「Galaxy S24」と「Galaxy S24 Ultra」は何が違う? 実機を試しながら比較した

2024年4月13日(土)10時5分 ITmedia Mobile

Galaxy S24はハイエンドモデルながらコンパクトで持ちやすい

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 サムスン電子のフラグシップモデル「Galaxy S24」と「Galaxy S24 Ultra」は、兄弟機ながら性格が大きく異なる2モデルだ。どこが違ってどこは同じなのか、機種選びのポイントを確認していこう。
 大まかにいえば「ほとんどの人にはGalaxy S24がおすすめ。カメラかペン機能にこだわるならGalaxy S24 Ultraを選ぶべき」だ。Galaxy S24 Ultraの方が上位版と位置付けられているため、基本的には性能が高く機能が豊富だ。一方で、価格や重さというデメリットもある。
●ディスプレイはGalaxy S24の性能が向上、違いは解像度のみに
 両機種ともハイエンドモデルらしく、手触りに高級感がある。背面はマットな質感になっており、背面は磨りガラスを採用し、部屋の光源を柔らかく反射する。デスクでの見栄えが良く、存在感がある。
 Galaxy S24は、スマホの一般的な機能を全て網羅しつつ、軽量でコンパクトという王道をいく1台だ。画面サイズは約6.2型、横幅は70.6mm、重量は約167gとなる。高性能なスマホながら、片手操作がしやすいサイズ感だ。ポケットに入れてサッと取り出す、起動性重視な使い方がしやすい。カラーはアンバーイエロー、オニキスブラック、コバルトバイオレットと、華やかな3色を展開する。
【訂正:2024年4月17日10時35分 初出時、横幅の単位が誤っていました。お詫びして訂正いたします。】
 Galaxy S24 Ultraは大画面に高倍率ズームやペン機能を詰め込んだ、機能追求型のフラグシップモデルだ。6.8型で横幅は79mm。重量は232gと、ズシッとくる重さがある。片手でスマホを支えつつ、ペンをポインティングデバイスとして使う両手操作を多用することになるだろう。カラーはチタニウムブラック、チタニウムグレー、チタニウムバイオレットという渋めの3色展開。その名の通り、チタニウム素材を採用し、剛性を保ちつつ軽量さを維持している。バイオレットは販路が限られているが、側面フレームと背面のミスマッチが楽しい配色になっている。
 前作ではディスプレイのスペックに差があったが、今作ではGalaxy S24のディスプレイ性能が向上している。
 一方、Galaxy S24 Ultraは前作までのエッジディスプレイをやめている。フラットな形状のディスプレイになったことで、端末の端までペンで書き込みやすくなった。
 結果として、両者のディスプレイの違いはサイズと解像度のみになっている。色表現に優れた有機ELディスプレイで、S24も1Hz〜120Hzの可変駆動(滑らかな表示)が可能になった。最大輝度がS23の1760ニトから2600ニトに高まったことで、炎天下でも見やすくなった。
 Galaxy S24 Ultra/S24ともに外観デザイン上で気になるのは、カメラ部分の出っ張りだ。背面の中央ではなく、左上にカメラの大きな突出がある。ノギスで実寸法を測ってみたところ、S24で約1.4mm、S24 Ultraは約2.09mmもあった。机に置いて操作するとぐらぐらと揺れて気になってしまう。このぐらつきが気になる人は、別売のケースを併用すると良いだろう。
【訂正:2024年4月15日15時40分 初出時、スペックの一部に誤りがありました。また、ディスプレイのスペックを追記しました。おわびして訂正いたします。】
●Galaxy AIはどちらも同等
 サムスンが今回大々的にアピールしている「Galaxy AI」は、Galaxy S24/S24 Ultraの両方で利用できる。Galaxy AIには、通話のリアルタイム翻訳、ボイスレコーダーの自動文字起こし、ブラウザの要約、生成AIによる画像のジェネレーティブ塗りつぶし、ノートアプリの要約機能などがある。
 なお、サムスンはGalaxy AIの機能をGalaxy S23シリーズやGalaxy Z Fold5/Flip5、Galaxy S23 FEなどに展開するとしている。Galaxy AIの多数の機能のうち、どの機能が対象となるかは現時点では不明だが、サムスン広報担当によると「ほとんど全てが対象となる」という。Galaxy AIが目当てなら、旧世代モデルのGalaxy S23の方も機種選びの候補に入れるべきだろう。
●Sペンを利用できるのはGalaxy S24 Ultraのみ
 Sペンは、今シリーズでも上位モデルのGalaxy S24 Ultraのみ利用できる。Galaxy S24 Ultraではプリインストールの「ノートアプリ」を通じて手書きでメモを取ったり、ペンタブレットのように簡単なスケッチを記録したりできる。
 Sペンを本体から取り出すと、すぐにメモを取ったりスケッチしたりできるショートカットメニューが表示される。まるで手帳とペンを取り出すかのように、スマホ上でサッと手書きメモを作成できるのだ。
 Sペンは原稿に赤字を入れたり、スケッチ帳を作ったりするとき以外にも役立つ。何かを書くだけでなく、画面から少し離した状態で動作するポインティングデバイスとして利用できる。つまり、画面をタッチせずにSペンを動かすだけで、カーソルが表示され、スクロールなどの操作もできる。例えば写真編集アプリの細かなパラメーター調整でも、タッチ操作だと動きすぎてしまうような繊細な調整ができる点が便利だ。
●パフォーマンスは共通だが、ミリ波帯はGalaxy S24 Ultra限定
 パフォーマンスに関する部分では、両機種に大きな差はない。プロセッサは共通で、Qualcomm製のSnapdragon 8 Gen 3 for Galaxyを搭載する。メモリ(RAM)はGalaxy S24が8GBに対してS24 Ultraは12GBと差があるが、S24 Ultraはペン入力の処理もある。体感できる差は大きくない、10年前のスマホのイメージとは違って、2〜3年程度なら快適に使い続けることができるだろう。
 なお、5Gのミリ波帯はGalaxy S24 Ultraのみがサポートしている。ミリ波は空港や主要駅などにスポット的に設置されることが多く、カバーエリアは狭いがつながると高速に通信できるという特性がある。都心部で積極的にスマホを使う人なら、ミリ波対応のGalaxy S24 Ultraを選ぶ意味はある。
●「夜景×ズーム」に強いGalaxy S24 Ultraのカメラ
 メインカメラはどちらもGalaxy S24が3眼、Galaxy S24 Ultraが4眼だ。高画素なメインカメラと、超広角と望遠の領域を担当するサブカメラが連動する、ハイエンドスマホでは一般的な構成となっている。
 どちらも夜景に強く高倍率ズーム時の性能も優れている。その中でもGalaxy S24 Ultraは特に強化されている印象だ。
 Galaxy S24 Ultraの広角レンズは2億画素センサーを搭載し、劣化を生じない2倍クロップズームが可能だ。望遠側には3倍領域を担当する1000万画素カメラと、5倍以上の領域を担当する5000万画素のサブカメラを備えている。また、オートフォーカス用のセンサーもS24 Ultraのみが備えており、暗所撮影時のブレにも強い。
 こうしたカメラ性能アップの結果、Galaxy S24 Ultraは光学5倍ズームで8K撮影が可能となっている。高解像度の動画を安定して記録できるという点では、唯一無二の存在といえる。
 一方で、Galaxy S24は、メインカメラが広角5000万画素、超広角が1200万画素、望遠カメラが3倍相当で1000万画素という構成となっている。
 2機種の差が現れるのは、遠くの被写体をくっきりと撮影するズーム撮影時だ。特に夜間や屋内のような、明暗差が大きいシーンで違いが現れる。
 例えばライブ会場はそのいい例だ。国内のコンサートでスマホによる録画録音は禁止されることが多いが、海外のライブでは「スマホのみ撮影OK」となっていることがある。こうした会場で撮影しようとなると、遠くのステージを大きく写す必要があるが、屋内でズームを効かせて撮るとなると、ぼやけてしまったり、暗い写りになったりする。こうした会場での撮影においてGalaxy S24 Ultraは最も適している。同様に、例えばドーム球場で野球選手を撮影したいというときも同様だろう。
 カメラ性能の向上は、Galaxy S24 Ultraと前世代モデル(Galaxy S23 Ultra)の差分ともなっている。Galaxy AIの機能の大部分は前世代モデルにも投入されるため、あえてGalaxy S24 Ultraを選ぶ理由があるとしたら、優れたカメラ性能が決め手となるだろう。
●直販版、サポート長期化も判断要素に
 例年のドコモ、au版に加えて、Samsungオンラインストアでの直販も展開する。直販がキャリア発売と同時に開始されるのは今回が初めてだ。
 Samsungオンラインストアでの価格(税込み、以下同)はGalaxy S24 Ultraが18万9700円から、Galaxy S24が12万4700円から。直販モデルは一括払いの価格が割安に設定されている。携帯キャリアの購入プログラムは2年後の端末返却が前提となっているが、それを利用せずに端末を手元に置いておきたい場合には直販モデルが適しているだろう。
 Galaxy S24シリーズの発売に伴い、OSアップデートの提供期間が最大7年に延長された。一方で、サポート期間が4年の前世代モデルであるS23シリーズも並行して販売される。この状況下で、消費者は自分のニーズに合わせて購入時の選択肢を検討することになる。
 買い切りで使う場合は、価格が下がった前世代モデルのS23シリーズを選ぶのも1つの魅力的な選択肢だ。しかし、アップデート提供期間の差異も考慮するべきだろう。Galaxy S23シリーズは残り3年のサポートしか受けられないのに対して、S24シリーズは発売から7年間のアップデートが約束されている。このOSアップデート期間の延長により、最新モデルの再販価値はより下落しづらくなる可能性もある。
 従って、1台のスマホを長く使い続けたい場合や、再販価値の維持を期待するなら、価格差を考慮した上でも最新のGalaxy S24シリーズを選ぶべきだろう。一方、アップデートや再販価値にこだわらず、お手頃な価格で高性能なスマホを使いたいならば、価格が下がった前世代モデルのS23シリーズも魅力的な選択肢となるだろう。
(撮影協力:市川市動植物園)

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