ローチケ、アプリ再インストールや機種変更で電子チケット消失? SNSで物議 運営は「状況確認して再表示する」 背景にはチケット不正問題

2024年4月4日(木)14時35分 ITmedia Mobile

電子チケットに関する告知

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 ローソンエンタテインメントのチケット販売サイト「ローチケ」が提供する「ローチケ電子チケットアプリ」(iOS、Android)の仕様変更が物議を醸している。同サービスが4月3日昼ごろに実施したアプリの仕様変更により、アプリ内に電子チケットをダウンロードした状態で機種変更(SIMカードの入れ替え)やアプリの再インストールを行うと、電子チケットが消失するという。
 ローチケが販売するイベントやコンサートのチケットは、1万円超の高額チケットや競争率の高いレアチケットも少なくなく、SNS上では「スマホが故障したらどうするのか」「厳しすぎるのではないか」といった声が相次いでいる。
 ローソンエンタテイメントは4日、プレスリリースで「電子チケットの表示に問題が起きた場合はローソンチケットカスタマーまで連絡するように」と追加で告知を行った。機種変更などで電子チケットが表示されなくなった場合、利用者の状況を確認した後に再表示設定を行うとしている。
 こうした仕様変更はユーザーの利便性を著しく損なうと考えられる。SNSでも同様の反応が多く目に入るが、一方で電子チケットの不正利用に関する対策が業界で急務であることも背景にありそうだ。
●電子チケットの不正利用が仕様変更の背景に
 ローソンエンタテインメントは、今回の仕様変更について「電子チケットの不正防止を目的に利用方法の変更を実施した」と説明している。
 もともと人気チケットの転売トラブルは以前から指摘されている。国民生活センターによれば「海外の転売仲介サイトで高額チケットを購入してしまった」「SNSで転売チケットを購入して支払いをしたら、相手と連絡が取れなくなった」といった相談が近年多く寄せられているという。2019年6月にはチケット不正転売禁止法も施行された。
 この数年で普及した電子チケットは、そうした不正防止が期待されるものだ。チケット画面を表示した状態のスクリーンショットによる悪用が難しい電子スタンプの導入や、同行者にチケットを分配する機能、行けなくなってしまったイベントのチケットを適正価格で公式に再販できるリセール機能などを用意するサービスも少なくない。
●システムの使い勝手がサービスの評価に直結しそう
 ただ、システムが複雑化の一途をたどる中で、環境によってはうまく動作しないケースも散見される。例えば、ローチケの公式チケットリセールサービスでは、注意書きとして「auのpovo、楽天モバイルのUN-LIMITなどの一部環境、またはe-SIMやデュアルSIMの一部端末にて認証機能がうまく働かない事象を確認している」として、改善に向けて調査、検討中との記載がある。
 一般ユーザーにとって、モバイル回線によって固有サービスの理由に不都合が出るとしてトラブルシューティングに至るのは難しいことも考えられる。こうした部分の対策が、サービスそのものの評価につながることを事業者は念頭に置く必要がありそうだ。
 今回のローチケの問題は、ユーザー側にスマホの機種変更またはアプリを再インストールした環境で電子チケットを再表示させる手段がなく、問い合わせによって再表示させられるという情報が後出しになってしまったことが事の発端だ。他社のチケット販売サービスでは、そうした手段や案内が既に整備されていたことも炎上を加速させた理由といえるだろう。
 昨今の不正利用対策はいたちごっこという現状もある。日本経済新聞による2023年4月1日の報道によれば、高額転売の際に電子チケットが入った中古スマホを相手に貸し出すといった手口も横行しているという。入場の際に本人確認などを行うといった対策なども行われているが、心ない不正利用者によって、正規ユーザーの利便性が日々損なわれていくのは残念だ。

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