「世界で一番貧しい大統領」…ウルグアイのムヒカ元大統領、89歳で死去
2025年5月14日(水)10時48分 読売新聞
「世界一貧しい大統領」と呼ばれたホセ・ムヒカ氏=ロイター
【リオデジャネイロ=大月美佳】質素な暮らしぶりから「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれた南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が13日、首都モンテビデオにある自宅の農園で死去した。89歳だった。同国のヤマンドゥ・オルシ大統領が同日、X(旧ツイッター)で明らかにした。
ムヒカ氏は昨年4月に食道がんを公表した。がんは肝臓に転移し、緩和ケアを受けていた。
首都郊外の貧しい家庭の出身。幼少時に父を亡くし、家畜の世話などで生計を立てた。左派の過激武装組織で活動し、4度逮捕され、軍事政権が終わる1985年までの13年間、刑務所に収監された。出所後に政治団体を作り、94年に下院議員に初当選。2010〜15年の大統領在任中、公邸に住まず、自身が運転する古いフォルクスワーゲン「ビートル」で農園から出勤し、給料の多くを寄付した。
12年にブラジルで開かれた国際会議で「より便利で、より豊かで、私たちは幸せになったのか」と演説し、話題を呼んだ。中絶や大麻の使用、同性婚の合法化も進めた。16年に来日し、東京外国語大で講演した。
20年の政界引退後も中南米の左派指導者の重鎮として影響力を維持。昨年11月の大統領選で中道左派のオルシ氏を支援し、当選に導いた。