FinOpsを実践するメルカリ、その道のりと気づき、今後の展望 - 前編

2024年4月18日(木)13時0分 マイナビニュース

「FinOps(フィンオプス)」。数年前に概念が登場したもので、クラウドのビジネス価値の最大化、データ主導によるタイムリーな意思決定、部門横断の連携でクラウド支出に財務上の説明責任をもたらすためのフレームワークを実践することを指す。
しかし、国内では公開事例は多くなく、組織的に実践している企業が少ないのが実情だ。しかし、注目を集めているのは事実であり、ともすれば「コスト削減」と思われがちだが、その主眼はあくまでも「ビジネス価値の最大化」に置かれている。
今回、国内でも数少ないFinOpsを実践し、専任チームを設けているメルカリの事例について、同社 Engineering Managerの風間勇志氏と、同 Platform Infra Teamの中田健誠氏、そして現在、弊誌で連載「はじめてのFinOps」を執筆している、ネットアップの小原誠氏を聞き手とした対談を前後編で紹介する。
前編となる今回は、メルカリにおけるFinOps導入までの道のりに加え、FinOpsの体制、社内のステークホルダーとのコミュニケーションについての話だ。
チャレンジングだが難しい側面もあるFinOps
小原氏(以下、敬称略):まずは、自己紹介からお願いします。
風間氏(同):メルカリでEngineering Managerをしています。約4年前に入社し、FinOpsの専任チームのマネージャーです。かれこれ15〜20年程、ソフトウェア開発とEngineering Managerをしていますね。また、「Japan FinOps Meetup」のオーガナイザーもしています。
中田氏(同):新卒で2年前にメルカリに入社し、プラットフォームチームで共通基盤の開発などを行っています。メルカリでは1つのプラットフォームにサービスの大半が載っており、横串で全体の最適化を行えることから、FinOpsの活動に最もコントリビュートしているチームのうちの1つです。最適化のためのツールを開発し、Kubernetesのコミッターでもあります。
小原:私はネットアップに入社して4年目になります。ネットアップが2020年に買収したSpotという企業の製品をお客さまに紹介する中で、FinOpsに出会いました。原稿の執筆なども行い、風間さんとはJapan FinOps Meetupで初めて会いしました。
はじめに、メルカリさんのクラウド活用の現状から伺えればと思います。風間さんの部署で取り組みをされているFinOpsの活動は、グループ全体が対象でしょうか?
風間:メルカリはグループ会社で構成されていて、株式会社メルカリとその連結子会社で構成されており、全体はメルカリグループと呼んでいます。フリマアプリを提供するマーケットプレイス事業、メルペイやメルコインなどを提供するFintech事業と大きく2つあります。創業当初から複数のパブリッククラウドサービスを活用しています。
メインで利用しているクラウドはGoogle Cloudで、FinOpsの活動は基本的にGoogle Cloudに関するものです。グループ会社の事業に応じて、Microsoft AzureやAWS(Amazon Web Service)も利用しています。グループ全体にFinOpsを波及させることはチャレンジングでもあるし、逆に難しい側面もあります。
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