人のLINEグループを作ったら、そのグループ名が“ブス会”になってました》という(『週刊文春』2017年1月26日号)。


 その後も映画『女子ーズ』(2014年)では桐谷美玲、藤井美菜、有村架純、山本美月と、ドラマ『問題のあるレストラン』(2015年)では二階堂ふみ、松岡茉優らと共演した。いずれの出演陣もいま振り返ると、そろったのが奇跡に思えるほどの面々だ。高畑はこのうちとくに有村架純と親しくなり、つい先日も、彼女から結婚祝いをしてもらった際の写真をInstagramにアップしていた。


朝ドラと月9を掛け持ちしていた


 2016年には、有村の主演で、『問題のあるレストラン』の脚本家・坂元裕二がフジテレビの月9ドラマをやると聞き、まだ台本も決まっていない段階で自分も出たいと手を挙げた。それが『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』という作品で、折しもドラマ初主演作となる朝ドラ『とと姉ちゃん』と撮影時期が重なった。


 朝ドラの主演俳優はたいてい撮影に入ると、クランクアップまでの10ヵ月間はほかに仕事を入れない。それだけに周囲からは掛け持ちすることを心配されたが、高畑は『いつかこの恋を〜』にもどうしても出演したかったという。結局、月9には朝ドラの撮影が休みの土日を利用して出演したが、《やってみると、違う役をやることで、リフレッシュできていたところもありました》とのちに振り返っている(『日経エンタテインメント!』2016年10月号)。


「体力的にはムリですが、できることなら…」


『とと姉ちゃん』のほうは現場のチームの仲は最高だったが、芝居については悩むことが多かったようだ。どう演じるか考える間もなく撮影が進んでいき、自分がベストな状態でのぞめていない感じもすごくつらかったという。のちに《今は『ああいうものだった』と思えるけれど、最後まで本当に自分との戦いでしたね。体力的にはムリですが、できることならもう一度同じ台本で演じたいくらいです》とまで語っている(高畑充希写真集『ユメクイサバク』宝島社、2017年)。


『とと姉ちゃん』放送中には初の主演映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』も公開され、そのプロモーションのため、撮影の合間を縫って取材を受けたり、バラエティ番組にも出演した。朝ドラのヒロインを務めあげたあとも、出演映画の公開があいつぎ、さらにこの年の暮れから翌年にかけて、楳図かずおのマンガを原作に、フランス人演出家フィリップ・ドゥクフレが手がけた舞台『わたしは真悟』に門脇麦とともに主演している。


「激流に放り込まれたような」20代前半を過ごした


 20代前半の高畑は万事この調子であった。《全部そのタイミングでやりたかった役だったし、取られたくなかったんです》というのがその理由である(『ユメクイサバク』)。他方で、のちに当時を振り返って《20代前半にとっても忙しい時代を迎えて。それまで平和に暮らしていた日々からポーンと急に激流に放り込まれたような感覚もあって、戸惑った時期もありました。いろんなお仕事をいただいて、とにかく消化して、なんとか期待に応えようとがむしゃらで》とも顧みている(『with』2021年4月号)。


 そんなふうにひたすら走り続けてきたのも、20代の終わりがけにはひと段落したと思えるようになってきたという。高畑がのちに運命を感じたという、ある大役を演じるチャンスを得たのは、そんな時期だった。(#2に続く)

〈 「子どもが生まれたら休むかもしれないし…」高畑充希(33)が「仕事よりもプライベートが断然大事」な“深いワケ” 〉へ続く


(近藤 正高)

文春オンライン

「結婚」をもっと詳しく

「結婚」のニュース

「結婚」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ