次世代3次元デバイスの原子レベルでの等方性加工に対応したDCRエッチング装置「9060シリーズ」を発売

PR TIMES2024年11月27日(水)17時16分

 株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)は、このたびDCR*1エッチング装置「9060シリーズ」(以下、本製品)を発売します。本製品は、日立ハイテクが保有するプラズマエッチング*2技術やノウハウを活用し、先端半導体デバイスで採用される高アスペクト*3 3次元構造などに対し、ドライ環境下で精密に制御された水平方向への加工(等方性エッチング加工)を実現する装置として開発しました。
 本製品の提供を通して、微細化および複雑化が進む最先端半導体デバイス製造プロセスの進化をサポートし、研究開発から量産段階に至るまで、お客さまの課題をともに解決していきます。

*1 Dry Chemical Removal(DCR):ドライ環境下での化学反応を利用し、縦横全方向にエッチングを進展させる方法
*2 プラズマエッチング:真空容器内でガスを乖離させ、イオンや化学反応を用いて微細パタ-ンを加工する技術
*3 高アスペクト:広義には長方形の縦横比を表し、ここではエッチング対象となるウェーハ上パターンの深さと幅の比(深さ/幅)を指す。高アスペクトはこの値が大きいことを意味し、値が大きくなると加工や計測が非常に困難になる。

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■本製品開発の背景
 半世紀以上にわたる半導体デバイスの微細化に伴い、集積回路の加工寸法は数ナノメートルレベルに到達しており、エッチング加工については原子層(オングストローム)レベルの加工制御性が求められるようになっています。また、半導体メモリーデバイスにおいては、高密度化のため3D-NAND構造*4や3D-DRAM構造*5など、素子構造の3次元化による集積度の向上が図られています。これに伴い、半導体メモリーデバイス製造におけるドライエッチングプロセスについては、従来の異方性エッチング加工(垂直方向のエッチング加工)に加えて、原子層レベルで精密に制御された等方性エッチング加工(水平方向に均一なエッチング加工)が求められています。
 本製品では、日立ハイテクが長年培ってきた低ダメージ・高精度なプラズマエッチング技術を維持しながら、原子層レベルでの等方性エッチング加工を実現することで、集積度の高い3次元構造の先端半導体製造における、お客さまの開発期間短縮、コスト削減、生産性向上に貢献していきます。

*4 3D-NAND構造:不揮発性フラッシュメモリーの一種で、メモリーセルを平面のみでなく垂直にも並べることでストレージ密度を高めたNANDフラッシュメモリー
*5 3D-DRAM構造:揮発性メモリーの一種。垂直方向にビットを格納することで高密度化を実現するもの

■本製品の特長
1.高スループット処理および装置の低フットプリント*6化の実現
 通常、ドライ環境下で化学反応主体の等方性エッチングを行う際、低温域でのラジカル*7吸着と高温域での熱脱離を交互に行う必要があるため、加熱と冷却に時間がかかってしまう課題がありました。この課題に対して、本製品では独自のウェーハ冷却機構と赤外線ランプを1つの真空リアクターに搭載することで、低温域から高温域まで被処理ウェーハ温度を短時間で変化させる機能を実現しました。これにより、さまざまな材料に対応した高スループットな等方性エッチング処理および装置の低フットプリント化を可能にしました。

*6 フットプリント:装置の占有面積
*7 ラジカル:不対電子を持つ原子や分子。反応性が高い特徴を持つ。

2.高精度な等方性加工を実現
 ウェーハ冷却機構と赤外線ランプを活用した加熱冷却による等方性加工に加えて、日立ハイテクの強みであるプラズマエッチング技術を活用することで、表面反応を高速かつ高精度に制御した等方性加工を実現しました。これにより、微細な3次元構造加工で要求されるパターン開口部やパターン底部の形状制御を原子レベルで行う技術の提供が可能になりました。

 日立ハイテクは、本製品をはじめとする高度なエッチング装置および技術を提供することで、お客さまの半導体デバイスの開発・量産における多様な加工ニーズに対応していきます。
 今後もプロダクトにデジタルを加えた革新的なソリューションをタイムリーに提供し続け、お客さまとともに新たな価値を追求・創造し、最先端のモノづくりに貢献いたします。

■日立ハイテクについて
 日立ハイテクは、医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体製造装置、分析機器、解析装置などの製造・販売に加え、モビリティ、コネクテッド、環境・エネルギーなどの産業分野における高付加価値ソリューションの提供を通して、幅広い事業領域においてグローバルな事業展開を行っています(2024年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は6,704億円)。強みである「見る・測る・分析する」というコア技術をベースに、事業を通してさまざまな社会課題解決および持続可能な社会の実現に貢献していきます。
 詳しくは、日立ハイテクのウェブサイト(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/ )をご覧ください。

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