夢の左手デバイスはまさかのゲームパッド「8Bitdo Micro」だった プロイラストレーターが試して分かった驚き

2024年4月5日(金)12時0分 ITmedia PC USER

自腹で購入した「8Bitdo Micro Bluetooth Gamepad」です

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 こんにちは! refeiaです。
 今日は夢のようなお絵描き用左手デバイスの話をしましょう。もしかしたら今までの左手デバイスの不満を乗り越えてくれる、もしくはプラスワンとして買い足すだけで、ちょっと快適になれる製品かもしれません。よろしくお願いします!
●iPadお絵描き用左手デバイスの難しさ
 お絵描き用の左手デバイスは、いろいろあります。リーズナブルなデバイスもあれば高級品もあり、それぞれにそれぞれの良さがあり、実際に制作を助けてくれます。
 一方で、この分野のデバイスで共通して惜しい点になりがちなのが、動作サポートは「PCのみ」です。絵を描くのはPCだけではないし、異なるデバイスで描く時も、基本的には両方で同じように操作したいものです。実際にTourBoxやACK05を触ったときには「iPadやAndroidタブレットでも使いたい……」という思いが共通してありました。
 現状、iPad左手デバイスの定番になっているのは「iCleverのテンキー」だと思います。
 この製品自体は、普通のBluetoothテンキーです。イラストアプリのショートカットキーの設定をテンキーに割り振ることで、ショートカットデバイスとして使うわけですね。別に本機でしかできないわけではないでしょうが、おそらく口コミで指名買いされるようになり、ショートカット割り当てを書き込んで貼れるようにシールが付属してくるなど、なかなか面白い文化になっています。
 ただ個人的には、アプリのショートカット設定を「テンキー専用」 にしてしまうと汎用(はんよう)性を失うのと、コンパクトとはいえそこそこサイズと厚みがあるので、薄型のミニキーボードでよくない? という気分になり、テンキーの導入には至っていません。
●キーボードのフリができるゲームパッド
 そこに現れたのが8Bitdo Microです。発売は2023年の8月で、自分は3000円台前半ぐらいで購入していました。このゲームパッドは超コンパクトでBluetooth接続できることに加えて、3つのモードが選べるのが特徴です。
・ニンテンドースイッチ・モード
・D-Inputモード(普通のゲームパッド)
・キーボードモード
 実は、キーボードのフリができるゲームパッドは以前からありました。従来iPadの左手デバイス的な用途でカルトな人気があった「8Bitdo Zero 2」は自分も持っていますが、キーボードモードはあるものの割り当てのカスタマイズができず、上記のテンキーデバイスと同様に、アプリのショートカット設定から歩み寄る必要がありました。
●キーボードモードは本体のスイッチで選びます
 それでは、8Bitdo Microを見ていきましょう。
 そして、キーボードモードではiOSとAndroidのアプリからキー割り当てをカスタマイズできます。
 普段ゲームパッドを使っていると忘れがちなのですが、これくらいの小さなパッドでも16個もキーがあります。単純比較はできないとはいえ、キー数だけならTourBoxよりも多いです。マクロ機能や、複数の割り当てを素早く切り替える機能まではありませんが、修飾キーや複数キー同時押しは設定可能です。
 テンキーをiPadの左手デバイスとして利用するときには修飾キーが割り当てられないのが困りがちだと思うので、ここは有利な点ですね。
●手軽なお絵描き用途では上々の使い心地
 自分で使ってみましたが、実際になかなか快適でした。
 超頻繁に使うキーをA/B/X/Yの4つ、後はその周囲に割り当てていくと、頻繁に使いたいキーはおおむねカバーできて、これ以上は画面上の操作でいいかな、ぐらいにできました。アプリのショートカット設定をほとんど変えなくていいので、「ガチ作業したくなったらBluetoothキーボードをつなげよう」という安心感もあって気分が良いです。
 また、修飾キーや同時押しに対応しているため、直感的な「ドラッグでブラシサイズ変更」も利用できるなど、操作の効率化に役立ちます。
 実際に作業してみると、親指ばかりで操作するのは少し慣れが必要ですが、楽しく描くのにちょうどいい効率化レベルです。机に設置しないので左腕の位置が自由にできたるなど意外な快適さもあり、値段の安さでハードルが下がっていたのもあるでしょうが、かなりの満足感で利用できました。
 ただし、設定アプリはiOS版であっても「Alt」や「Windows」など、Appleデバイスの標準とは異なる修飾キー名を表示しています。「Option」「Command」などを読み替えながら設定するのは少し混乱するかもしれません。
●まとめ
 ではまとめていきましょう。特に以下の点が好みでした。
・安い
・小さい
・持ちやすい
・iPadでもAndroidでも、PCでも利用できる
・キーを自由に割り当てられる
・修飾キーや複数キーの同時押しも利用できる
・キーボードモードだけでなく、ゲームパットとしても利用できる
・PCで動画や電子書籍をリラックスして楽しむ用途にも良い
 8Bitdo Microは、iPadお絵描きユーザーの左手デバイスでよくある悩み「高機能な左手デバイスはPCにしか対応しない」「テンキーデバイスは汎用性/柔軟性に欠ける」の隙間を埋めるデバイスです。コンパクトで安価ながら操作はしやすく、柔軟なカスタマイズ機能のため、イラストアプリのショートカット設定をほとんど変更することなく利用できます。
 一方で、5本の指を自由に使えるキーボードほど多くのキーを素早く操作できるわけではなく、突き詰めていくとトップスピードでは勝てません。基本的にはコンパクトさを生かして出先で作業したり、自宅でもリラックスして描くのを想定して検討したりするとよいでしょう。
 また、アプリのショートカット設定を汚染しないおかげで「キーボードをつなげてがっつり作業」の選択肢を常に残しながら利用できるのも大きな利点です。iPadお絵描きの左手デバイスとして常用できる能力を持ちながらも、邪魔にならない2番手デバイスの位置にも立てることこそが、本機の真骨頂といえるでしょう。

ITmedia PC USER

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