Jackery新製品に見えた、ポータブル電源の新戦略&新トレンド

2024年4月19日(金)22時20分 マイナビニュース

Jackeryが“ちょうどいいポータブル電源”とうたう新製品「Jackery ポータブル電源 600 Plus」を発表しました。昨今の世間のニーズや変化を反映し、これまでのポータブル電源にはない新しいトレンドがいくつか見受けられました。
2種類のソーラーパネルで高まる防災需要をにらむ
4月22日に発売する「Jackery ポータブル電源 600 Plus」の新しいトレンドの1つとして挙げられるのが「ポータブル電源単体ではなく、ソーラーパネルとのセットモデルを主力に販売する」こと。災害などの停電時でもソーラーパネルがあれば日中に電力を生み出せることの認知や需要が広まっていることを受け、それぞれを単品で購入するよりも1万円前後安く済むソーラーパネルとのセットモデルをメインで販売します。
セットモデル重視の姿勢は、サイズや特徴の異なる2種類のソーラーパネルを用意し、持ち運びや収納など好みに応じて選べるようにしたことに現れています。最大出力はいずれも100Wで共通ですが、オーソドックスな2つ折りのちょっと大きいタイプと、パネルの裏表両面で発電ができる4つ折りのコンパクトタイプの2種類をラインナップします。
トレンドの2つ目が、容量の大きさよりも持ち運びやすさを優先したサイズに仕上げたこと。容量は632.3Wh、定格出力は800Wとあえて控えめにし、重さを約7.3kgに抑えて女性でも片手で持てるサイズにしています。このあたりは「大きくて持ち歩けないものは買っても意味がない」という声に対応したといえます。
トレンドの3つめが、キャンプなどのアウトドア用途ではなく災害への備えを中心に訴求していくこと。パンフレットでも、スマホの充電は約24回、ノートPCの充電は約5回、LEDライトの使用は約50時間、電気毛布の使用は約8時間と、災害などの停電時に使いたい機器がどれだけ使えるかを紹介しています。
災害への備えにシフトしたのは、1月に発生した能登半島地震での経験もあるそう。会社創立以来初めての大震災を受け、Jackeryはポータブル電源やソーラーパネルなどの支援を実施。3月に被災地入りして被災者に話を聞くと、多くの人が「ポータブル電源は一家に一台必要だと感じた」と口々に述べたそう。それもあり、防災を重視する方針にしたそうです。
4つめのトレンドが「フェーズフリー」です。フェーズフリーは、身の回りにあるモノやサービスを平常時だけでなく非常時にも役立てよう、という考え。ポータブル電源を防災用として購入したはいいものの、買ったままで充電していなくて容量がなかった、初めて開けたので使い方が分からない、充電用のケーブルがなかった、ということにならないよう、フェーズフリーでふだんから活用することを勧めています。ふだんから使うことでフル充電の状態がキープでき、手持ちの機器に対応したケーブルを準備しておけるメリットがあります。
ポータブル電源を買わない理由を徹底的につぶした
そんなトレンドの変化に対応して投入したJackery ポータブル電源 600 Plus、これまでのポータブル電源の主力モデルよりも出力や容量は小さいものの、購入者の満足度を高める要素を強化しています。
その1つが「長く使える」「長期保管に向く」ということ。内蔵バッテリーは自然放電が少なく安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池で、約4,000回の充放電が可能なので。毎日充放電しても10年間は使えます。さらに、スマホアプリでバッテリー節約モードにすると、バッテリーをフル充電ではなく85%の容量に抑え、バッテリーの寿命が約1.5倍に延ばせる工夫も盛り込んでいます。
Jackeryの調査では、ポータブル電源の認知度は76%にまで高まったものの、保有率は1割にも満たない8.2%にとどまるそう。「ポータブル電源を知っているけれど買わない理由として、価格の高さ、置き場所がない、重くて持てないの3つの要素が上位を占めている。今回の新製品は、それらの欠点を解消したバランスのよいモデルに仕上げた。新しい防災の相棒として、多くの家庭に導入してもらいたい」(Jackery Japanの平松孝太氏)
ソーラーパネルとのセットモデルをおトクな価格で提供するのは、2本の交換レンズが付属するダブルズームキットがファミリー層に大ヒットした「EOS Kiss DIGITAL」などのデジタル一眼レフカメラに通じるマーケティング戦略だと感じます。年明けから災害続きの2024年、“停電になっても困らない、ちょうどいいポータブル電源”が多くの家庭に響くか注目です。

マイナビニュース

「トレンド」をもっと詳しく

「トレンド」のニュース

「トレンド」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ