志穂美悦子さんがシャンソン歌手「鬼無里まり」としてデビューへ「結婚を機にアクション俳優を引退。夫・長渕剛のライブでもらうお花がきっかけで花創作家の道に」

2024年5月13日(月)10時45分 婦人公論.jp


知り合ったのは45年前だという、花創作家の志穂美悦子さん(左)と草笛光子さん(右)(撮影:天日恵美子)

花創作家の志穂美悦子さんが、芸名「鬼無里(きなさ)まり」でシャンソン歌手デビューすることが報道されました。アクション女優から花創作家の道に進むまで、草笛光子さんと語った『婦人公論』2024年1月号掲載の対談を再配信します。
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今回のゲストは、花創作家の志穂美悦子さん、かつてのアクション女優の姿そのままに、鍛え上げられた肉体美はいまも圧巻の一言です。志穂美さんの長女で、女優の文音(あやね)さんと共演したことで、草笛光子さんは志穂美さんに再会しました。会うたびに草笛さんは「生きる馬力」を感じるようで——(構成=篠藤ゆり 撮影=天日恵美子)

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アクションスターがお花の世界へ


志穂美 今日はゲストに私を呼んでくださって、とっても嬉しいです。

草笛 私もよ。私はずいぶん前からあなたを知ってるわよね。

志穂美 『熱中時代』のときだから、45年も前ですね。私は22歳。

草笛 あのとき、そんなに若かった? そのわりに貫禄があったわね。

志穂美 一応、小学校の先生役だったから(笑)。草笛さんは船越英二さん演じる校長先生の奥さんで。

草笛 うちに、あなたが下宿している設定だったのよね。

志穂美 よく覚えているのは、リハーサルの合間に草笛さんが必ずバレエのバーレッスンをされていたこと。

草笛 やだ、私、おかまいなしね。そんなバカなことしてた?(笑)

志穂美 してた(笑)。どんなセットでも、どこかをバーにして。私は芸能界に入って現場で肉体をエクササイズされる先輩を見たことがなかったから、いつもその姿を尊敬して見ていました。だからいまも覚えてる。

草笛 なんとか皆さんについていこうと必死だったからよ。あなたはそのままずっと女優を続けるものと思っていたけれど、長渕剛さんとのご結婚であっさり引退しちゃったでしょう。びっくりした。

志穂美 望まれたことなので、仕方ないですよね(笑)。私はいまこの瞬間も、通行人のエキストラでいいから、もう一度映像の現場に戻りたいと思っているんですけど。

草笛 もうひとつびっくりしたのが、いつのまにかお花の仕事をするようになったこと。足を上げて、見事なアクションをしていた人が。

志穂美 びっくりしますよね。だって自分でもびっくりしているくらいだもん。

草笛 どうしてそうなっちゃったわけ?

志穂美 子育てが一段落して自分の時間ができた2010年ころ、「私が通っているお花の教室に一緒に行ってみない?」と知人が誘ってくれたのがきっかけなんです。

草笛 それだけ?

志穂美 主人がライブをすると、楽屋にお花をいっぱいいただくじゃないですか。大好きだから自宅に持ち帰って花瓶にポンポンと入れるくらいだったのが、習い始めたら夢中になっちゃって。すぐに基礎と創作の2つの教室に通うようになりました。

草笛 あなたの作るものは、なにしろ大きくてダイナミック。色使いもうんと華やかで。

志穂美 「テーブルにきれいに飾れたらいいな」というところから習い始めて、自分で作品を撮影して写真集にしたんですよ。それを見た方のご縁で、奈良・薬師寺の国宝のお堂をお花で飾るお話をいただいて。とても無理だと尻込みしたんですけど、「これも仏縁です」と言われて、こんな光栄なお話はないと思ってお引き受けしました。

そうしたら、芸術的なアレンジメントをしてみたいと欲が出てきたんですね(笑)。台風のあとのダム湖にトラックで取りに行った流木を使ったり、どんどん大がかりになっています。

草笛 ずっと体を鍛え続けているからできるのよ。

志穂美 確かに肉体が強すぎるので、流木でもなんでも取りに行けちゃう(笑)。お花って体力がないとできないんです。トラックにお花を積んで、活けて、終わったら全部回収して……なので。

草笛 筋肉のつき方や身のこなしが見るからに違うもの。すごいわ。


「草笛さんはまさに日本の女優像を打ち破った先駆者だと思っているんです」(志穂美さん)

草笛家の庭の手入れも


志穂美 引退してからは、草笛さんにお会いすることもなくなっていましたね。

草笛 あなた、(水谷)豊とも会ってないでしょう?

志穂美 ええ、本当に全然会わなくなっちゃったんですよ。

草笛 私たちがこうしてまたちょくちょく会うようになったのは『ばぁちゃんロード』という映画で、私と文音ちゃん(志穂美さんの長女)が祖母と孫の役を演じてから。だから、ここ5年くらい?

志穂美 そうですね。共演させていただいたのは18年ころなので。

草笛 ニューヨークに遊びに行ったとき、ちょうど文音ちゃんが留学中だったから、ずっと一緒にいて案内もしてくれた。頼りがいがあって、かわいいの。私にとっては親戚のお嬢ちゃん、という感じ。あんな娘がいたら、いいよねえ。

志穂美 草笛さんだって、いろいろな方から「お母さん、お母さん」って慕われてるじゃないですか。

草笛 あなたも親戚みたいで、ついいろいろお願いしちゃう。庭の手入れまでしてくれるじゃない。

志穂美 おうちが近いから、文音とお花を植えたり、季節ごとにバルコニーの植栽の植え替えをしたり。アレンジメントとも違って、楽しい。

草笛 おかげでうちの庭がとてもきれいになった。私、あなたの選ぶ色が好きなのよ。ほら、ハレの舞台に出るときの頭につける花飾りも作ってくれたじゃない。

志穂美 2022年の「ねんりんぴっくかながわ」の開会式に、応援団長としてお出になったときですよね。

草笛 1万人を超えるお客様がいる横浜アリーナで、バーッと出ていかなくちゃいけない。ああいう場はドレスだけ派手でも目立たないの。頭に華やかな飾りがあるのとないのでは大違いなのよ。それを、ドレスに合わせて生花で作ってくれて。

志穂美 とってもお似合いでした。草笛さんって、ご自宅では寝間着みたいな恰好をしてだら〜っとしていることもあるのに、お仕事になった途端、フランス映画に出てくる女優さんみたいになる。(笑)

草笛 あら、そう?

志穂美 ちょっと前まで、日本の女優さんといえば、楚々とした着物姿でパーティーに出るような方がほとんどだったじゃないですか。私自身、そういう女優のイメージを壊したいと思って仕事をしていたんだけど、草笛さんはまさにその女優像を打ち破った先駆者だと思っているんです。

草笛 「着物姿で楚々と」というのが、どうも私は似合わないね。だから着物はみんな処分した。あなたはこの先、お花以外にやってみたいことはあるの?

志穂美 いろいろありますよ。先のことはしっかり計画してます。プライベートでは、キャンピングカーを買って、うちの犬を連れてあちこち旅したいな。

<後編につづく>

婦人公論.jp

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