ガストの「テーブル決済」をPayPayで試してみた 便利だけど思わぬワナも
2024年4月14日(日)12時28分 ITmedia Mobile
●注文から会計までをテーブル上で行える
冒頭、簡単にサービスの内容を紹介したが、手順の前にまずはサービスの概要をもう少し詳しく述べたい。
すかいらーくホールディングスでは、店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進する取り組みの中で、ガストをはじめとする主要ブランド全店舗に卓上タブレットを設置した。このタブレットは本来、紙のメニューに置き換わる形で、導入されたもの。店舗で提供されているフード、ドリンクなどを一覧で確認できる他、注文を行う際に使用する。
これまでは来店からテーブルでの注文までが人を介さずに行えたが、2024年4月現在はテーブル決済により会計もテーブルで行える。ここからは実際の使い方を説明する。
●実際の手順は? 支払いはスムーズ?
最初にタブレットを操作する。卓上タブレットが点灯していればトップのメニューを表示させ、消灯している場合は備え付けのケーブルを接続して充電する、またはディスプレイにタッチして点灯させよう。
トップメニューが表示されたら、「注文履歴/テーブル決済」をタップする。「注文履歴」が表示されたら、自分で注文したメニューかどうか、個数、金額が合致するかを確認し、右上の「PayPayでお支払い」をタップする。
その後、「PayPay決済の注意事項」が表示されるので、記載の文言をよく読み、「次へすすむ」をタップする。「お支払い合計金額をご確認ください」というページに切り替わるので、合計金額を確認し、右下の「次へすすむ」をタップする。
続いて「お会計用のQRができました」と表示されるので、ディスプレイ中央に表示されるQRコードをスマートフォンのカメラかPayPayアプリでスキャンする。タブレットのディスプレイの右下にある「お会計を中止する」を選択せずに会計を完了した場合は、キャンセルができないので注意しよう。
会計はこれで終了になるのだが、退店前にテーブルの伝票を入り口付近の「伝票専用ボックス」に入れる。
手順はスムーズだと感じた。タブレットにはイラスト付きで注意事項などが具体的に明記されており、UIそのものは分かりやすいと感じた。ゆえにスムーズに会計できた。
●食い逃げにはならない? 実体験で浮き彫りになった懸念点
一方で、下記のことはできないため、困る人は少なからずいるだろう。
・ポイントの付与と利用
・優待券、割引券の利用
・レシートと領収書の発行
・個別会計
ポイント付与と利用については、PayPayでの決済時に付与されるポイントではなく、dポイント、Tポイント、楽天ポイントの付与/利用が不可という意味だ。いわゆるポイントの二重取りはできないし、コード決済サービスではなくポイントのみで会計したい人にとっても、現状のデメリットといえる。
なお、すかいらーくホールディングス広報によると、「2024年度中にすかいらーくアプリでのクレジット決済や、dポイント、Tポイント、楽天ポイントの進呈が可能になる」ため、現状のデメリットは解消されるはずだ。
領収書は経費精算の際に必要とする人もいるので、これが発行されないとなると、困る人がいるだろう。
個別会計ができないのもデメリットの1つだろう。例えば、複数人で来店し、会計を分けることはできない。どうしてもの場合はPayPayのグループ内でPayPay残高を送り合うことが可能な「グループ支払い(わりかん機能は2023年5月31日で終了)」を利用するか、複数人のうちの1人が1つのPayPayアカウントでまとめて会計をするしかない。
実は上記の他にも困ったことがあった。
それは会計前に皿を片付けられたことで、未払いのままとなり伝票もどこかへ持ち去られてしまったこと。店舗スタッフとの交渉の結果、伝票を返却してもらい、タブレットで決済完了まで進めたため、二重会計にはならなかった。せっかくタブレットがあるなら、何らかの理由で席から離れているものの、食事中である旨の記載はできないものだろうか。DX化とは名ばかりにユーザーへの配慮不足と受け取れる。
この1件でもう1つ懸念したのが──食い逃げ──につながらないのかという点。会計前に席を離れて皿を片されたということは、それを逆手にとって食い逃げする人が出てくる恐れがある。防犯カメラはあるので、食い逃げか否かは確認できそうだが、店舗によっては死角になりそうな場所がある。
ちなみに、今回、退席時にタブレットが「会計前ですので席を離れないでください」「トイレへ行く場合は食事中のボタンを押してください」などという文言とともにアラートを出す機能はない。他の大型店舗でも同じくテーブル決済を利用する前にトイレへ行ったが、それでもアラートは表示されなかった。
●最大のメリットは会計時に「店員とのやりとり」を省けること
ここまでの所感をまとめると、注文から決済までをタブレットで行える点が最大のメリットだ。卓上タブレットにPayPayの決済システムが導入されることにより、PayPayユーザーは混雑する時間帯などにおいてもレジに並ばずに会計できる。
ポイント利用や個別会計などができないことは重要な留意点といえるが、それ以前に食事中かつ会計前に席を離れることは少なからずあるはずなので、すかいらーくホールディングス側にはタブレットの改善について見直してほしい。
なお、すかいらーくホールディングス広報によると、「テーブル決済で利用できる決済サービスに楽天ペイが4月中に追加される」ので、楽天ペイユーザーにとって朗報だ。