インテルが原宿でAI PCイベント実施。AI PC活用に最も関心があるZ世代にお花の空間でアプローチ

2024年4月1日(月)17時18分 マイナビニュース

AIをクラウドから解き放つAI PC
インテルは2024年3月30〜31日の期間中、原宿のcafe STUDIOにてAI PC 体験イベント「AI PC Garden Powered by インテル Core Ultra プロセッサー」を開催しました。前日のプレス・プレビュー&招待者向けイベントに行ってきたので、その様子についてお伝えします。
インテルの上野氏は今回のイベントの開催に際して、「インテルとマイクロソフトでAI PCの定義を決めたが、AI PCの価値を認めるのは消費者。なかなか実際に体験することができないAI PC上で動作するAIアプリケーションを通じて、現在のAI PCを体験してほしい」と挨拶。
さらに「私が入社したころ(無線LANを内蔵したパソコンである)Centrinoが出て、これはパソコンがケーブルから自由になるというプラットフォームだった。AIはクラウドで処理を行っていた時代から『手元でAIが使える』という選択の自由をもたらす。今回のイベントのために多くのパソコンをメーカー様からお貸出しいただいた。すでにこれだけの種類のAI PCがあることを知ってほしい」とも語っていました。
今回のイベントの意義として、インテルやPCメーカーの提供するハードだけではAI PCの真価は発揮せず、まだアプリが足りない。そこでデベロッパーが集まっていろいろなアプリケーションをたくさん作って欲しく、デベロッパーのアプリケーションが一緒になってなって初めて花が開くという思いを込めていると、今回のイベントに際しての思いを語りました。
原宿という場は若い世代にAI PCを体験してほしいという意味合いで選んだそうですし、今回はファニチャーにハーマンミラーの協力。そして「この什器もちゃんと紹介してね」とかなりこだわりのある什器を用意していました。一つはパソコン一台だけを飾るものですが、下部が透明になっており、今回は花が飾られています。
また、複数台置ける台はすぐ下に液晶パネルが入っており、インフォメーション類を表示とかなりおしゃれです。
インテルが2年前から行っている、クリエイター応援のBlue Carpet Projectともコラボ。協賛クリエイターが動画とイラストを提供しており、少し先の未来をビデオで表現。「インテルAI入ってる」というキャッチフレーズを使っていました。上野氏いわく「愛を入れた」とのこと。
来場者にはCore Ultraロゴのラテを提供しているほか、アンケートの回答でフラワーデザイナー楠木氏監修のミニブーケがプレゼントされます。ミニブーケはかなり素敵だったので、このためだけに来てもいいかもしれません。
「AIが直感を拡張して、イノベーションを起こしてほしい」
今回のイベントにはゲストとして、世代・トレンド評論家の牛窪恵氏が世代による思考・志向の違いを解説しました。牛窪氏は、最初に出した本「おひとりさまマーケット」が当時の新語・流行語大賞の最終ノミネートになった方です。
女性が一人でも活動する場が増えた結果、おひとりさまで楽しむ市場としてのホテルやカフェというコンテンツが広がった事や「草食性男子、草食系世代」という言葉から世代の概念が変わったと言います。
「マーケティングの神様」フィリップコトラー氏の日本語版の最新著書「マーケティング5.0」においても、ジェネレーションギャップが冒頭に紹介されており、世代の違いを明確にしているのが今のマーケティングの世界と説明。
日本で最も人口が多いのは団塊世代で、その子供たちが団塊ジュニアと呼ばれる世代でこちらも人口が多いのですが、団塊ジュニア世代の子供たちがZ世代と呼ばれる人たちですが、人口はあまり多くありません。
というのも団塊ジュニア世代を別名で貧乏くじ世代と言っているように、この世代はバブル崩壊に大きく影響を受けています。また、子供のころからデジタルに慣れ親しんでいることもあり多様化が明確になっているといいます。
昨年は生成AI元年と呼ばれるように生成AIが世間の話題を席巻しています。認知度に関しては若い男性のほうが高く、Z世代での活用意向が高いといいます。実際に使用しているのはY世代ですが、Z世代は実用性よりも面白いコンテンツを生み出すというイメージを持っているのが面白いところ。
生成AIに関しても仕事だけではなく、プライベートでも活用しており、知識を得るだけでなく知識を深めるために対話を活用しており、反応を楽しむほか、自分の履歴書を書かせることで自分の新たな一面を発見することもあると新たなひらめきを求めているとまとめました。
一般に言われるタイパは時短や生産性向上という省タイムですが、今後AIとの分業が進むことで真のタイパとなる“消タイム”、そしてAIとの協業によるひらめきやイノベーションの源泉となるSHOW TIMEに進化すると牛窪氏はまとめました。
その後、インテル上野氏との対談を実施。牛窪氏はゆとり世代はコスパ重視だったのに対し、Z世代は将来予測が不可能な状況から何が無駄かわからず、プランもA/B/Cと複数の計画を立てる。自己研鑽欲求も高く、常に可能性を秘めておきたく、気になるものは貪欲に取り入れようとしていると説明。商品選びも直感を大切にしており、仕事においても直観力が重要だといいます。
Z世代はデジタルネイティブという単語があるように物心ついた時からスマートフォンやSNS、動画サービスが身近にあるというのも強みです。
この話を伺って思い出したのが、昨年8月にサードウェーブが開催したAIアートグランプリ(関連記事)。
クリエイターのKATHMI氏はウォールアートを中心に活動されていますが、3か月でAI関係の技術を取得され応募。当時、生成AIの利用に対し著作権切れの浮世絵と自筆の画像で学習させたオリジナルLORAモデルを生成して、Stable Diffusionで画像を生成したと説明していました。当時お話を伺ったときは「へぇ」と思っていたのですが、世代の差による実行力の差なのかもしれません。
一方で、日本的というか同調性が欠点でみんなを意識し、自分の意見を言えない。逆にアバターでは周りを気にしなくてもいいので気にせず意見が言えるとも言います。
上野氏が「同調性は日本的だが、これからも残るのか?」という問いに対し、牛窪氏は「ルーチンワークは同調しないとやりにくいところがありますが、ここが将来AIに代わると、自分自身のクリエイティブなところを出していかなければならない。人前で意見は言えないが、アバターの私なら『周りにどう見られているか気にしない』ので結構言っている。一方海外暮らしや留学した人はディスカッションで意見を言わないとダメと教えられるので、二極化が進むだろう」と回答。
上野氏は「私もキャラの使い分けをしている学生さんは結構見ている。AIもまだ分業のところでとどまっているが、これに何か新しいデバイスやソフトウェアと組み合わさることで大きなイノベーションが起きるのでは期待している」とAIの可能性に関して言及していました。
牛窪氏は「AIがどんどん進むと格差が広がる可能性も否定できませんが、アプリケーションを作るなどのクリエイティビティなことは格差を乗り越えられる力があると感じる。『こういうものがあったら便利だとかもっと楽しくなるのでは?』という発想が若い人にはあって、アプリとか得意な人ならば数か月で開発できる。それが爆発的にヒットすることもある。一攫千金ではないですが、格差を埋めるとか縮めるという夢みたいなものがあると思います」とデジタル利用で格差解消の可能性があると語ると、
上野氏は「AI PCはローカルでAIが処理できるのが強みで、クラウドで全部やるモデルだと今勝っているプレイヤーしかできず格差がつくと広がる一方であるのに対し、AI PCによって新しいAIアプリケーションがローカルで動くとそこがかわり、若い人には開発したアプリが多くの人に使われるという夢を持ってほしい」とAI PCの生み出す希望を語りました。
牛窪氏は「この会場の花ではないですが、希望が持てないというところが一番の問題で、デジタルによってこのような格差やコミュニケーションギャップを乗り越えることで世界が広がると感じますし、私たち既存概念があるので『たぶんそんなのは無理だよ』と思っちゃうのが若い人ならば、大丈夫なんじゃないかといい意味での勘違いがあり、そこにAIがどんどん提案して偶然の出会いとか発見がある。その直感を仕事でも伸ばして欲しい」と。
上野氏も「今までの経験から積み重ねるのが直感だと思うので、これをAIで加速していく。これが若い人にとっての武器になっていくというのはすごくエキサイティング。格差を埋めて新しいものを生み出す力に変えていくことに上の世代が何かできることがあるといい」と通常のパソコンの発表会とか体験会ではなく、次の世代へのエールのようなものを感じ取ってほしい語っていました。

マイナビニュース

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