PowerToysで作業環境をパワーアップ! 第1回 開発者向けの効率化機能がWindowsユーザーに広まるまで

2024年3月1日(金)8時0分 マイナビニュース

MicrosoftはWindowsの生産性を最大化するために「Microsoft PowerToys(以下、PowerToys)」というソフトウェアを提供している。一見、Windowsをよく利用しているユーザーや、ソフトウェア開発者向けのように見えるかもしれないが、Windowsに詳しくないユーザーにとっても便利な機能がそろっている。本連載では、日々の作業を効率化するPowerToysの使い方を紹介する。
初回となる今回は、PowerToysの生い立ちについて説明しておこう。
○PowerToysとは
先述の通り、PowerToysには対象ユーザーを“Windows熟練者”に限定するには惜しいほど便利な機能が搭載されている。特にWindows 10向けに12年ぶりに公開された現在のPowerToysは、それほどWindowsに詳しくないユーザーにも活用してほしい機能が目白押しだ。
本連載ではMicrosoftの提供するPowerToysで生産性を飛躍的に向上させて、日々の作業を効率良くこなしていく方法を紹介する。カスタムショートカットの作成、ウィンドウ管理の高度化、ファイルのバッチ処理など、PowerToysが提供する多様な機能を取り上げていくので、ぜひ試しながら読み進め、気に入った機能を見つけていただきたい。
○PowerToys for Windows 95
PowerToysの発祥は1995年に公開されたWindows 95向けのフリーウェアユーティリティコレクションだった。Microsoftの一部の開発者によって生み出されたもので、Microsoftは公式にサポートしていなかったそうだ。当時、提供されていたのはWindows 95の機能を拡張する機能だった。
ソフトウェア開発者はプロジェクトを進める中で、何らかのサイドプログラムを開発することがある。それはシステムに追加する機能をテストするためだったり、機能プロトタイプを作成するためだったりと、目的はさまざまだ。
Windows 95の場合も同様に、その開発に関わっていたWindowsシェルチームの開発者はサイドプログラムを開発しており、Windows 95の出荷後にそれらをまとめて「PowerToys」として公開した。これが本連載で取り上げるPowerToysの発祥ということになる。
最初のバージョンはこのようにWindowsシェルチームの開発者が作って持っていたツールを寄せ集めたものだった。「PowerToys」という名前の由来や、収録されたユーティリティの選定基準も、今となっては知る術がない。しかし、このツールが便利なものだったことは間違いない。Windows 95向けの次のバージョンでは、新しいユーティリティが追加されているのがその証拠だろう。
なお、「PowerToys」という名称には多少の混乱もある。Microsoft内部のほかの開発チームも自分たちのツールを「PowerToys」と呼んでいることがあるし、Microsoftのサイトには本連載で取り上げるPowerToysとは関係がない同名のブログもある。内部の開発者が作るツールや名称にまで厳しいルールが求められるような時代ではない頃の名残だ(参考「The history of the Windows PowerToys - The Old New Thing」)。
○PowerToys for Windows XP
最初にリリースされたPowerToysがPowerToys for Windows 95であり、それに対して、Windows XP向けにリリースされたものがPowerToys for Windows XPだとされている。ツールの位置付けはWindows 95向けのものと同じで、Windows XPの機能を拡張したり、生産性を向上させたりすることを目的としていた。
PowerToysでカスタマイズできる“古き良き時代”は、Windows XPで一旦終了となる。
○Windows 98からWindows 8.1まで
便利なユーティリティツールだったが、PowerToys for Windows XPがリリースされた後はもう、こうしたツールが外に出てくることはなかった。Windows 98、Windows Me、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1といったバージョンに対してPowerToysはリリースされていない。
○PowerToys for Windows 10
PowerToysの新しいバージョンが公開されなくなって10年以上が経過し、事態が動き出す。Microsoftは2019年、GitHubでオープンソースソフトウェア(OSS)としてPowerToysを公開したのだ。同年公開されたのは、最初のプレリリースバージョンにあたる。
PowerToys: Windows system utilities to maximize productivity
現在Windows向けにリリースされているPowerToysはGitHubにおいてOSSとして公開されている本バージョンであり、Windows 11とWindows 10で利用することができる。
このPowerToysはMicrosoft公式のGitHubアカウントでホスティングされており、Microsoftが公式にサポートしているプロダクトである。ドキュメントも公開されており、Windows 11やWindows 10の機能を拡張する公式の方法となっている。
PowerToysの最初のバージョンは、Microsoft内部の開発者らが自分たちのために作っていたツールを寄せ集めて公開したものだった。そこから30年近くが経過して、現在では世界中の開発者が参加できるかたちでPowerToysの開発は進められている。リポジトリはMicrosoftの管理下にあるが、外部の開発者が機能の提案やバグの報告、パッチの提案などをできるようになったのは時代の流れを感じさせる。
体制は大きく変わったが、開発者やユーザーが欲しいと感じる機能を実装し、それをほかのユーザーにも共有するというスタイルが30年を経てもPowerToysを作っているというのは興味深い。現在でも新機能の追加や改善が進められており、ここで実装された機能のいくつかはWindows 10やWindows 11の機能としてマージもされている。
○Windowsユーザーであれば使って損はない
PowerToysのユーティリティ自体は、単一のアプリケーションとして構築されており、インストールするだけでさまざまな機能が有効になる。
次のスクリーンショットはPowerToysの設定ダイアログだ。このダイアログを通じて機能の有効・無効を切り替える。邪魔な機能が動く場合にはここで無効にすればよいし、設定を変更したい場合もここで変更できる。
非常に便利な機能が多いため、開発者に限らず、Windowsユーザーであれば使って損はないはずだ。次回からは、インストール方法や提供される機能について取り上げていくので、気になるものからぜひ、試してみていただきたい。
○参考
PowerToys | Microsoft Learn
PowerToys: Windows system utilities to maximize productivity

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