トランプは禁固20年で獄中死、“盟友”FOXニュースが衝撃の記事

2023年6月11日(日)6時0分 JBpress


タフガイ特別検察官は「米国版・鬼の平蔵」

 米司法省の「Hard Ass」*1こと、ジャック・スミス特別検察官が6月8日、2024年の大統領選に立候補しているトランプ・トランプ前大統領(76)を起訴した。

 連邦政府の機密文書を不当に持ち出したスパイ防止法違反の疑いだ。

 江戸時代の日本であれば、火付盗賊改方、鬼平(長谷川平蔵のお出ましといったところだ。

*1=アメリカのスラングで、妥協を一切許さないタフガイのこと。スミス氏はマンハッタン地区連邦検事局で性犯罪や家庭内暴力を担当、2008年から2年間、オランダのハーグにある旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷・検察局(ICTY)に出向。帰国後は司法省公共健全化局長、司法次官を経て再びICTYに出向し、2023年まで民族浄化や集団レイプを行った軍将軍たちを徹底的に追い詰めた鬼検事だ。

 これを受けて、トランプ氏は6月13日、機密文書を違法保管していた邸宅「マール・ア・ラーゴ」のある南フロリダ地区の連邦地裁に召喚され、事実上逮捕される。

(前回同様、手錠はかけられず、監視付きで帰宅が許されることになりそうだ)

 フロリダ州は共和党支配の「レッドステート」。当日は同州の共和党支持者を中心にトランプ・シンパが裁判所にデモを仕掛けることが予想され、治安当局は厳重警戒態勢を敷く。

 米国で大統領経験者が2度も起訴、逮捕されるのは、史上初めてだ。

 起訴、逮捕された前例はトランプ氏一人。ポルノ女優との不倫もみ消し工作に絡む選挙法違反で、ニューヨーク州検察当局が3月、起訴、逮捕している。この案件はニューヨーク州地裁で目下審理中だ。


「政治献金寄付プリーズ」SNSで悲愴な叫び

 起訴の第1報を流したのは3月の時と同じくトランプ氏自身である(ご本人は起訴がメディアに速報されるのを忌み嫌っているようだ)。

 米メディアはトランプ氏がSNS「トゥル—・ソーシャル」で流した情報に基づいて一斉に報じた。

 トランプ氏は、6月8日、こうSNSに書いた。

「どうか、穏やかに私に寄り添って政治資金を寄付してください。そしてこの国が過激な左翼の手には絶対に落ちないのだということを立証してほしい」

「皆さん方の支援が(私を救う)1500%のインパクトを与えてくれるはずだ。私たちは今、自分たちの目の前で私たちの共和国が死ぬ瞬間を見ている」

「バイデン(大統領)が指名した特別検察官が新たな魔女狩りで、私が米国大統領(当時)として解禁する権限を持っていた機密文書に関する嫌疑で起訴したのだ」


意図的な国防機密保持、隠蔽工作、許せない

 6月9日、司法省で記者会見したスミス氏は、起訴状を発表した。

 それによると、起訴事実は37件で、トランプ氏はスパイ防止法違反や司法妨害などに問われている。要点は、以下の通りだ。

一、トランプ氏が退任後に持ち出した機密文書には、米国の核計画や米国・同盟国の潜在的な弱点、米国が攻撃を受けた場合の反撃計画などが含まれていた(「同盟国」がどの国を指すかは明示されていない)。

二、起訴は南部フロリダ州の大陪審によって議決された。主な訴因は、意図的な国防機密保持、隠蔽工作、虚偽陳述、司法妨害など(最も重いもので最長20年の禁固刑が科せられる)。

三、トランプ氏は2021年1月の退任時、ホワイトハウスからフロリダ州にある邸宅「マール・ア・ラーゴ」に機密文書を持ち出した。

 トランプ氏が当局の返還要求に応じなかったため、連邦捜査局(FBI)が2022年8月にマール・ア・ラーゴを家宅捜索。国家最高機密を含む公文書が書斎で27組、倉庫で75組見つかった。

四、この案件は、公益と被告人の権利に鑑み、迅速な裁判を求める。裁判は大統領選挙戦と重なる可能性がある。

(washingtonpost)


民主党は一党支配を狙っている

 トランプ氏の「分身的役割」を演じているFOXニュースのアンカー、ショーン・ハニティ氏は6月8日、テレビ番組でこう述べた。

「機密文書を持ち出したのはトランプ氏だけではない。バイデン氏も副大統領を辞めた後、機密文書を自宅や事務所に持ち出し、一部はガレージに保管していた」

「それなのになぜトランプ氏だけがスパイ防止法違反で起訴されたのか」

 6月9日の同番組には弁護士でテレビ番組のホスト、マーク・レビン氏も出演してショッキングな発言をした。

司法省がトランプ氏にスパイ防止法を適用して最高禁固刑を科せば、今76歳のトランプ氏は獄中死するだろう」

「フェアプレーをしないホワイトハウスや民主党の匪賊どもによって米国の歴史は忌まわしい汚点を残すだろう」

「奴らは選挙で勝つことだけでなく、この国を支配しようとしている。奴らが目指しているのは一党支配だ」

(Sean Hannity 6/8/23 FULL END SHOW HD | FOX BREAKING NEWS TRUMP June 8, 2023)

(Donald Trump 'Will Die in Federal Prison,' Fox News Host Warns)


バイデンとの違いは「司法妨害」

 機密情報を持ち出したという点では副大統領を退任したバイデン氏も同じではないか、というハニティ氏の指摘はどうなのか。

 主要メディアは、こう反論している。

一、バイデン氏は公立公文書館からの指摘に直ちに、誤って持ち出し保管していた機密文書をすべて返却した。

二、トランプ氏は国立公文書館からの再度の問い合わせを無視、FBI捜査官が保管室にあった箱の中身を調べるのを拒んだばかりか、機密文書など邸宅に残っていないと記した書簡を司法省へ送っていた。

三、たまりかねた特別検察官の要請を受けて2022年8月、FBIが強制捜査に踏み込んだ。その際にも保管していた機密文書を全部提供はしていなかった。

四、さらにトランプ氏は、FBIの押収物について大統領退任時に機密を解除したと主張し続けた。

(米メディアによると、複数のトランプ政権前高官は前大統領が機密解除に必要な手続きをとっていたかは把握していないと証言している)

五、さらに、FBIはトランプ氏が邸宅のプールの水を監視カメラの記録保管室に流し込み、この保管室から機密文書の入った箱を運び出す模様を映し出したビデオを入手していたとの報道もある。

(Trump’s Swimming Pool Flooded Surveillance Video Room At Mar-A-Lago, Report Says)

 なぜトランプ氏はそれほどしてまで機密文書を手元に置いておきたかったのか、その理由はまだ分かっていない。


史上最高得票を得た大統領の揺るがぬ自負心

 トランプ氏にとって、裁判で無罪判決を勝ち取るために役立つものは目下のところ、各種世論調査が示している共和党支持者の「トランプ支持」の声しかない。

 トランプ氏自身、そのことをSNSで繰り返し強調している。

「大統領だった者を起訴したことはかつてない。私は国民に選ばれた大統領だ。しかも史上最も多い得票数を得て当選した大統領だ」

「今も世論調査の支持率では大統領選に立候補している候補者の内で一番だ。共和党候補だけでなく、世論調査では本選挙でもバイデン氏に勝っている」

「そんな俺さまを民主党政権の司法省、特別検察官、FBIが起訴し、刑務所にぶち込むのか。冗談じゃない」

 確かに、共和党支持者を対象に6月6日公表のカリフォルニア大学バークレー政治研究所世論調査では、トランプ氏の支持率は56%、フロリダ州のロン・デサンティス知事は22%、やっとトランプ氏に反旗を翻したマイク・ペンス前副大統領は7%だ。

(2024 Republican Primary Polls | Morning Consult)

 また、5月30日に公表されたマンメス大学の世論調査では、共和党支持者の45%がトランプ氏がバイデン氏に対抗できる最強の共和党候補だと回答している。

 トランプ氏は、この世論調査結果を金科玉条にして自分以外に共和党大統領候補はいない、と自信を深めている。

 主要世論調査機関の分析者G氏はこうコメントしている。

「すでに2回も起訴され、起訴事案はまだこのほかに2件抱えているトランプ氏にとっては、世論調査がはじき出す支持率は今や命綱」

「そのためにもSNSを使ったMAGA(Make America Great Again)商品と交換に集める選挙資金は必要不可欠だ。膨大な弁護士料もこの中から拠出されているようだ」

 もっともこの好調な支持率が導き出す現実は、決してトランプ氏にとって明るい展望をもたらすものではなさそうだ。

 マンメス大学の世論調査研究所のパトリック・ムゥーリ所長はこう分析する。

トランプ氏を支持する共和党支持者に送るメッセージがあるとすれば、トランプ氏は本選挙では勝てませんよ、という一言」

「(いくらトランプ氏を支持しても)それはレンガの壁に突き当たるのと同じ。つまり行き詰って先に進まないということだ」

 デンバー大学のセス・マスケット教授(政治学)も同調する。

「トランプ氏は世論調査で他の候補を大きくリードしている。それを見て、共和党大統領候補はトランプ氏で決まりだ、と早合点してはいけない」

「トランプ氏を支持する共和党支持者も本選挙ではトランプ氏では勝てないことを百も承知で支持している。共和党にとっては悲劇だ」


起訴・逮捕で共和党支持層の流れは変わるか

 果たして、今回の起訴・逮捕で共和党支持層の「トランプ支持」の流れが変わるのか。

 あるいは、3月から4月にかけてのニューヨーク州当局の起訴の際のような大きな支持浮揚につながるのか。

 トランプ氏が言い続けている「機密指定解除の権限は大統領(前大統領)が指定解除を考えた時点で解除される」という主張が認められるかどうか、にかかっている。

 国家機密問題の専門家でトランプ氏の主張を支持する者は、本稿脱稿段階では見つかっていない。

筆者:高濱 賛

JBpress

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