パナソニック コネクト、トラック荷待ち時間を50%削減‐24年度内に提供へ

2024年3月8日(金)19時10分 マイナビニュース

パナソニック ホールディングス(HD)傘下でシステム開発を手掛けるパナソニック コネクトは3月8日、AI(人工知能)技術や最先端のロボットなどを活用して、トラックの荷待ち時間を半減する新技術を開発したと発表した。また、自動倉庫技術などを手掛けるラピュタロボティクスと、物流倉庫内の効率化を目的に業務提携を開始した。
AIがロボットアームや自動倉庫、人による作業などのタスクを最適化し、倉庫内の一連の作業における無駄を省く。2024年度内の提供開始を目指し、出荷頻度が高く商品の入れ替わりが激しい食品業界などを中心に展開していく考えだ。「物流の2024年問題」に代表されるサプライチェーンの本質的な課題にメスを入れる。
同日の記者発表会でプレジデント・CEO(最高経営責任者)の樋口泰行氏は「倉庫内のあらゆるタスクを標準化・最適化し、人だけでなくロボットにもタスクを実行してもらう。作業ロスを削減し、労働者不足につながる技術だ」と述べた。
○荷待ちの原因「ピッキング完了のズレ」
物流倉庫では、後でトラックに載せるものが先に出てきてしまうなどの順序不同が起こりやすく、トラックの荷待ち時間の発生につながっている。国土交通省の2021年の調査によると、トラック1運行あたり約1.5時間を荷待ちに費やしているという。
「ピッキング(必要な品物を集めること)の終了時間が同期してないことが原因だ。ピッキングの完了のずれがトラックの待機を引き起こしている」と、現場ソリューションカンパニー エバンジェリストの一力知一氏は、待機時間が発生する原因を説明した。
パナソニック コネクトが開発した新技術の名称は「タスク最適化エンジン(仮称)」。製造業として100年以上培ってきたインダストリアルエンジニアリング(IE)と、2021年に約8600億円で買収した米ブルーヨンダーの倉庫管理システム、業務提携を開始したラピュタロボティクスの自動倉庫の3つが組み合わさって実現される技術だ。
具体的には、AIのアルゴリズムがロボットアームや自動倉庫、人による作業などのタスクを最適に割り当て、商品の出荷作業の同期を実現する。商品のピッキングの工程を人による作業とロボットによる作業に分けて効率化し、各々の作業の終了時間が他の作業の終了時間と同期できるように業務計画を割り振ることができる。
また、人による作業時間とロボットによる作業時間の標準値も算出でき、出荷頻度が高く商品の入れ替わりが激しい場合であっても、個数が増えるごとにどのくらいの時間でその作業を終えられるのかも予測できる。
○人とロボットの連携で荷待ち時間半減へ
ラピュタロボティクスの自動倉庫「ラピュタ ASRS」は、協調制御された複数のロボットが縦横無尽に動き、作業者の目の前に保管用および出荷用のビン(専用コンテナ)が集まる。作業者は歩行することなく、そして待ち時間なくピッキングできる。前方のモニターが「どのビンからどの商品をどのビンに移し替える」などの指示を出してくれるため、作業もスムーズだ。
また、パナソニック コネクト独自のハードウェア技術により、コンビニなどの多様な商品群の約8割の商品をロボットがピッキングできるようにした。商品の形が変わってもアームの部分を変えずにピッキングできるロボットや、吸着の技術を使ってピッキングするアームロボットを導入する。
あらゆる種類のロボットを制御できるプラットフォームも開発し、現場作業者がロボットハンド、ロボットアーム、カメラなどをタブレット上で選択するだけで、ピッキング作業の設定変更ができるようにする。
「ロボットの専門スキルをもつシステム開発者は必要ない。簡単にロボットハンドやアームによるタスクの設定が変更できる」(一力氏)
これらの技術を組み合わせて倉庫内の作業を効率化することで、トラックの荷待ち時間を最大50%削減できるという。パナソニック コネクトは同技術をオープンプラットフォームとして展開し、さまざまなロボティクス提供企業と連携を進める考えだ。
2024年4月からトラック運転手の時間外労働に年間960時間の上限が課せられる。1カ月あたり平均80時間の上限で、現行の残業上限から19時間短縮される計算。これは東京から大阪間の往復輸送時間に相当する。野村総合研究所の推計によると、2025年に全国の荷物の28%、2030年には35%を運べなくなる可能性があるという。物流業界は作業の効率化などが急がれる。

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