通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位

2024年4月25日(木)15時39分 ITmedia Mobile

5Gビデオ体感でソフトバンクがを2024年も国内1位を維持

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 モバイル通信品質の調査・分析を行う独立系の調査会社Opensignalは、4月24日に国内における最新のモバイルネットワーク体感レポートを発表した。同日、報道関係者向けの説明会がオンラインで開催され、Opensignalの主席アナリスト、ロバート・ヴィルジコウスキー氏がレポートの内容を紹介した。
 分析の指標には、アップロードやダウンロードのスピードだけでなく、ゲームやビデオ、音声アプリなどのユーザーエクスペリエンス(体感)、エリアカバレッジや、ユーザーのネットワーク接続時間の割合を示す「利用率」「一貫した品質」(ユーザーが一般的なタスクを完了できる頻度)なども調査している。
●5Gビデオ体感でソフトバンクが1位、音声アプリの全体的な体感で楽天モバイルが1位
 最新の調査では、5Gビデオ体感でソフトバンクが2024年も国内1位を維持した。ただ、日本の5Gビデオ体感は世界でもレベルが高く、4キャリア全てが「非常に良い」カテゴリーにランクされている。また、5Gに限定しない全体的なビデオ体感では4キャリアの成績が非常に拮抗(きっこう)している。
 ビデオ体感は、Netflixなどの配信による映像視聴の体感を示すものだが、スポーツイベントなどのライブ映像の体感に関する調査も発表している。5Gライブビデオの体感ではソフトバンクが初めてトップになった。また、全体的なライブビデオ体感は、楽天モバイルとauの2社がほぼ同点でトップ。日本のキャリアの評価は全て58ポイント以上の「素晴らしい」カテゴリーにランクされている。
 5Gゲーム体感ではソフトバンクが1位だが、全般的なゲーム体感では、前回首位のソフトバンクを破り、楽天モバイルが1位となっている。
 音声アプリの体感は、LINEやWhatsAppのようなアプリの音声通話の体感を調査したもの。5G音声アプリ体感では、ソフトバンクとauがほぼ同点で2社が1位。全体的な音声アプリの体感では、前回勝者のNTTドコモを抜いて楽天モバイルが1位になった。
●5Gのダウンロードとアップロードの速度で楽天モバイルが1位に
 ダウンロードスピードでは、楽天モバイルが5Gのダウンロードスピードで200Mbpsを超えるスピードをたたき出して1位に。一方、auは3G、4G、5Gを含む全体的なダウンロード体感で1位になっている。
 楽天モバイルは5Gアップロードスピード、全体的なダウンロードスピードでも、かなりの差をつけて1位になった。
 「Availability」(利用率)ということで、ユーザーがネットワークに接続している時間の割合も調査している。5G利用率はauとソフトバンクが1位。一方、3G、4G、5Gを合わせた全般的なネットワーク利用率では、ドコモが1位を獲得した。
 「Consistency」(一貫した品質)は「ユーザーが一般的なタスクを完了できる頻度」とされているが、「つながらない」ことが少ないことと考えてもいいだろう。ソフトバンクが2年連続で1位を獲得している。
 また、ドコモは2回連続で5Gカバレッジ体感賞を受賞。日本の4キャリアはこのポイントが上昇しているという。
 各成績をまとめると、楽天モバイルが5つの章を単独で受賞し、2つの賞を他社とともに受賞。ソフトバンクは4つの賞を単独で受賞し、3つの賞を他社と一緒に受賞している。auは、ダウンロードスピード体感を単独で受賞。ドコモはカバレッジに関する2つの賞を受賞している。
 楽天モバイルは最も受賞数を増やしたキャリアで、受賞数7つとソフトバンクと同数になった。
 なお、Opensignalは地域別にも同様の賞を提供しているという。例えば、auユーザーは近畿地域で最速のダウンロード体感を享受しており、ソフトバンクの5Gのユーザーは同地区で5Gの利用率が一番高いという。また、四国地域の楽天モバイルのユーザーは、日本で最も一貫した品質を享受している。ヴィルジコウスキー氏によると、楽天モバイルはソフトバンクに先んじて地域別受賞数で首位になったという。
●空港のネットワーク品質が全国平均よりも劣る理由
 Opensignalは、日本の主要23空港におけるモバイルネットワーク体感を分析したレポートも発表した。同社は山手線内でも同様の調査を行ってレポートを発表したことがある。
 同社の分析では、日本の主要空港ではダウンロードスピード、5Gの利用率が日本の平均よりも高くなっている。一方、モバイルサービスの一貫した品質といった面では日本全国の平均よりも劣っており、「Time with no signal」(電波なし)の割合が全国平均の12倍も高くなっている。
 その理由として、ヴィルジコウスキー氏は「空港のインフラが原因と思われる」と述べた。「空港は比較的郊外にあること、建物内部に壁が多いこと、安全対策でモバイルの電波に干渉するものが多いということが考えられる」(ヴィルジコウスキー氏)
 また、23の空港における各キャリアの体感も分析している。
 ドコモはダウンロードスピード体感で1位、空港周辺の5Gアップロードスピードでは楽天モバイルが単独1位。auは音声アプリの体感で1位、ソフトバンクは空港周辺の5Gビデオ体感で1位となった。auは5Gの利用率と4G/5Gの利用率で1位になっている。
 この他にも、先日、アジア太平洋地域で行われたテイラー・スウィフトのコンサートにおけるモバイルネットワーク体感も分析している。
 オーストラリア、シンガポール、日本(東京ドーム)の体感を比較すると、東京ドームは最も「一貫した品質」が提供されており、通常の地域よりも東京ドーム周辺の方がより一貫した品質だったという。これは「トラフィックの増加に備えて、キャリアがきちんと対策を取っていたからだと思う」とヴィルジコウスキー氏は分析している。
 また、東京ドームは、オーストラリアやシンガポールの会場と比べて、イベント中に電波がない時間が短かった。
●ネットワークの仮想化はauと楽天モバイルがリード
 レポートの説明後、質疑応答も行われたが、その中でヴィルジコウスキー氏は、OpensignalはvRAN(仮想化無線アクセスネットワーク)に注目していると発言している。
 「日本の中で最もホットなトピックがvRAN。この実装と運用に関しては、auと楽天モバイルが先を走っている。日本は世界的に見てもオープンRANの実装で先陣を切っているので、われわれの分析でも注視をしている」(ヴィルジコウスキー氏)
 また、他のマーケットではローミングの体感を分析しているところもある。日本ではこれまで分析していないが、今後検討する余地が十分あるとコメントしていた。

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