看護師の約8割が「訪問看護をしたいと思わない」―「医師に頼れない」「知らない人の家に行くのは……」など戸惑いの声
厚生労働省は2017年末に、質の高い訪問看護の報酬を手厚くする基本方針を発表した。今後、訪問看護師の需要はますます高まると考えられている。しかし当の看護師で訪問看護に興味のある人はあまりいないようだ。
IT企業のレバレジーズは1月17日、看護師の「訪問看護の仕事」に関する意識調査の結果を発表した。調査は昨年12月にインターネットで実施し、看護師の男女957人から回答を得た。
興味があるのは30〜40代 「スキルや経験を身に付けた看護師が興味を示す傾向」訪問看護への興味を聞くと、「興味がある」「やや興味がある」と回答した人の合計は32.7%。一方、「興味がない」「あまり興味がない」と回答した人は合計67.3%となった。
現在の勤務先別に見ると、「興味がある」の割合が最も多かったのは「介護施設勤務」(合計35.1%)で、僅差で「病院勤務」(33.3%)となった。しかし「クリニック勤務」は17.3%に留まっている。
また年代別に見ると「興味がある」の合計が、20代(28.7%)、30代(34.9%)、40代(37.0%)と増加傾向にある。同社は「看護師としてスキルや経験をある程度身につけた30代、40代の中年層に訪問看護への興味を示す割合が高い傾向」とコメントしている。
懸念は「記録などが大変で残業が増えそう」「患者家族との関係性」しかし、実際に訪問看護師として働いてみたいかを聞くと、「そう思う」「ややそう思う」の合計は23.5%に留まった。一方、「そう思わない」「あまりそう思わない」は合計76.5%と、8割近い看護師が拒否感を抱いているようだ。具体的に理由を聞くと、
「医師や介護士など周りに頼れる人がいないので、自分で判断して行わなければいけない。失敗したらどうしようと思う」
「急変時の対応」「病院とは違うシステムで未経験だから」
などといったスキルや経験の不足を挙げる人も多い。また、
「記録や計画書などが大変で残業が多くなりそう」
「何件回るのか?ノルマありか?件数でお金がきまるのか」
といった業務内容や待遇面に疑問を感じている人も少なくはない。そもそも「知らない家に行くこと」「患者様ご家族との関係」など関係性に戸惑いを感じる人もいる。看護師自身の訪問介護に対するハードルは中々高そうだ。
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