丸山隆平、赦すことは「人が成長する1つの方法」 三浦大輔の新作で“ろくでなし”の芸能記者役に【インタビュー】
エンタメOVO2024年3月16日(土)8時0分
SUPER EIGHT(旧関ジャニ∞)の丸山隆平が主演する舞台、Bunkamura Production 2024「ハザカイキ」が3月31日から上演される。本作は、鋭い感性とリアルを追求した演出で、現代の若者の生態と人間の本質を描く、異才・三浦大輔の3年ぶりの新作。丸山は、国民的人気タレントと人気アーティストの熱愛疑惑を担当する芸能記者・菅原裕一を演じる。丸山に本作への意気込みや俳優業への思いを聞いた。
-三浦さんとは初タッグとなりますが、三浦さんの作品のどんなところに魅力を感じていますか。
出てくる登場人物が皆さん、ろくでなしというところですね。ろくでなしたちが現代というおりの中で必死にもがいて、自分の中の小さな革命を起こそうとしている。そんな人物が描かれることが多いところが魅力的だと感じています。その世界に入れると思っていなかったので、今回のオファーはとても光栄でうれしかったです。
-菅原裕一という役柄を演じることに対しては、どんな楽しみがありますか。
菅原がどういう人物なのかは、これから台本と向き合って作っていけたらと思いますが、自分の中にある菅原と共通する部分があれば、それを広げていければと考えています。三浦さんのろくでなし感を探りながら、役の中に投影できればと思います。
-脚本を読んだ、今の率直な感想は?
台本は、すごく面白いですよ。エンタメ性に富んだ群像劇になっています。それぞれ自分の中のろくでもない部分をどう打開するか、そこから最後まで逃げ切れるのか。どの人物もしっかりと描かれているので、世代関係なく楽しんでいただける作品になると思います。
-今回は、芸能記者という役柄を演じます。普段は、取材される側の丸山さんが取材する側を演じるという面白さもありますが、丸山さんは芸能記者にはどんな印象を抱いていますか。
芸能記者とはいっても、どこからどこまでなのか分からないでしょう? 一つの職業として考えると、霧の中を探るような感覚です。ただ、今回の物語の中では、もちろん撮る側の事情や撮られる側の心理というものも欠かせない要素ではあると思いますが、それ以上にその人物がアクションを起こしたことで人にどのような影響を及ぼすのかが大事になってくると思います。影響を受けた人物がどんなメンタルになり、どんな選択をするのかが描かれます。仕掛けた側も仕掛けられた側も、何かしら摩擦が起こるので、そうした人間の心理がどう変わって、どう終わるのかをライブ感とともに楽しんでいただけたらいいなと思います。
-今作のタイトルの「ハザカイキ」は、物事の入れ替わりの時期を意味しています。そうしたタイトルにはどんなイメージを持っていますか。
三浦さんと対談させていただいた時に、時代がどんどん変化していき、そのスピードにみんな追いついていないのに情報だけを詰め込んでいるというお話をされていました。何が分岐点で何が転機なのかも分からなくなり、ジャーナリズムと一般人の誹謗中傷との境界線、はざまがどんどんなくなってきたと。確かに、情報が多すぎて、本当に知りたい情報も分からなくなってきている気がします。僕もSNSで情報を取り入れた方が手軽だから新聞ではなく、SNSを見てしまうんですが、どこまでが本当か分からないと思う時もあります。今、便利な時代だからこそ自分の目で見て、自分が体感したことを信じて、惑わされない自分を持っていかないといけないと思います。今は、まさに時代の転機だと思います。とにかく自分の目で見て、自分で体感して、信じる勇気や信じる努力をしなくてはいけない。皆さん、そうした時代のはざまになっていますよ、と警鐘を鳴らされているような気がします。
-今回は、このカンパニーの座長となります。座長としての意気込みも聞かせてください。
まずは差し入れですね。おいしい差し入れをして、皆さんの胃袋やメンタルを癒やしたいと思っています。座長なりの高級なものを差し入れたいです。お肉や有名なお菓子だったり、滋養強壮に効く栄養ドリンクだったりを今は思い浮かべています。なぜ、僕がそうした差し入れのことばかり言っているかというと、舞台は座長が頑張れば成立するものではなく、みんなで作るものだからです。助け合って、みんなで作ろうと。僕は一座を背負って何かをすると空回ってしまうタイプなんですよ。グループでもリーダーを1回、やったことがあったのですが、その時に痛い目を見ているので、2度とそんなことはしないと思っておりまして(笑)。とにかく、自分の役に向き合って、役を構築していく姿をみんなと共有し、「こいつだったら任せられるな」ってちょっとでも思ってもらえたらいいかなと思います。現場で座長らしいことはできないと思うので、まずは、差し入れでみんなの心をゲットしたいと思います(笑)。
-三浦さんがこの作品についてオフィシャルコメントで「人が人に謝り、人が人を赦(ゆる)すことに関しての物語」と書いていましたが、丸山さんは「人を赦すこと」をどのようにとらえていますか。
以前に似たようなことをWebで書いたこともありますが、感情や思い出というのは、10割のうち7、8割が苦しいもので、残りの2、3割がいいことというバランスになっているのではないかなと思います。嫌なことがバンっときたら、ほかの嫌なことを1つ、2つ忘れる。つまり、人間の容量は決まっていて、何かを入れるためには入れるための空間が必要だったりするのかなと。そう考えると、何かを赦せない人が赦せるようになったとき、または謝ることができたとき、赦す側も赦される側もそこに埋まっていたものがふっと消える。そうしてできたスペースに良いことなのか、赦せたという自分に対する誇りなのか、そういうものが入る。一歩を踏み出すための赦しはすごく大きなものだと思うので、人が成長する1つの方法だったりもするのかなと思います。
-グループ活動や映像作品だけでなく、舞台でも存在感を発揮している丸山さんですが、舞台俳優として、これまでの経験で得たものと、これからもっと得たいと考えているものを教えてください。
今まで得てきたものは「場数」です。そして、今後得たいものも「場数」です。僕はまだ演劇人としては場数が全く足りないんですよ。恵まれていることに、これまで主演しかやらせてもらっていないのですが、それはある意味では不幸でもあって。主演としてできることもありますが、二番手、三番手だからこそ見られる景色もある。そういう意味でも、場数が欲しいです。それから、毎回、演目が変わればゼロからのスタートです。この間、これがうまくいったから今回もうまくいくなんて甘いもんじゃない。会社や部署が変わるというくらい違うものなので、とにかく場数と経験が必要だと思います。今回の作品でも30何公演も場数がいただけますので、自分の全てを引き出して、何ができて何ができないのかをもう一回確認し、自分の経験を拡張していきたいと思っています。
(取材・文・写真/嶋田真己)
Bunkamura Production 2024「ハザカイキ」は、3月31日~4月22日に都内・THEATER MILANO-Za、4月27日~5月6日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。
-三浦さんとは初タッグとなりますが、三浦さんの作品のどんなところに魅力を感じていますか。
出てくる登場人物が皆さん、ろくでなしというところですね。ろくでなしたちが現代というおりの中で必死にもがいて、自分の中の小さな革命を起こそうとしている。そんな人物が描かれることが多いところが魅力的だと感じています。その世界に入れると思っていなかったので、今回のオファーはとても光栄でうれしかったです。
-菅原裕一という役柄を演じることに対しては、どんな楽しみがありますか。
菅原がどういう人物なのかは、これから台本と向き合って作っていけたらと思いますが、自分の中にある菅原と共通する部分があれば、それを広げていければと考えています。三浦さんのろくでなし感を探りながら、役の中に投影できればと思います。
-脚本を読んだ、今の率直な感想は?
台本は、すごく面白いですよ。エンタメ性に富んだ群像劇になっています。それぞれ自分の中のろくでもない部分をどう打開するか、そこから最後まで逃げ切れるのか。どの人物もしっかりと描かれているので、世代関係なく楽しんでいただける作品になると思います。
-今回は、芸能記者という役柄を演じます。普段は、取材される側の丸山さんが取材する側を演じるという面白さもありますが、丸山さんは芸能記者にはどんな印象を抱いていますか。
芸能記者とはいっても、どこからどこまでなのか分からないでしょう? 一つの職業として考えると、霧の中を探るような感覚です。ただ、今回の物語の中では、もちろん撮る側の事情や撮られる側の心理というものも欠かせない要素ではあると思いますが、それ以上にその人物がアクションを起こしたことで人にどのような影響を及ぼすのかが大事になってくると思います。影響を受けた人物がどんなメンタルになり、どんな選択をするのかが描かれます。仕掛けた側も仕掛けられた側も、何かしら摩擦が起こるので、そうした人間の心理がどう変わって、どう終わるのかをライブ感とともに楽しんでいただけたらいいなと思います。
-今作のタイトルの「ハザカイキ」は、物事の入れ替わりの時期を意味しています。そうしたタイトルにはどんなイメージを持っていますか。
三浦さんと対談させていただいた時に、時代がどんどん変化していき、そのスピードにみんな追いついていないのに情報だけを詰め込んでいるというお話をされていました。何が分岐点で何が転機なのかも分からなくなり、ジャーナリズムと一般人の誹謗中傷との境界線、はざまがどんどんなくなってきたと。確かに、情報が多すぎて、本当に知りたい情報も分からなくなってきている気がします。僕もSNSで情報を取り入れた方が手軽だから新聞ではなく、SNSを見てしまうんですが、どこまでが本当か分からないと思う時もあります。今、便利な時代だからこそ自分の目で見て、自分が体感したことを信じて、惑わされない自分を持っていかないといけないと思います。今は、まさに時代の転機だと思います。とにかく自分の目で見て、自分で体感して、信じる勇気や信じる努力をしなくてはいけない。皆さん、そうした時代のはざまになっていますよ、と警鐘を鳴らされているような気がします。
-今回は、このカンパニーの座長となります。座長としての意気込みも聞かせてください。
まずは差し入れですね。おいしい差し入れをして、皆さんの胃袋やメンタルを癒やしたいと思っています。座長なりの高級なものを差し入れたいです。お肉や有名なお菓子だったり、滋養強壮に効く栄養ドリンクだったりを今は思い浮かべています。なぜ、僕がそうした差し入れのことばかり言っているかというと、舞台は座長が頑張れば成立するものではなく、みんなで作るものだからです。助け合って、みんなで作ろうと。僕は一座を背負って何かをすると空回ってしまうタイプなんですよ。グループでもリーダーを1回、やったことがあったのですが、その時に痛い目を見ているので、2度とそんなことはしないと思っておりまして(笑)。とにかく、自分の役に向き合って、役を構築していく姿をみんなと共有し、「こいつだったら任せられるな」ってちょっとでも思ってもらえたらいいかなと思います。現場で座長らしいことはできないと思うので、まずは、差し入れでみんなの心をゲットしたいと思います(笑)。
-三浦さんがこの作品についてオフィシャルコメントで「人が人に謝り、人が人を赦(ゆる)すことに関しての物語」と書いていましたが、丸山さんは「人を赦すこと」をどのようにとらえていますか。
以前に似たようなことをWebで書いたこともありますが、感情や思い出というのは、10割のうち7、8割が苦しいもので、残りの2、3割がいいことというバランスになっているのではないかなと思います。嫌なことがバンっときたら、ほかの嫌なことを1つ、2つ忘れる。つまり、人間の容量は決まっていて、何かを入れるためには入れるための空間が必要だったりするのかなと。そう考えると、何かを赦せない人が赦せるようになったとき、または謝ることができたとき、赦す側も赦される側もそこに埋まっていたものがふっと消える。そうしてできたスペースに良いことなのか、赦せたという自分に対する誇りなのか、そういうものが入る。一歩を踏み出すための赦しはすごく大きなものだと思うので、人が成長する1つの方法だったりもするのかなと思います。
-グループ活動や映像作品だけでなく、舞台でも存在感を発揮している丸山さんですが、舞台俳優として、これまでの経験で得たものと、これからもっと得たいと考えているものを教えてください。
今まで得てきたものは「場数」です。そして、今後得たいものも「場数」です。僕はまだ演劇人としては場数が全く足りないんですよ。恵まれていることに、これまで主演しかやらせてもらっていないのですが、それはある意味では不幸でもあって。主演としてできることもありますが、二番手、三番手だからこそ見られる景色もある。そういう意味でも、場数が欲しいです。それから、毎回、演目が変わればゼロからのスタートです。この間、これがうまくいったから今回もうまくいくなんて甘いもんじゃない。会社や部署が変わるというくらい違うものなので、とにかく場数と経験が必要だと思います。今回の作品でも30何公演も場数がいただけますので、自分の全てを引き出して、何ができて何ができないのかをもう一回確認し、自分の経験を拡張していきたいと思っています。
(取材・文・写真/嶋田真己)
Bunkamura Production 2024「ハザカイキ」は、3月31日~4月22日に都内・THEATER MILANO-Za、4月27日~5月6日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。
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