「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」レビュー。Lunar Lake搭載、Copilot+ PC準拠モデル

2025年4月24日(木)9時55分 マイナビニュース


レノボ・ジャパンのビジネス向けノートPCの「ThinkPad」。その中でも最上位に位置付けられる「ThinkPad X1シリーズ」で、モバイル向けのマスターピースとなるのが「ThinkPad X1 Carbon」です。今回、ThinkPad X1 Carbonの最新モデルとなる「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」を試す機会を得たので、レビューをお送りします。
ちなみにこのThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition、発売自体は2024年9月から構成を固定したモデルで開始されており、2025年3月からは直販サイトでCPUやメモリを変更できるカスタマイズモデルが登場しました。今回扱うのはカスタマイズモデルで、2024年9月当時には選べなかった構成の実機を試していきます。
○外観をチェック
まずはThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionの基本仕様から確認していきます。レビュー機はOSにWindows 11 Pro、CPUにはIntel Core Ultra シリーズ2の「Core Ultra 268V」、メインメモリは32GB、SSDは1TB、ディスプレイは14インチの液晶パネルで、解像度はWUXGA(1920×1200ピクセル)です。
レノボ直販サイトでは構成のカスタマイズも可能で、例えばディスプレイに有機ELパネルを選ぶと本体重量が1kgを切る最軽量構成を選択することもできます。
ボディカラーはThinkPadお馴染みのマットブラック。ただのつや消しではなく、さらっとした表面仕上げになっているので手触りもよく高級感があります。難点をあげるとすれば指紋など皮脂汚れが目立ちやすく、さらっとした質感なのでウエスなどで拭き取りづらいかもしれません。
ディスプレイの表面もマット仕上げです。明るさも最大500ニトと明るく、色域も広く発色は鮮やかです。ビジネスノートのディスプレイに多い「ちょっと白っぽいディスプレイ」ではなく、デスクトップPC向けのモニターのような鮮やかな発色なので、映像視聴や写真の表示や編集でも不満なく利用できそうです。
外部接続端子も充実しています。本体左側面には充電端子も兼ね、Thunderbolt 4にも対応するUSB Type-Cが2つ。さらにUSB Type-Aも1つあります。そして右側面にはHDMI出力ポート、USB Type-A、マイク入力・オーディオ出力端子があります。また、電源ボタンも右側面にあります。
USBポートはどれもディスプレイ寄りの位置にあるため、例えばマウスを繋いで使う際に、他の機器のケーブルに干渉して使いづらくなることもありません。USB Type-Aも左右に1つずつ配置されているため、機器を繋いだ際のケーブルの取り回しもしやすく好印象です。
キーボードはフルサイズキーボードで、打鍵感が好評なThinkPadらしく薄型の本機であっても底打ち感もなく良好です。エンターキー周りの一部キーが小さい点は慣れが必要かもしれません。
要注目である変更点として、キーボードの一部ボタンは従来モデルから役割が変わっています。右下のPrintScreenキーは「Copilot+キー」に、その右隣のCtrlキーは「指紋認証キー」に変更されています。また、左下の「Ctrlキー」「Fnキー」が入れ替わり、一般的なノートPCと同一の配置に変更もされています。
なお、CtrlキーとFnキーはUEFIから役割を入れ替えることは可能なので、従来のThinkPadの配列通りに使いたい場合は設定を変更すれば違和感なく使うことが可能です。
ポインティングデバイスはトラックパッドに加え、ThinkPadシリーズお馴染みの“赤ポチ”こと「トラックポイント」も備わっています。トラックパッドは物理的には押し込めない、ただ押したようなフィードバックがある「触覚タッチパッド」が搭載されています。
触覚タッチパッドを選択した場合、トラックパッド上部にある「トラックポイント操作時に利用するクリックボタン」も物理ボタンからトラックパッド一体型に変わるため、正直なところトラックポイント派には使いづらいと感じました。直販サイトでの構成変更時、従来型のトラックパッド・クリックボタンを選択することもできますが、従来の操作感が気に入っているユーザーはうっかり希望のものでない方を選んでしまわないよう注意が必要です。
また、本モデルではなく、先代の「ThinkPad X1 Carbon Gen 12」からの変更点になりますが、ディスプレイ上部のカメラ部分が出っ張ったデザインに変更されています。「コミュニケーションバー」と名付けられた出っ張りは若干野暮ったく感じられましたが、指をかけるようにするとディスプレイが開きやすくなっており、機能性としては優秀だと思います。
搭載されているWebカメラは標準で1080pと高解像度で、Windows Helloの顔認証にも対応しています。またプライバシーシャッターも搭載されているので、使わないときは物理的にカメラを塞ぐこともできます。
本体重量は最軽量構成で約986g。最軽量構成を選ぶにはディスプレイに有機ELを選択する必要があります。今回のレビュー機は液晶パネルなので、この場合の重量は約1.1kgです。実際に計量すると1,103gと、ほぼスペック値通りの重量でした。
ACアダプタは出力65W、出力端子はUSB Type-Cのタイプで、重量は256gでした。直販サイトではよりコンパクトな65W ACアダプタも選択することができますが、今回の標準のACアダプタでも十分小型、計量なので、持ち運ぶ頻度でどちらを選ぶか決めるといいでしょう。
ThinkPadは標準でインストールされているソフトウェアの少なさも魅力に挙げられますが、敢えてプリインストールされているソフトウェアから使ってほしいと思うのが、専用ユーティリティの「Lenovo Commercial Vantage」です。
日常的に使っていくにあたってチェックしたいのは、レノボから配信されるデバイスドライバやUEFI(BIOS)の更新を受け取り、アップデートを行うことができる点。Windows UpdateではなくLenovo Commercial Vantage経由でないと配信されないアップデートもあるため、定期的に確認するのがおすすめです。
また、ThinkPadのハードウェア不調の診断も行うことができます。設定に起因するものなのか、ソフトウェアやハードウェアの故障なのかを判断できるため、何か調子がおかしいと感じたときはもちろんのこと、こちらも日常的に診断を走らせ、ThinkPadの健康診断を行っておくと長く安心して利用できるでしょう。
その他にもThinkPadの便利な機能のオン・オフも、Lenovo Commercial Vantageから行うことができます。インテリジェント・コントロールや効率の最適化では、PCの使用状況にあわせ消費電力の調整やファンの回転数の調整を行い、より長時間のバッテリー稼働や、パワーがほしい場面で最大性能を発揮できるような、人手には難しい調整を行ってくれます。
キーボードの「ファンクションキー」に割り当てる機能の変更や、スリープ状態でUSBに繋いだ機器に電源供給を行うかといった、使い勝手を調整する機能の設定も行うことができます。 Windowsのセットアップやいつも使うソフトウェアのインストールとあわせ、Lenovo Commercial Vantageで好みの設定にしていくことも、ThinkPadを使いやすくするために必須のお作法です。
○最新世代のパフォーマンスをベンチマークテストでチェック
最後にThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionのパフォーマンスを、各種ベンチマークソフトを利用し確認しました。
比較用に2021年発売「ThinkPad X13 Gen 2」、2023年発売の「FMV LIFEBOOK UH(WU2/H1)」でも同じテストを実施した際のスコアを掲載します。
ThinkPad X13 Gen 2はCPUがCore i7-1165G7、メインメモリが16GB。比較対象のFMV LIFEBOOK UHはCPUがCore i7-1360P、メインメモリが32GBと、ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionからそれぞれ「2年毎かつ、2世代ずつ前のモデル」となり、ここ数年でのパフォーマンス向上がわかりやすいかと思います。
テストにあたっては、Windowsの電源設定でプロファイルを「バランス」に設定し、ACアダプタに接続した状態で行っています。
まずは3Dレンダリングを通じCPUの処理能力をテストできる「CINEBENCH R23」を実行し、ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionに搭載された最新世代のCPU「Core Ultra 7 268V」の性能を確認しました。シングルコア、マルチコア共に前世代よりも伸びていて、CPU性能の向上を確認することができました。
続いてブラウザ上で動作する「Speedometer 3.0」を、Microsoft Edgeで実行しました。WebページやWebアプリケーションのレンダリングや応答性をテストする内容になっているため、同じブラウザで動作させた場合は純粋にPCの性能の違いがスコアとして確認できます。
こちらもThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionは、他の2台から最大で1.5倍近いスコアを記録しました。余談ですが、筆者が使っている自作PC(Core Ultra 7 265K・メモリ128GB)で計測したスコアとほぼ変わらず、ノートPCながらブラウジングであれば最新世代のCPUを搭載したデスクトップPCと同じくらい快適に利用できそうです。
続いてのテストは「PCMark10」です。ブラウジングやオフィスソフトの操作、簡単な画像編集やビデオ会議など、日常的なPC操作の快適度を計測することができます。
こちらのテスト結果でも最も良好なスコアを記録しました。特に4年前のThinkPad X13 Gen 2からは大きくスコアが伸びており、3〜5年程度でノートPCを買い替えるサイクルであれば「買い替えの効果が感じられるだけの性能向上がある」と、テスト結果が示しているといえます。
モバイルノートPCなのでゲームで遊ぶことは稀だと思いますが、内蔵されているGPUの性能をテストするため「3DMark」を実行しまました。3DMarkにはテスト項目がいくつも用意されていますが、定番の「Time Spy」「Fire Strike」「Night Raid」の3種でテストを行っています。
「Core Ultra 7 268V」に内蔵されているGPUは、新しいアーキテクチャの「Intel Arc」へと刷新され、従来モデルよりも性能が向上しています。実際のテスト結果も2倍近いスコアになったものもあり、GPU性能の向上を確認することができました。
最後に試したのは「ファイナルファンタジー14 ベンチマーク」です。解像度をフルHD(1920×1080ピクセル)でフルスクリーン、グラフィック品質は「ノートPC(標準)」「ノートPC(高画質)」「最高画質」の3パターンでテストを実施しました。結果は先程の3DMarkの結果に近く、設定次第では軽量なゲームであれば十分に遊ぶことができそうです。
最後にモバイルノートPCで処理能力と同じくらい重要視される「バッテリー稼動時間」を、PCMark10のバッテリーベンチマークでテストしました。テスト内容はブラウジングやオフィスソフトの操作、ビデオ会議など、先程のPCMark10の内容と同じ「日常的なPC操作」で、バッテリー稼働時間は20時間30分を記録しました。
実際の利用では多少短くなるかもしれませんが思いますが、日中、ずっと外に持って出て使う限りではACアダプタを携帯しなくてもバッテリー切れの心配はなさそうです。
○世代を重ね、成熟した1台
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionは製品名にある通り、ThinkPad X1 Carbonとしては13世代目です。
干支一周よりも長い期間、ThinkPad X1 CarbonというモバイルノートPCのマスターピースとして進化を重ねたモデルだけあり、最新世代でも筐体のクオリティや、最新のCPUを搭載してのパフォーマンスの高さなど、モバイルノートPCとしての完成度の高さが光る1台です。

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