「座っている時間が長い人」が知らぬ間に支払ってしまう「代償」とは?
「座っている時間が長い人」が知らぬ間に支払ってしまう「代償」とは?
現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。
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「座る時間が長い人」が注意するべきこと
身体的に活動不足と分類される基準は、5~17歳の場合、中高強度の有酸素性身体活動が1日60分未満、18歳以上の成人では、週150分未満とされている。
この基準が高すぎると思う人もいるだろうが、私たちの身体の仕組みを考えれば、これは実際に必要最低限の活動量だ。
私たち人間は一日を通して中強度の身体活動をするよう遺伝子的にデザインされている。
進化生物学によると、約200万年前、気候変動によって人類は森からより開けた生息環境へと移動せざるを得なくなり、チンパンジーのような食生活から狩猟採集生活への移行を余儀なくされた。
それにより、高度な有酸素性活動によって長時間中強度で身体を動かす必要に迫られた。
その結果として、空間ナビゲーション能力や運動制御能力を発達させ、記憶力や注意力、実行機能を高めることができた。
基本的に私たちの祖先は、生き延びるために認知力を駆使して狩猟採集生活をした持久系アスリートであり、それが運動やさまざまな身体の動きに対する神経反応を高めることにつながったのだ!
そして1950年代以降、研究者は座位行動について疑念と懸念を抱くようになった。
バス運転手に関する1953年の研究では、座っている時間が長い人たちの心疾患罹患率が身体活動が多い人たちの2倍にのぼることを明らかにした。
現代的な交通手段や電化製品などの便利なものを使わないアーミッシュ〔キリスト教のプロテスタントの一派〕社会で暮らす人々の健康状態に注目すると、テクノロジーが身体に及ぼす影響が見えてくる。
アーミッシュの人々が1日平均1万6000歩も歩くのに対し、平均的な米国人の1日当たりの歩数はたったの5000歩だ。
動かないのは確かに楽だが、私たちはその代償を払っている。
(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)
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